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皮膚科医に聞いた、スーパー美白成分「ハイドロキノン」の真実 [VOCE]

2018年08月16日(木) 20時10分配信

ハイドロキノンの疑問に答えます!

美白の成分として、よく話題にものぼるのがハイドロキノン。“漂白剤”と異名をとるだけあり、期待ができる分、刺激が強そうという懸念も。医薬部外品って何? ハイドロキノンって何? にお答えします。
Q.1 美白の医薬部外品って何?そうでないものとの違いは?

“国から「シミを防ぐ」効能を認められたお墨付きの化粧品”
「国が認めた美白有効成分を含有し、美白効果がうたえるもの。それ以外はメラニン生成を抑えるデータがあったとしても正式に美白コスメとはいえません」(佐藤さん)

Q.2 一番効く美白成分が知りたい!

“成分にプラスして処方によって変わります”
「成分をどう配合するか、他の美容成分とどう合わせるかで効果は異なるもの。成分名で選ぶよりも、使用感がいいものを適切な量、継続使用するのが一番」(岡部さん)

Q.3 最新の美白有効成分は?

“新規は数年足止め状態!”
最新は2009年承認されたシャネルのTXC以降。「新規の有効成分ではないですが、既存の有効成分を組み合わせる処方が最先端の美白トレンドと言えます」(岡部さん)

Q.4 美白成分は刺激が強いというのはホント?

“ウソ!!ただし、処方薬は刺激が強い場合も”
「美白有効成分はメラニン生成に働きかけますが、刺激はなく、中には肌荒れを鎮めるものも」(佐藤さん)「処方薬は正しく使わないと刺激が強くなるので注意」(千葉先生)

Q.5 違うラインの美白コスメを合わせて使っても平気?

“平気です!”
「併用禁忌などがある医薬品と比べ、化粧品は前後に何を使うかは自由というのが前提。各社が推奨する使用方法を守り、心配なら少しずつ試して確認を」(佐藤さん)

Q.6 よく聞くハイドロキノンって何もの?

“パワフルな美白剤。ただし使用に制限あり!”
「メラニンを生成させる酵素チロシナーゼの働きを強力に抑えてメラニンの分解も促進。でも非常に不安定なので、一般的に用法や用量を医師が管理する治療薬向き」(岡部さん)

お話を伺ったのは…

【イデリア スキンクリニック代官山院長 千葉真美先生】
日本皮膚科学認定皮膚科専門医。豊富な臨床経験をベースに、すっぴんを誇れる肌に導く的確なプログラムを提案。

【資生堂 皮膚科学研究グループ グループマネージャー 佐藤潔さん】
メラニンに関する研究を専門とし、名作HAKUやホワイトルーセントの開発に携わる。美白薬剤研究開発歴は24年!

【ビューティサイエンティスト 岡部美代治さん】
本誌の人気企画「みよじ刑事」でもおなじみ。化粧品の研究、開発の経験をベースにした科学的な解説に定評あり。
“漂白剤”との異名をとるハイドロキノンの特長!

そのパワーはアルブチンのなんと100倍ともいわれています。(上図)

“漂白剤”との異名をとるハイドロキノンの特長!

1:メラニン還元力が強い=今あるシミを薄くする力がある!
まずはシミの生成メカニズムのおさらいから。紫外線などを浴びると、そのダメージで細胞の核が傷つかないように、細胞の核を守るため紫外線を吸収するメラニンをつくりだします。このメラニンの生成と、メラニンが不要になった後の排出のバランスが上手くいっていれば問題ないのですが、加齢などにより、このバランスがくずれるとメラニンが凝集してシミになったり、くすみになったりするのです。

メラニンはどんどん酸化していくうちに茶褐色(いわゆるシミの色)に色づきますが、この茶褐色になったメラニンを薄くする力=還元力があるのが、ハイドロキノン最大の特徴です。つまりシミを薄くすることができる!!

実は、このメラニンの還元作用、ビタミンCにもありますが、その力はハイドロキノンの方がとてもパワフルです!

2:メラニンのもとを抑える力は一般的な美白成分の約100倍!!
紫外線を浴びると、“メラニンをつくれ”という指令が出され、まずチロシンというアミノ酸ができます。このチロシンに働きかけて茶褐色のメラニンに変化するのが、酵素チロシナーゼ。美白有効成分として医薬部外品の美白コスメに配合されているビタミンC誘導体やアルブチン、コウジ酸なども、この酵素チロシナーゼの働きを抑えてメラニンを防ぎますが、ハイドロキノンにも同様の働きがあるんです。

つまり、ハイドロキノンは、シミができるのを予防する効果と、できでしまったシミを薄くする効果を備えた、スーパー美白成分なのです。

ハイドロキノン配合コスメが少ない理由

ハイドロキノンは、シミやくすみの原因となるメラニンの予防&改善効果が期待できるにもかかわらず、実際にハイドロキノンを使用しているコスメは限られています。しかも、現時点では、医薬部外品の美白有効成分として認められていません。

1:酸化しやすく不安定だから、化粧品に配合しにくい!
酸素、光、温度、時間などの影響を受けやすくとても酸化しやすい成分であるなどの理由により、2001年の薬事法の改正までは、日本では医師の処方箋が必須であり、一般的な化粧品に入れることはできなかったのです。

