お父様も眠るお墓は円覚寺に。8月の法要のときは事前に北鎌倉駅の「光泉」でいなり寿司を予約し、炎天下でぐったりした法要後に自宅で頂くのだそう。
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鎌倉在住の作家・甘糟りり子さんが通う、鎌倉の四季が味わえるお店(春、夏編) [mi-mollet]
2018年11月03日(土) 14時10分配信
風情ある古寺の数々、情緒溢れる街並み、穏やかな海を臨み、江ノ電に乗ってのんびりと買い物に出かけたり、家族で通うレストランで食事したり。鎌倉暮らしに憧れる人は少なくないでしょう。実際に、忙しない東京から鎌倉に引っ越した人は多く、数年前にはそんな女性を主人公にしたドラマがちょっとしたブームにもなりました。
先日、作家の甘糟りり子さんがその鎌倉暮らしについて綴ったエッセイ集『鎌倉の家』を刊行されました。甘糟さんは幼少期より鎌倉で暮らしていましたが、20代後半からは広尾・麻布・芝浦などで暮らし、40代前半で鎌倉の実家に戻ります。
現在は80代のお母様と二人暮らし。戦前に建ったという日本家屋は、高い天井に太い梁、客間には囲炉裏があり、庭には四季折々の花が咲きます。裏の山ではさまざな山菜が採れるので、山ウドの料理などでお客様をおもてなしすることもあるそう。
先日、作家の甘糟りり子さんがその鎌倉暮らしについて綴ったエッセイ集『鎌倉の家』を刊行されました。甘糟さんは幼少期より鎌倉で暮らしていましたが、20代後半からは広尾・麻布・芝浦などで暮らし、40代前半で鎌倉の実家に戻ります。
現在は80代のお母様と二人暮らし。戦前に建ったという日本家屋は、高い天井に太い梁、客間には囲炉裏があり、庭には四季折々の花が咲きます。裏の山ではさまざな山菜が採れるので、山ウドの料理などでお客様をおもてなしすることもあるそう。
甘糟りり子著『鎌倉の家』より
野草の料理で最も大切なのはタイミングだと毋はいう。どの草が食べられるものかを覚えているだけではダメ。摘む時期が重要なのだ。一番柔らかくておいしいのはいつかを知っておく。
それを身につけるには、日々庭や道端を観察すること。お客様の日にちが決まったら、一週間ぐらい前から買い物やジョギングの行き帰りに、どの草がどの程度育っているかを把握しておくのである。〈中略〉
春の野草を楽しむために、花を活けることを習慣にしなさいというのも毋からの教えである。庭や道端で花を採ろうと思うと、もっと見るようになるから。
友達が帰るとき、「りり子のおままごとにつきあってくださって、ありがとう」と毋がいう。いつになったらおままごとを卒業できるだろうか。
野草の料理で最も大切なのはタイミングだと毋はいう。どの草が食べられるものかを覚えているだけではダメ。摘む時期が重要なのだ。一番柔らかくておいしいのはいつかを知っておく。
それを身につけるには、日々庭や道端を観察すること。お客様の日にちが決まったら、一週間ぐらい前から買い物やジョギングの行き帰りに、どの草がどの程度育っているかを把握しておくのである。〈中略〉
春の野草を楽しむために、花を活けることを習慣にしなさいというのも毋からの教えである。庭や道端で花を採ろうと思うと、もっと見るようになるから。
友達が帰るとき、「りり子のおままごとにつきあってくださって、ありがとう」と毋がいう。いつになったらおままごとを卒業できるだろうか。
甘糟りり子著『鎌倉の家』より
友達の中には骨董のコレクションのように思う人もいるが、毋はいつもいう。「家には骨董品や美術品と呼ばれるものは、ひとつもないのよ。お料理をこれに盛りたいという器だけ。ひとつずつ買っているうちに、数が多くなってしまったの」
結婚当初、父と毋は家具も食器もほとんど持っていなかったそうだ。遊びにいらした友人の向田邦子さんがあきれて、湯呑み用の蕎麦猪口や鉢をくださったという。これがきっかけで、外食ばかりだった毋は具体的な暮らしのイメージがわいたそうだ。
友達の中には骨董のコレクションのように思う人もいるが、毋はいつもいう。「家には骨董品や美術品と呼ばれるものは、ひとつもないのよ。お料理をこれに盛りたいという器だけ。ひとつずつ買っているうちに、数が多くなってしまったの」
結婚当初、父と毋は家具も食器もほとんど持っていなかったそうだ。遊びにいらした友人の向田邦子さんがあきれて、湯呑み用の蕎麦猪口や鉢をくださったという。これがきっかけで、外食ばかりだった毋は具体的な暮らしのイメージがわいたそうだ。
