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知っているようで知らない栄養素の秘密。化粧品やサプリで配合されているのをよく見るけど、実際は何をしてくれるの？　摂取することで期待できるメリットについて、皮膚科専門医の今泉明子先生にお聞きします。

プラセンタを直訳すれば“胎盤”。美容では哺乳類の胎盤から栄養素を抽出した胎盤エキスのことを、「プラセンタ」と呼んでいます。胎盤には、10種類のアミノ酸や各種ビタミン類、ミネラル、酵素などさまざまな栄養素が豊富に含まれています。母体と胎児をつなぐ重要機関ですから、胎児の生育に欠かせないあらゆる栄養素が含まれていることは当然ですね。

人間以外の哺乳類は出産するとき、母親が胎盤を食べてしまいます。それは自然治癒力を回復させる効果があると本能的に知っているからなのかもしれません。プラセンタに含まれる豊富な栄養素が、傷や炎症の治癒に役立つことは古くから知られていました。日本では、1950年ぐらいから医療機関で使用されるようになり、最近は美容効果についても研究が進んできています。

「簡単に言えば、年齢とともに遅くなりがちな肌のターンオーバーの調整をサポートするといわれています」（今泉先生）

代謝を活発にする効果により、肌のターンオーバーも整うというわけですね。ほかにも自律神経やホルモンバランスを調整したり、抵抗力を高めたり、肝臓の働きを高めたりという効果もあると言われています。

馬由来、豚由来、ヒト由来など、さまざまな種類があるプラセンタ。得られる効果はその種類によって変わるのでしょうか？

「理屈で考えれば、人間になじみがよいのはヒト由来ということになります。いわゆる胎盤からの抽出成分であり、それだけ栄養も豊富ということですから」（今泉先生）

なるほど。でもヒト由来のプラセンタって、そんなに簡単に取り入れられるものではありませんよね？

「安全性や信頼性を確認できないものに関して、安易に手を出すのは危険だと思います。うちのクリニックでは、ヒト由来のプラセンタは血液製剤のように慎重に扱われているんですよ。確かにプラセンタは高い効果が期待できる成分。それだけに、取り入れる場合はまず、信頼できるクリニックに相談したほうがいいと思います」

プラセンタは体内に原液を直接注入する、プラセンタ注射や点滴での摂取が効果的といわれています。たとえば週に１～２回取り入れることで、肌の弾力アップや美白効果、そして体の免疫力アップなどの効果が実感できるそう。

でもこれこそ、今泉先生のいう「信頼できるクリニックで！」という施術。プラセンタ注射は比較的ポピュラーなメニューでもあるので、クリニックの評判などもしっかりチェックして受けた方がよさそうです。では、化粧品に配合されている場合はどうでしょう？

「きちんとした質と量が配合されている化粧品であれば、美白効果が期待できると思います。肌の新陳代謝を促進するため、色素沈着の原因である過剰なメラニンが早く排出されますから。また、プラセンタそのものに、シミのもとになるメラニン色素の生成を抑えるという働きもあるとされています」

抗炎症作用によりニキビケアに効果があるとしている化粧品もあるし、コラーゲン生成を活性化させるとして、肌のハリ・弾力を高めるとしている化粧品もあります。また引き締め効果によって、毛穴の開きやたるみ、きめの乱れが改善するという化粧品もあります。ただこれも、プラセンタ配合ならなんでもいいというわけにはいかないのが実際のところ。それはサプリでも同様です。

プラセンタエキスを配合したサプリは数多くあります。注射より手軽だし、飲み続けることでさまざまなメリットがあるという口コミも多く見られます。ただ、ものによっては含有量がそれほど多くなかったり、あまり質が高くなかったりというものが多いのも事実。美肌効果などをプラセンタによって得たいなら、まずは信頼できるクリニックで相談するというのがベストなのかもしれません。クリニックで発売されているサプリもあるので、気になる人はチェックしてみてください。

医学博士・皮膚科専門医。聖マリアンナ医科大学付属大学院皮膚科、日本赤十字センター皮膚科で勤務後、最先端の美容医療を学ぶために渡米。ニューヨークの医科大学にて勤務後、化粧品の開発にも関与した。帰国後、東京ミッドタウン皮膚科形成外科 院長を経て、2018年5月に今泉スキンクリニック開業。幼少期にアトピーで悩んだ経験から医師を目指したという経緯もあり、肌荒れなどのトラブルを抱えた患者が全国から来院。最新かつ豊富な知識で、美容業界にもファン多数。