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大人気! 浮世絵師・歌川国芳が平成でもウケる理由 [おとなスタイル]

2017年03月27日(月) 09時00分配信

おもしろくて、かわいい。 語り尽くせない国芳の魅力

ユニークな視点に虜になっちゃいます。

おもしろくて、かわいい。 語り尽くせない国芳の魅力

ここ数年、日本美術界では、空前の江戸絵画ブームが続いている。昨年東京都美術館で開催された、『若冲展』は、連日3~4時間待ちの大行列。昨年の11月には両国に葛飾北斎や北斎に繋がるアートを集めた「すみだ北斎美術館」が開館し、永青文庫で開催された『春画展』も話題をさらった。そんな中、琳派や伊藤若冲とともに、圧倒的に注目されているのが、江戸時代後期(1797~1861年)に浮世絵師として活躍した歌川国芳だ。
「歌川国芳の魅力は語り尽くせません。現代では猫の絵が人気ですが、役者絵、美人画、風景、動物、妖怪とさまざまな題材を描き、その描き方が非常に多彩。何度見ても飽きず、新たな発見がある、そんな画家は他にはいないと思っています」
と言うのは、歌川国芳人気の立役者のひとりでもある府中市美術館の金子信久さんだ。

実はこの国芳、明治時代以降、葛飾北斎や歌川広重のように高い評価を受けていたわけではなかった。それが、ここ数年、各地で国芳展が開催され、どこも大盛況。この人気の秘密は一体どこにあるのだろうか?
「どこかマンガっぽいというか、劇画タッチというか。合戦シーンなどでビームのようなものが描かれていたり、画角からはみ出しそうな迫力の巨大魚がいたり。そうかと思うと、猫が楽しげに踊っていたり(笑)。作品の中に、必ずおもしろさがあるところが、今の人にもウケているのかもしれません」
そんな、今もなお人を魅了する国芳の展覧会『歌川国芳 21世紀の絵画力』が金子さんが勤務する府中市美術館で、3月11日から開催されている。
「今回は大きく2つのテーマに分け、まず、19世紀に生きた彼がどんな仕事をしたのか、その全貌を解明。そして21世紀の視点で、今も支持される理由を探っていきます。ほぼ毎年、この季節は国芳に絡む展示をしていますが、国芳だけは、久々です。代表作の多くをいい保存状態でご覧頂けるチャンスです。自身の目を通して、国芳の魅力を探してみてください」

『宮本武蔵と巨鯨』

江戸前期の宮本武蔵の鯨退治伝説を描いた作品。三枚続きの大画面。まるで飛び出してきそうな迫力の鯨はまさに劇画や特撮の世界のよう。

『義勇八犬伝 犬江親兵衛』

裃がかわいい総犬柄。こういった柄にもいちいちこだわるのが国芳らしいおもしろさ。

『猫のすゞみ』

金子さんお薦めの1枚。猫の表情が非常に豊か。無類の猫好きだった国芳だから描けた作品。

『猫の当字 たこ』

猫好きで国芳ファンになったという人も多い。猫の集団芸とも言えるユニークさ。

『あはしま 市川九蔵』

役者の顔を猫で描くのを流行させた国芳。団扇を持って踊るのは、歌舞伎役者の市川九蔵。

 

国芳ファンならずとも必見、渾身の展覧会が3月11日から開催。
さらに、公式図録も発売に!
2010年、いち早く国芳の展示を行い、ブームを作った府中市美術館。その中心人物の金子さんが再び国芳展を企画することに。前後期合わせて、240点もの作品を展示。同時に、公式図録本も発売に。

『歌川国芳21世紀の絵画力』

府中市美術館、全国各書店にて発売。『歌川国芳 21世紀の絵画力』/講談社刊

『歌川国芳 21世紀の絵画力』展

『歌川国芳 21世紀の絵画力』展
2017年3月11日(土)~5月7日(日)
府中市美術館
■Profile
金子信久さん
府中市美術館・学芸員
1962年東京都生まれ。福島県立博物館学芸員などを経て府中市美術館学芸員に。専門は江戸時代絵画史。国芳愛溢れる解説が人気。著書に『江戸かわいい動物 たのしい日本美術』(講談社)、『ねこと国芳』(パイインターナショナル)など多数。

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