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父が亡くなってから、 金銭的援助を求めてくる母。どう付き合う [mi-mollet]

2016年11月02日(水) 17時00分配信

青パンツさんからの質問
Q.父が亡くなってから、 金銭的援助を求めてくる母との関係に苦しんでいます。
私は41歳の一人っ子で、父は4年前に他界しました。子離れできていない母は、私に対して「一人暮らしなどなぜする必要がある?」という考えでしたが、昨年職場の異動を理由にやっと家を出ました。とはいえ母とは仲良しで、亭主関白の父の前では同志ともいえる関係でした。が、父が亡くなってから少し変わってきました。母は自分の両親の介護をしていますが、昨年祖父が亡くなってから生活費に困り始めたようで(祖父の分の年金がなくなったため)、毎月私に援助を求めるようになりました。祖母と母と二人分の年金が入っているはずなのに……。私は安定収入があり、未婚で出費が多いわけでもないし、父の「ママを守って」という遺言を守るつもりでできる限りのことをしてきました。が、精神的に限界にきています。母は、家を含め父の遺産の相続権が私にもあることは認識しつつも、私を育てるうえでどれだけお金がかかったか語り出し、すべて自分で使えるようなことを言います。周囲を見ると、家を建てるお金を親に援助してもらったなど、うらやましい話ばかりが耳に入ってきます。母は一体何にいくら使っているのか? 家計簿をつけられないので、レシートを取っておくように言ってもダメです。母とどのように付き合っていくべきか、アドバイスいただければと思います。

特別ゲスト 金子稚子さんの回答
A.お母さまが一人立ちできるよう教育をする。それが大人世代の娘の役目だと思うのです
ご相談を読ませていただきまして、青パンツさんはやや、「母親とは恩を返さなければならない存在」と決めつけていらっしゃる印象を受けました。お父様からの「ママを守って」という言葉に縛られているようですが、“守る”とはどういうことか、今一度熟考されてはいかがでしょうか。そうしたとき、果たして自分に依存させることが守ることだと、言えますか? お母さまを独り立ちさせることのほうが、私は“守る”ことにつながるのではないかと思うのです。なぜなら、お母さまの方が先に亡くなるとは限らないから。アナタが先に死んだら、お母さまはどうなるのでしょう? つまり、今度はアナタがお母さまを教育する、その順番にきているのではないでしょうか。

そこで2つの方法を提案させていただきます。

まず1つは、お母さまの家計管理を徹底的にされる、という方法です。おこづかい制にして、それこそ“生き死に”のイニシアチブを握ってしまうのです。その結果、お母さまの青パンツさんへの依存度はさらに高まるでしょうが、「一体何に使っているのか……」といった、今の苦しさはなくなるでしょう。

そしてもう一つの方法は……、これは少し厳しいですが、お母さまを突き放す、という方法です。お母さまは、青パンツさんを育てるうえでどれだけお金がかかったかなど、お金を交渉材料に娘をかしずかせようとしていらっしゃいます。ですから「家もいらないから、この先は一人でやっていって」と突き放してしまうのです。もちろん、周囲から「親を見捨てた」などと責められる可能性は高いですが、今のように母親に振り回される苦しみはなくなるでしょう。何より、青パンツさんの覚悟が伝わりますから、お母さまも態度をあらためるかもしれません。

私の学生時代の友人に、一人っ子で北海道から上京してきていた子がいました。彼女はあるとき高熱を出して、母親に電話をしたのです。するとお母さんはこう言ったそうです。「離れて暮らしている私にどうしろと言うの? 自分で何とかしなさい。(ガチャン)」と。彼女はそれ以来、日頃から熱が出ないよう自分の健康管理に気をつけるようになり、万が一熱が出たときにかかる医療機関も調べていました。彼女のお母さまがとったこの態度こそ、“守る”ということだと思うのです。それを、青パンツさんもお母さまにされてはいかがでしょうか。

私も終活ジャーナリストの仕事を通して、母親が一人で生きて幸せであることが、一番良い状態なのだと気づきました。そこからは、逆教育です。その結果、今の母は何でも相談できるかかりつけ医もいますし、自分に何かあったときのためのホットラインを自分で確立しています。そして普段は、趣味もあり友達もたくさんいて、忙しく楽しい毎日を送っているのですよ。

今の大人世代というのは、母親にはあまり働いた経験がなく、娘のほうが社会経験が豊富、という逆転現象が起きている世代だと思います。つまり、娘のような母親と、母親のような娘――。だから大変ですが、これからの超高齢社会を母親に幸せに生きてもらうためには、母親が自立できるよう娘が教育をする必要が出てきていると思うのです。その教育をガツンとするのか、やんわりとするのか、それは人それぞれですが。

大変なことですが、今やらないと、間違いなくこの先はもっと大変なことになります! お父さまの言う「ママを守って」は、きっとそういうことだったのではないかと、私は思うのですが、どうでしょうか!?

 
PROFILE

金子稚子(かねこわかこ)
1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。

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