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郊外だから叶った、子育てがしやすく長く住める家づくり [FRaU]

2018年07月31日(火) 10時30分配信

居心地の良さそうなリビング。

広さ、価格、子どもへの環境、保育園など教育機関の有無、生活音の配慮。都心で働く人が “家族とともに住む家” を考えるとき、優先順位をつけなければいけない条件はあまりにも多い。だったら、いっそ郊外へ。その決断でほかのすべての希望を叶えたのが、埼玉県越谷市に住む鷲尾さんのお宅です。

お話を伺ったのは……
鷲尾龍志さん
1999年BEAMS入社。2005年より米国商材の仕入れ・商品企画等に携わる。近年は、提携ブランドのブランディング用務や商品企画、イベントや販促等のディレクションを行っている。
子育てのしやすさを考え馴染みのある土地へ

趣味の部屋は、郊外だからこそ叶った夢。

子育てのしやすさを考え馴染みのある土地へ

奥さまの実家と同じ敷地内に建つ家は、今年で築10年目。最初のお子さんの妊娠をきっかけに、これからの家をどうするか考え始めたそうだが、“都心で建てる” という選択肢はかなり早い段階で捨ててしまったそうだ。

鷲尾さん(以下鷲尾):最低限確保したい広さや予算を考えたら、これはもう郊外だね、となって。あとは、防音設備を入れた私の趣味の部屋を作るのも最初から念頭にありましたし。隣の家との距離が近いと結局は音が伝わってしまうので、これを作るなら都内は無理だなと。

鷲尾さんが長崎県出身で海が近い街で育ったことから、最初は葉山などを候補地として回っていたそう。しかし、奥さまからの “子どもを育てるなら2人とも知らない土地より、どちらかは馴染みのあるところのほうがいい” という意見から、越谷が急浮上する。

鷲尾:確かにそうだなと考え直していた時に、お義父さんからこの土地使ってもいいよ、と言ってもらえて。正直にいうと、最初は “これって同居みたくなるのかな” っていう緊張もありました。でも実際に暮らしてみれば、建物自体が分かれているのでお互いの生活は尊重されるし、ちょうどいい距離感で生活できていますね。

庭側の外観。庭側の壁には窓を多用。光と風が巡る家に。

土地の確保という、家を建てるうえで最大の懸念事項が解決してしまえば、設計や間取りどうこうといったことは楽しみの延長線でしかないだろう。もともと理想の家についてはかなり明確なビジョンを持っていたという鷲尾さん。大切にしたのは “何十年も住むことを考えた家作り” だ。
長く住むことを考えてあえて今っぽくない家に

リビング上部は吹き抜けになっており、広さ以上の開放感。

長く住むことを考えてあえて今っぽくない家に

鷲尾:自分の性格を考えると、強いデザインだと絶対すぐ飽きると思って(笑)。時代に関係なく、長く愛せるのはどんな家だろうと考えた結果、別荘建築に行き着いたんです。もともと吉村順三の作品などは大好きでよく観ていたので、やっぱりこれだなと。他にもやりたいことがはっきりしていたので、建築士の方は自分たちの希望をしっかり聞いてくださる方、という観点から選びました。

安らぎに加えどこか懐かしさも感じさせる、広く美しい空間は、子どもと暮らす場所としても理想的。リビングから続くウッドデッキ、子どもたちが遊ぶには十分すぎる広さの庭も、まさに別荘のような贅沢さと開放感の理由だろう。
隣は親類4世代が同居。社会性を育む場所に

キッチンは半分が壁で隠れるので生活感が出すぎない。

隣は親類4世代が同居。社会性を育む場所に

その庭を共有している奥さまの実家には現在、祖母と両親、妹一家の4世代が暮らしている。ちなみに奥さまは三姉妹の長女で、もう一人の妹の家もすぐ近くにあるそう。姉妹で集まることも多く、子どもたち同士もみんな仲良しだそうだ。撮影中には末っ子の娘さんが「今日はね、このあとみんなで、おじいちゃんの誕生日のお祝いするの」と、嬉しそうに教えてくれた。

子どもを育てるうえで社会性はあったほうがいい、とは考えていたそうだが、子どもを預かってもらったり、兄弟ゲンカをした時に一方の駆け込み場所になったりと、生活の中で助けられている部分はかなり多いとか。奥さまの “子育てするなら馴染みのある土地で” という意見は、想像した以上に正しかったようだ。

広い庭の存在は「家の中に飽きてもすぐに外で遊べるので、本当に助かる」とか。

広い家、走り回れる庭にたくさんの見守りの目と、子どもがのびのびと暮らせる環境が揃っている鷲尾さんの家。それはきっと、一緒にいる大人たちにも同じことがいえるはず。とくに鷲尾さんの場合は住まいと職場が離れたことで、これまでの生活スタイルを見直すきっかけにもなったようだ。

鷲尾:職場のある原宿までは片道1時間半かかりますが、フレックス制なので自宅を出るのは朝9時〜9時半くらい。出先へ直行することも多いのでそこまで負担にはなっていないです。休日は子どもたちと遊んだり趣味の時間に使ったりと、家で過ごすことがほとんど。独身時代はずっと都心に住んでいたのもあってか、逆に今はもう平日だけで十分という気持ちなので、不便さは感じないです。都心から離れたことで、むしろ生活にメリハリがついた感じですね。
家族の成長や変化も見越した設計に

長女長男の2人が一緒に使う2階の子ども部屋。現在は1部屋だが、2部屋に変更可。そのため入り口も2つ。

家族の成長や変化も見越した設計に

広々とした室内を見ていてふと意外に思った点がひとつ。リビングの奥に和室があるのだ。すべて自分たちの思い通りに作ったこの家に、あえて和室をしつらえたのはなぜなのだろう。

鷲尾:長崎に一人で住んでいる母を呼ぶ時のことを考えて、念のためですね。本人にはまだ訊いてもいないし、行ってもいいと言ってくれたらですが。それに何だかんだいってもここは日本なので、和室はあったほうがいいと思って。

敷地内の桜の木が、ちょうど2階からよく見える。ここを子ども部屋にしたのも、この桜が一番きれいに見えるからだそう。

家はあくまで生活のための場所。そしてその生活は日々変化することをしっかり考えてあるからこそ、誰にとっても心地よく、またその時その時の生活にフィットした空間になっているのだろう。

鷲尾:やりたかったことをほぼ叶えたこの家は間違いなく自分の城ではあるけど、だからって一生ここに住み続けるんだと決めたわけでもなくて。将来はこの家を子どもたちに託して、僕ら夫婦は長崎に移ってもいいよね、なんて話もしているんですよ。

10年後、20年後の自分もきちんと大切にするために。未来を見据えた家作りは、何にも縛られないという生き方まで叶えてくれるようだ。

 

●情報は、FRaU2018年6月号発売時点のものです。
Photo:Keita Goto

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