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おとなスタイルブロガー・笹生八穂子さんが注目する おとなの丁寧な暮らしとは? [おとなスタイル]

2016年07月09日(土) 09時00分配信

お顔もたたずまいも笑顔もそっくり。

楽しいイベントには、楽しい“おとな”がつきもの。要注目な人とその魅力を、“素敵なひと発掘人”の笹生八穂子(ささおやほこ)さんがご紹介します。

 

丁寧に暮らす
「ギャラリーfeve」& 「ダンディゾン」オーナー 引田ターセン+かおり夫妻


片づけるのではなく、「生き方」を整える 

吉祥寺にあるギャラリーとパン屋さんのオーナー、引田さんご夫婦。長女の舞さんと仕事をするようになり、お二人と知り合うことができた。第一印象は「とにかく、よく似たご夫婦」ということ。お顔もたたずまいも笑顔もそっくりで、違うのはご主人のターセン(みんなこう呼ぶ)の笑い声が豪快なことぐらい。初対面、一応娘の上司である私に、「おう!!  笹生、話は聞いてるよ」という一言には驚いたけど、その笑顔と豪快さで距離感をグッと縮め、あっと言う間に娘のように温かく包み込む、なんとも大きな人である。奥様のかおりさんはその横で、気遣いながらも朗らかでこれまた温かい。お邪魔した家はとてもきれいに整頓され、落ち着いたリゾートホテルのように心地よい。ただ、片づいているのとはどこか違う。見たことはないけれど、きっとカーリンこと、かおりさんは毎日、玄関を掃き清め、床も腰を落として拭き掃除をしているのではないかと思う。毎日いる自宅でも、目線の位置が変わると見えなかったものが突然目に入ってくる。「ものがすぐ増えちゃう」という「言い訳」を作らない。片づけるのではなく、生き方を整える。まさに「生き方」が家に表れている。逆に家の中に並ぶものはどれも大切にされている匂いがするものばかりで、愛おしく使い込まれていて、朝ご飯、手仕事、読書の時間、どれひとつをとっても美しい。いま、そんな二人に注目が集まるのも大きくうなずける。天気の良い日「きょうは雑巾がけしてみようかな」とやる気にさせてくれる。「丁寧な暮らし」が幸せを育むことを教えてくれるご夫婦だ。

煎茶道美風流家元の中谷美風さん。

丁寧を習う
煎茶道美風流家元 中谷美風さん


立ち止まることは迷うことと違う

丁寧な暮らしとはいったいなんなのか? そんなことを考えるとき、思い浮かぶ人が何人かいる。そのひとりが奈良に住む煎茶道美風流家元の中谷美風(なかたにびふう)さんである。茶道といえばお抹茶が浮かぶが、煎茶道は茶葉で煎茶をいただく。美風さんは道服姿にロン毛と見た目は類のない姿だが、家元として活動されると同時に文人趣味を広めようと日夜奮闘し、詩書画、生け花、盛り物、篆刻(てんこく)、漢詩、古琴ととにかく幅広いジャンルを興味深く教えてくれる。ある時、美風さんが教えてくれたのが「立ち止まる」知恵。
日々、忙しく追われるように暮らすことで充実している気持ちになりがちな私たちに、『立ち止まることは迷うこととは違う。じっとしているのは牡鹿が春を待つようなもの。迷うと不安にかられて闇雲に動きまわるが、寒い冬にじっと立ち止まれるのは、いつか必ず春がくることを知っているから。立ち止まれることは強さでもある』と。話題は中国の老荘思想や禅の話まで実に多岐にわたり、心に浸み、それはとても「丁寧な時間」となる。この冬、大工仕事も見事にこなす家元が、煎茶の文化啓蒙と自身の楽しみに「茶・アートカフェ うつぎ」を自ら拵(こしら)えた。そこではどんな時間が流れるのか、いまから訪ねるのが楽しみだ。

「茶・アートカフェ うつぎ」

煎茶の文化啓蒙と自身の楽しみに家元自らが拵えたというカフェ。
<笹生八穂子さん プロフィール>
1962年9月6日生まれ。テレビ、ラジオ、web新聞、雑誌などのメディアから、デザイン・アートイベント、国際プロジェクトまでさまざまなコンテンツを手がける。おとなスタイルHP内でブログも連載中。

おとなスタイルVol.3  2016 春号より

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