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【健康Q&A】抗がん剤治療を不安がる母。家族はどう支えたらいい? [mi-mollet]

2017年10月11日(水) 14時00分配信

Miaさんからの質問

Q.抗がん剤治療を不安がる母。
家族はどう支えたらいいのでしょうか?

遠方に住む母が、がんのステージⅣとの診断を受け、抗がん剤治療を始めています。私たち子どもに迷惑がかからないよう、病気が分かる前から終活をし、「いつ死んでもいいの」と言っていた母。でも、以前にも抗がん剤治療を受けたこともあって、再び抗がん剤治療の副作用を経験することや、未来が見えないことへの不安から、精神的に不安定です。母は子供の幸せや孫の成長が生きがいのような人です。それなりに趣味もありますが、抗がん剤治療に入ってからは何もやる気がおきないようです。家族で母を支える体制は、物理的には整っていると思いますが、心理的にはどのように支えていけばいいのでしょうか。(44歳)

特別ゲスト 樋野興夫先生の回答

A.全力を尽くして心の中でそっと心配する ……という勝海舟の言葉を処方させていただきたいと思います。

遠方に住まれているとのことで、ご心配も多いかと思います。ただ、物理的にお母様を支える体制は整っているとのことですので、それだけでもお母様は不安が軽減されていると思いますよ。心理的にはどのように支えたら良いか、とのご質問ですが、これはもう、ただ寄り添うことしかできないのです。ですから、できる限り会いに行かれて、一緒の時間を過ごされることをお勧めいたします。そうして、最後まで見捨てないという思いが伝われば、それだけで患者さんは心強くなれますから。子供や孫の成長が生きがいというお母様ですから、時々はお孫さんも一緒に連れていかれると、尚良いかもしれません。


お母様の抗がん剤に対するご不安ですが、これは治療が始まってみなければどれくらいの副作用が出るか分かりませんから、何とも申し上げられないのが実情です。そこで、私の好きなこんな言葉を贈らせていただければと思います。

やるだけのことをやって、後のことは心の中でそっと心配する。どうせなるようにしかならないのだから。

これは幕末の雄、勝海舟の言葉です。何かに臨む前は、それが上手くいくよう全力で準備をする。それを終えたら腹を括り、あとは心の中でそっと心配する、という気持ちを込めたものでしょう。がんを治すための最善の策を調べて選択したら、あとは天命に任せるしかありません。副作用が起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。これは治療を始めてみるまでは分かりませんから、もし起こったら対処する、ということしかできないのです。雨が降ったときは、傘をさすか、レインコートを着るか、家に入るか、という選択肢があるように、副作用が起こったときは、治療を止めるか、我慢して続けるか……、それは患者さん本人が決められることです。家族にできることは、その選択を受け入れ、見守ってあげることだと思います。

こんな言葉しか処方できませんが、少しでもMiaさんのお悩みが解消されれば幸いです。
いかがですか?
樋野先生の回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

樋野 興夫(ひの おきお)1954年、島根県生まれ。医学博士。順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座教授。一般社団法人がん哲学外来理事長。医療現場と患者の間にある「隙間」を埋めるべく、全国各地で講演をおこなうなど精力的に活動している。著書は『がんばりすぎない、悲しみすぎない。「がん患者の家族」のための言葉の処方箋』(講談社)、『がん哲学外来へようこそ』(新潮新書)など多数。

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