• > 沖縄料理の「神」が今こそ私たちに伝えたいこと [おとなスタイル]

沖縄料理の「神」が今こそ私たちに伝えたいこと [おとなスタイル]

2016年11月02日(水) 09時00分配信

琉球料理を次世代に―。 山本彩香さんを知っていますか?

料理家・山本彩香さん

琉球料理を次世代に―。 山本彩香さんを知っていますか?

かつて、沖縄に琉球料理の名店がありました。その名は「琉球料理乃山本彩香」。
一流の料理人や、ジャンルは違えど多くのプロフェッショナルたちからリスペクトされ続ける、料理家・山本彩香さん。
琉球料理の伝道師が、私たちに“忘れてほしくないこと”とは―。
母の作ってくれた夏の冷たいおつゆ

アーサのおつゆ

母の作ってくれた夏の冷たいおつゆ

アーサをご存じですか。アオサとも呼ばれていて、砂地や岩場のようなところに生える緑藻です。
沖縄の海岸は旧暦の3月~4月の頃になると、アーサの鮮やかな緑一色になるんです。昔は誰もが海へ下りていき、アーサを採ったものです。
どんなふうに食べるかというと……夏ですね、学校から帰ると、家のそばにあった大きな木の下で 母が涼みながら私を待っているんです。そしていつも家で作ったアーサのおつゆを、箱の中に氷を入れただけの当時の冷蔵庫で冷やしておいてくれていた。
沖縄の夏は暑いでしょ。小さな四角に切った白い豆腐が浮かぶ、アーサの緑色のおつゆは目にも涼しいものです。口に含むとさわやかで、スーッとからだの中の熱が消えていくよう。それは今でも忘れられない、鮮烈なおいしさの記憶です。
私が思うに、琉球料理で冷たくして飲めるのは、このアーサのおつゆだけ。かつおだしにアーサを放ち、豆腐を浮かべて、塩で味を つけるおつゆには油が入りません。だから冷たくして食べられる。
沖縄に古くから伝わる、唯一の夏の冷たい料理。そういうものを忘れ ないでくださいね、と言いたいんです。
大切な文化がどんどん忘れ去られてしまう、こんな時代だからこそ。

 

『おとなスタイル』Vol.4 2016夏号より
(撮影/奥間 聡)

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る