父はマガジンハウスで「アンアン」「クロワッサン」などの編集長を務めた出版人。毋はエッセイスト。鎌倉の森の中の大きな日本家屋に育ち、鎌倉の自然の花や食に育まれた甘糟さん。そんな甘糟さんも、若い頃は鎌倉を離れ、麻布狸穴町のアパートメントに住んで、刻一刻と変わる東京の流行のシーンのど真ん中に身を置きます。
人気コラムニストとして多いときは月30本の締め切りを抱えていましたが、時が経ち、エッセイやコラムから長編小説メインへとシフト。そんな最中に、また鎌倉へ戻ろうと思ったのはなぜでしょうか。
「鎌倉の実家にいる時はよく海岸線沿いをジョギングしていたのですが、海を見ているうちに戻りたくなっちゃって。新しいことを追いかけるのも楽しいけれど、同じことを繰り返すこともけっこうワクワクするなあと実感するようになった時期です。都心に住んでいる理由がなくなってしまったから、でしょうか」
人気コラムニストとして多いときは月30本の締め切りを抱えていましたが、時が経ち、エッセイやコラムから長編小説メインへとシフト。そんな最中に、また鎌倉へ戻ろうと思ったのはなぜでしょうか。
「鎌倉の実家にいる時はよく海岸線沿いをジョギングしていたのですが、海を見ているうちに戻りたくなっちゃって。新しいことを追いかけるのも楽しいけれど、同じことを繰り返すこともけっこうワクワクするなあと実感するようになった時期です。都心に住んでいる理由がなくなってしまったから、でしょうか」
鎌倉で暮らす人の味覚カレンダー
鎌倉で暮らす甘糟さんには、鎌倉ならではの味覚カレンダーがあります。それは家族の思い出の味でもあり、伝統の味でもあれば、新しい鎌倉を象徴する味でもあります。書籍『鎌倉の家』より、その一部を甘糟さんご自身が撮った写真とともにご紹介しましょう。
3月 「浜野水産」の釜揚げしらすで春を先駆け
3月11日は相模湾のしらす漁の解禁日。鎌倉は街中「しらす」の文字が溢れるそうなのですが、甘糟さんのおすすめは片瀬江ノ島の「浜野水産」。春の先駆けにと友人知人に贈ることもあるといいます。
「浜野水産」の釜揚げしらすは、まずはしらすだけを箸でつまみ、その後ご飯などに惜しみなく乗せて頂きます。「塩辛くないけど潮の味がしっかりとあって、ふわふわなんです」(『鎌倉の家』より)
4月 「ハウス オブ フレーバーズ」の苺の“ケーキ”と鎌倉山の景色を楽しむ
鎌倉山にあるコーヒーと洋菓子のお店「ハウス オブ フレーバーズ」。建築家・齋藤裕氏による木の葉型の建物が特徴的です。「ハウス オブ フレーバーズはホルトハウス房子さんのセンスと齋藤裕氏の発想と鎌倉山の景色を味わう空間なのだ」(『鎌倉の家』より)。
甘糟さんが4月になると必ず食べに行くのは「オールドファッション・ド・ストロベリーショートケーキ」。ショートケーキの原型になったレシピを再現した苺のケーキで、この時期数日間限定で出されるものだそうです。
5月 春と夏の間の季節の美しさ。上生菓子店「美鈴」のお菓子「昇鯉」
宝戒寺のそばにある上生菓子の店「美鈴」。「店までの細い小道が美しく、学生の頃、毋にここへのお使いを頼まれるとこの道を歩くのが嬉しかった」(『鎌倉の家』より)
6月 イタリア料理店で「青トマトのジャムとリコッタチーズのブルスケッタ」を
6月になったら、鎌倉駅裏駅にあるイタリア店「ジョイア」で花ズッキーニのフライと「自家製青トマトのジャムとリコッタチーズのブルスケッタ」を。写真の青トマトのブルスケッタは、トマトのフレッシュさとリコッタチーズの濃厚さのバランスを楽しむ一品。「この店は畑を持っていて野菜はすべて自家製。(中略)トマトが赤くなる前に採ってしまえるのは、自分たちで畑を持っているからこそだろう」(『鎌倉の家』より)。
由比ケ浜通りの日本料理店「一平」で鱧を食す
毎年、6月に日本料理店「一平」で鱧(はも)を食すのも夏前の恒例行事。このお店との出会いで甘糟さんは鱧は京都のものだけではないと知ったといいます。
7月 長谷のバー「ケルピー」でスイカのカクテルを
長谷観音の交差点の往来を見下ろせる「バー ケルピー」は甘糟さんの行きつけ
「うっすらとした甘辛で、一見どうということもないシンプルなもの。でもそこがいい。シンプルだからこそ、ていねいな過程が舌で分かる」(『鎌倉の家』より)
いかがでしたか? 甘糟さんの季節の味覚を辿ると鎌倉での暮らしがリアルに垣間見えるようです。詳しくはぜひ『鎌倉の家』をお読みください!
次回は、「甘糟りり子さんが通う美味しい店7軒<秋冬編>」をお届けします。
いかがでしたか? 甘糟さんの季節の味覚を辿ると鎌倉での暮らしがリアルに垣間見えるようです。詳しくはぜひ『鎌倉の家』をお読みください!
次回は、「甘糟りり子さんが通う美味しい店7軒<秋冬編>」をお届けします。