ハイドロキノンは白い粉ですが、酸化すると黄色く変色し、効果が落ちます。そればかりではなく、キノンという別の物質に変化し、肌の刺激となることも。そのため、化粧品の場合、購入した後の管理方法はその人次第という点からしても化粧品への配合するのは難しいのです。

クリニックで処方するときも、水系の基剤には混ぜず、処方するタイミングで油系の基剤に混ぜてお渡し、冷蔵庫での保管、使用量や期限の厳守をお願いしています。

2:効果がパワフルなので、処方に注意が必要
もうひとつの理由として挙げられるのが、“効きすぎる”ということ。実際に10%という高濃度のハイドロキノンを長期的に使用したときに白斑になったという報告もあります。そのため、クリニックで医師が処方のうえ、適切な期間を使うのが好ましいとされてきたのです。

ちなみにクリニックで一般的に使われているのが5%と10%。肌の状態に合わせて短期間に限って処方しています。そして、クリニックではハイドロキノンだけでシミの治療をするというよりは、シミ取りレーザーと合わせて処方するのが一般的。なぜなら処方薬のハイドロキノンだけでは角質が厚くなっているシミの部位には浸透しにくく、効果を十分に発揮できないため。レーザーでシミをとったあとに、さらに色素沈着を防ぎ、取り除くために使用します。

また、残念ながらハイドロキノンが合わない人がいます。その確率は10%。クリニックではそういった反応も見極めながら、適切に治療を進めていきます。

ハイドロキノン配合コスメは安全か?安定型ハイドロキノン配合かをチェック!

ポイントとしては、“安定型ハイドロキノン”を使っているかどうかです。これは、各企業が先端の技術を用いてハイドロキノンを安定化させたたもの。酸化などの変質が起こりにくく、刺激性も軽減し、安定して使えるのが魅力です。もちろん、きちんとした理論に基づいて処方を設計するが必要であり、その点も踏まえるとドクターズ系や製薬会社系のものがオススメです。日本では化粧品におけるハイドロキノンの濃度制限がないので、その点も含めてチェックしてみましょう。

ハイドロキノンとハイドロキノン誘導体は、肌へのアプローチが異なる!

コスメの成分をみていると成分名のあとに“誘導体”がつくものがあり、ハイドロキノンにもハイドロキノン誘導体というのがあります。

誘導体の中でも有名なのは、ビタミンC誘導体。ビタミンCと化学式的にメインの部分(美白作用に関する部分)は同じで、それに付随する部分の化学式が違うもの。ビタミンC誘導体は肌に塗るとこの付随する部分が離れ、肌の中でビタミンCとして働くため、ほぼ同じ働きをします。

対して、ハイドロキノンとハイドロキノン誘導体の共通する部分はメインではない部分。効果は同じというよりは似ている範囲にとどまります。そのため、きちんとハイドロキノンの還元効果やパワフルな美白作用を求めるなら、誘導体ではなく、安定型ハイドロキノン配合タイプがオススメです。

これらを踏まえて正しく選び、適切に使えば、高い効果がきちんと期待できるハイドロキノン。頑固なシミが気になる方は、一度試してみる価値ありです!

お話をお伺いしたのは……

高瀬聡子先生

ウォブクリニック中目黒総院長。美容皮膚科医。VOCEをはじめ、多くの雑誌やテレビなどの媒体で、スキンケアについて取材を受けること多々。皮膚科医のノウハウを盛り込み、使い心地にもこだわったドクターズコスメ「アンプルール」の開発も手掛ける。著書に『健康な肌のための新常識 いちばんわかるスキンケアの教科書』(講談社)など。

シミ対策は肌タイプ別が正解だった!?【混合肌・乾燥肌・敏感肌】

【混合肌さんはコレ】角質ケア+ハイドロキノンのパワフル美白

「乾燥しているのは一部のみで、比較的攻めのケアができるのが混合肌。本気で効かせたいならハイドロキノンを(小林さん)「角質ケアもプラスして、メラニンの排出を促進!」(高瀬先生)

【乾燥肌さんはコレ】綿棒でオフしてからスポッツ美容液を

「乾燥肌は保湿が最優先。全体を保湿してから、シミが気になる部分だけ水を含ませた綿棒で保湿剤をオフ、美白ケアをピンポイントでオン。ダイレクトに効かせます」(小林さん)

【敏感肌さんはコレ】敏感肌用の美白ラインを使う

「敏感肌にとって、ふつうの美白ケアは強すぎて刺激になる場合があるので、敏感肌用のものをチョイス。肌が落ち着いているときにスポット使いして」(高瀬先生)

教えてくれたのは

美容家小林ひろ美さん
美・ファイン研究所主宰。ビューティ界の中でも群を抜く透明肌の持ち主で、ユニークな発想でスキンケアの効果を高めるテクの宝庫。

皮膚科医 高瀬聡子先生
ウォブクリニック中目黒総院長。VOCEスキンケア企画のご意見番。豊富な知識と高い実績から導き出されるスキンケア理論は明快!

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