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『夜は短し歩けよ乙女』の原作者、森見登美彦のオモシロ不思議ワールド [with]

2017年04月26日(水) 18時00分配信

(C)森見登美彦・KADOKAWAナカメの会

星野源がボイスキャストで主演することも話題の映画『夜は短し歩けよ乙女』。京都の大学を舞台に、いろいろこじらせた「先輩」と、彼が密かに思いを寄せる不思議ちゃん「黒髪の乙女」の恋と、二人の周囲でうごめく変な人々不思議な世界を描いた、ヘンテコでファンタジックなラブコメディ。

(C)森見登美彦・KADOKAWAナカメの会

何が変って登場人物たちがすごく「ヘン」なのですが、その「ヘン」レベルが、通常の「変人」というよりは、「仙人」とか「妖怪」とか「天狗」とかに近い、つまりこの世界と別の世界の境界線ギリギリの「ヘン」なキャラクターです。それが京都という町の「異世界ぶり」と相まって、何が起こってもOKな不思議な世界を作り出してゆきます。

不思議な人が普通に存在し、不思議なことが普通に起こるため、なかなか実写にはなじみにくいのですが、アニメになるとその不思議さが独特の個性としてすごーくうまく着地する――これは原作者の森見登美彦の多くの小説に共通する独特の世界観です。
私が個人的に「こんな小説初めて読んだ!」とびっくりしたのは、『夜は短し』の「兄弟編」ともいえる『四畳半神話大系』。『夜は短し』の「先輩」と同一人物と思しき「私」が主人公で、彼が思いを寄せる「黒髪の乙女」こと「明石さん」との関係が4つの中編を通じて描かれているのですが――この4つが、書き出しから同じで、そこここに「もしかしてコピペ?」と思うような文章がちりばめられているんですね。

あ、あれ?と思うんですが、よく見るとちょっとずつ違う、よくよくみると順番も違う、よくよくよく見ると、互いに微妙にリンクしながら違う話になっていてることに気づきます。4つは「パラレルワールド」の物語で、進むにつれてどんどん不思議の世界に引きずり込まれてゆくつくりになっているんです。全く新しい小説の形、その発想力にめちゃめちゃ驚かされました。

ちなみにNetflixでは『夜は短し』と同じスタッフが作った『四畳半神話大系』のアニメ版が見られます。こちらもものすごく面白いので、『夜は短し』にハマった人は、小説と合わせて是非ご覧くださいませ。

『夜は短し歩けよ乙女』大ヒット公開中!

文/渥美志保

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