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【やっぱり半身浴より全身浴だった】美に繋がる”温め”の基本についておさらい! [VOCE]

2017年01月27日(金) 18時20分配信

女性にとって冷えは大敵なんです

寒くなってくると肌のうるおいもハリも失われがち……と、毎冬悩んでいる人も多いのでは? そして、体が冷えることはさまざまな不調を引き起こします。そう考えると、美の基本ってやっぱり“温め”なのかも。

基本に帰れ! 美は温めから

温めることが良いのは何となく分かっているけれど、ここらで一度、冷えのダメージ、温めの美容効果を学び直してみませんか? 冷え研究の第一人者として知られる有明医療大学教授の川嶋朗先生にお話を伺いました。

今さらですが……、そもそも冷えるとなぜ美容にダメージが出るのですか?

「ひとことで言うと、血巡りが悪くなるからです。血巡りが悪くなると、当然肌のターンオーバーも滞りますから、様々ないらない物質が止まってしまう。たとえばシミは色素沈着でできますが、その色素を運び出すのも血液ですからね。また血巡りが悪いと、酵素の反応速度も遅くなります。するとコラーゲンの合成時に働く酵素を作り出せなくなり、ハリや弾力も失われる。脂肪分解も酵素の働きによるものですから、冷えているとズバリ痩せません。じゃあ冬は痩せにくいの?と思うかもしれませんが、それは反対。寒くなると体は熱を作ろうと基礎代謝を上げますから、普通の生活をしていれば痩せるはずなんです。『冬のほうが太る』という人がいたら、それは動かずに食べるからです(笑)」

冷えていると知らず知らず、肌に負担をかけ、体も太っているということ……。では自分が冷えているかどうか、どうやって見極めればいいのでしょう?

「平熱が35度台の人は、文句なしに冷えてますね。日本人の成人の平熱を正確に調査したのは60年前が最後なんですが、36.9度だったんですよ。しかも4割の人は37度を超えていた。人は本来、それぐらいの体温を持っていたんです。36度代の人も、起き抜けにワキの下を触って、布団の中で体の他の部位と比べ冷たい部分があったらそこは血巡りが悪い、つまり冷えているということです。起きた瞬間というのは、布団の中なら全身の温度が同じはずですから」

実は半身浴より全身浴がいい

そう聞くと、ほとんどの人は冷えている可能性が高そう。とはいえ、温めに関しては様々な情報が飛び交う昨今。本当に効果的な温め法とは?

「温めといえばお風呂ですが、私のオススメは、38〜39度での30分の全身浴です。体温が2度上がると、ヒートショックプロテインといって、体内のいらなくなったものを排出してくれたり壊れたものを修復してくれる物質が増えるからです。


ではなぜ38〜39度に30分浸かることをオススメしたかというと、たしかにいきなり熱いお風呂に入ってもヒートショックプロテインは作られますが、ぬるいお湯にゆっくり浸かったほうが作られる量が増えるし、日持ちもするんです。


もう一つ、体温というのは急に上げると急に下がってしまうので、熱いお風呂に短時間浸かったのでは温め効果が持続しにくい。また体温が40度を超えると、自律神経がひっくり返ってしまう。つまり40度以上のお風呂に入ると交感神経が優位になり、目が覚めてしまうのです。朝、シャキッとしたいときならいいのですが、寝る前にはNGなのです」

30分の全身浴とおっしゃいましたが、半身浴ではダメなのですか?

「全身浴と半身浴の最大の違いは、水圧です。全身浴のほうがより血管の圧迫されますから、心臓に戻る血液量が増えて血巡りが良くなるんです。半身浴というのは、血液が一気に心臓に戻ると困る、心臓が弱いに人の入り方。美容にいい入り方ではないんですね。おそらく半身浴がいいと感じているのは、長く浸かってものぼせにくいからですよね? でも38度ぐらいのぬるいお湯なら、全身浴でものぼせませんし汗もかかないはず。むしろ、30分ぐらい浸かっていないと寒くて出られないと思いますよ。


またお風呂に関しては、入るときだけでなく出たときも大事。必ず浴室の外を温めておいてください。お風呂から出て急激に体が冷えると、交感神経が優位になってしまいますし、心臓への負担も大きいですから。今は、年間の自宅での事故死が17000件にも上るのですが、この大半がお風呂とトイレなんです。つまり、寒い浴室で熱いお風呂に入ることによるヒートショックが原因。年間の交通事故死数が約5000件ですから、いかに危険が高いかが分かりますよね。浴室内も外も十分に温めておいてください」

地中に向かって伸びているものを食べよ!

