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「余命」を知らせる“神様メール”で思い知る「人生の充実度」 [with]

2016年06月13日(月) 17時30分配信

『神様メール』

『神様メール』は、「神様はブリュッセルのマンションの一室でパソコンを通じて人間を観察し、時折いたずらに運命を変えたりする」というミラクル・コメディのベルギー映画。

主人公はその娘エア(イエス・キリストの妹設定)で、横暴で思い遣りのかけらもない父親に腹を立てた彼女は、人々をそうした運命から解放するために、それぞれの余命を通知するメールを全人類に一斉メールしてしまいます。良かれと思ってやったことですが、もちろん人々は大パニック。エアは家出して人々を救う旅に出、小さな奇跡を起こしてゆきます。

『神様メール』

メールで知らされる「余命」の長さはそれぞれに異なるのですが、それを知ることで行動し始める人は「これまで囚われてきた世界を捨てる」という点で、共通しているといえるかもしれません。幼い頃に片腕を失った孤独な性は、思いもよらない相手からの告白に心を開き、夫に愛想をつかしていたご婦人は、強くて優しい「ゴリラ」(普通の、動物園のゴリラ)の腕の中に安住を見出し、男の子は念願だった「女の子になること」を決意します。

5月27日(金)、TOHOシネマズ シャンテ ほか全国ロードショー

映画を見ていて思うのは、やっぱり「もし自分なら」。例えば余命1年くらいだったとしたら、仕事なんてスパッと辞めて、行きたい行きたいと思いながら行きそびれている場所、イスタンブールとかヴェネチアとかに一か月くらいの長期旅行に――と思ったのですが、考えてみたらそれくらいのこと、余命宣告なんかなくてもできるし、これまでの世界に囚われっぱなし……。思い切ってやってしまうエネルギーに欠けた毎日は、実のところ人生を生きていないということなのかもしれません。
子になること」を決意します。

中途半端な奇跡しか起こせないエアの奮闘が本当に可愛い本作ですが、特にラストシーン、ダメな父親(神様)に代わってラブリー好きな母親(女神)によって再編成された新たな世界は、映画史上屈指の必見の可愛さ。世界がこんな立ったら、きっとみんなハッピーでいられるのになあ。(文:渥美 志保)

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