大根や牛蒡などがオススメ。

地中に向かって伸びているものを食べよ!

お風呂以外にオススメの温活についても教えていただけますか?

「食事温活は、体温より低いものは摂取しないことが基本ですが、食材にもこだわってください。冬なら、色の濃いもの、そして地中に向かって伸びていっているもの、を摂るのがいいでしょう。大根とか牛蒡などですね。鍋はこういったお野菜がたくさん入っているので、いいと思います。発酵食品も多く入っているキムチ鍋なんて、最強ですね。また鍋のお汁にはそういった食材の栄養分がしみ出していますから、ぜひ雑炊などにして摂取してください」

アルコールはやはり、冷えの観点からするとNGでしょうか?

「もちろん冷たいものはダメですが、アルコールそのものには温め効果があるんですよ。雪山で遭難した人を探す救助犬は、ブランデーの入った小樽を首に下げてますよね。あれは冷えきった遭難者に飲ませて体温を取り戻させるため。お酒を飲むと冷えるように感じるのは、体内でアルコール成分を分解するのに水が必要なため、たくさん水を摂取するからです。常温以上のお酒で程よい量を飲んでる分には、そんなに冷えませんから安心してください」

湯たんぽは最強の温めグッズ

大きい筋肉がある場所を温めるのが◎

湯たんぽは最強の温めグッズ

お正月休みが開けて忙しくなった今頃に、仕事の合間などに簡単にできる温活はありますか?

「湯たんぽはいいですよ。安いし、温め効果も高い。僕はいつもひざの上に置いて仕事しているんですが、VOCE読者の皆さんもオフィスで机に座っているときや、家でテレビを見ているときなどに使われたらいいんじゃないでしょうか。オススメは、太ももの上に置くこと。太ももは大きい筋肉があり血流が多いので、効果的なんです。

また仕事の合間に短時間で温活したいなら、冷えのツボ・三陰交を押すのもオススメです。くるぶしから指3本上ぐらいの、骨と筋肉の境目あたりです。自宅ならここをドライヤーで温めると、お灸効果も抜群です」

先ほど、大きい筋肉がある場所を温めると良いと伺いましたが、やはり温めには運動して筋肉を増やすことも大事ですよね? 忙しくてなかなか運動する時間が取れない人は、どうすればいいのでしょう?

「日常をきつくすることです。今までより1.5倍大股で早く歩く。エスカレーターを使わず階段を上り下りし、電車の中でも立っている。これだけでもエネルギー消費量が20%アップしますから、その分、熱も多く作られます。現代人は野良仕事をしなくなったので、圧倒的に運動量が減っているんです。だから僕は患者さんに、洗濯物を一枚干すたびに一回しゃがむことをオススメしているんです。これなら特別な運動時間を設ける必要はありませんから、「忙しくて時間がない」とは言わせませんよ(笑)」

冷え続けていると寿命を縮める!?

温めの必要性、そして様々な温め法を教えてもらいましたが、もしこのまま冷えている状態を放っておくとどうなるのでしょう?

「目先の症状としては、痛い、固い、動かない、ですね。肩が凝るとか腰痛、生理痛などは冷えから起こることが多いですから。そこからもちろん肌へのダメージも起こりますし、女性の場合、ホルモン合成の効率も落ちるので生理不順となり、不妊症にもなる危険もあります。また冷えは、ガンや鬱まで引き起こすと言われているのです。ガン細胞は酸素を使わずに増えるのですが、血液が冷えていると血液は酸素を手放さなくなりますからね。


私たちの調査では、60%以上の女性が『冷えている』と言うんですよ。しかも、年代が下がるほどその割合が増えていく。これはなぜのか……と考えたのですが、若い人ほど文明に毒されているからだと思うんですよ。冷たいもの、乗り物でラクする、エアコンで体温調節がなまる……など。熱中症が増えているのも同じことで、文明化により体温調節機能が弱ったからだと思います。でも冷えは治ります。体の熱は、筋肉によって作り出すことができますから、若いうちにどれだけ筋肉を作れるかが勝負。VOCE読者のみなさん、今のうちに頑張ってください!」

教えてくれたのは

川嶋朗さん
医師。北海道大学医学部卒業。専門は内科、統合医療、自然医療。現在、東京有明医療大学保険医療学部鍼灸学科教授、東洋医学研究所付属クリニック医師(診察は月、木、金、土)。『取り戻せ、“自然治癒力”統合医療で治す』(世界文化社)、『「冷えとり」で体内酵素を活性化する方法』(主婦の友社)など多数の冷え、自然医療に関する著書がある。

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