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声は意外に年齢が表れやすい場所。実はカラオケ好きな漫画家の柴門ふみさんもここ数年、ご自身の声の変調が気になっていたのだとか。そこで柴門さんに「声の若返り」に挑戦していただきました！

明瞭で落ち着きのある声が魅力の柴門さん。若いころは低い声がかわいげのない声に感じられてコンプレックスだったのが、30代になると「いい声ですね」と褒められることが増え「この声も私らしさのひとつ」と好ましく思えるようになったそうです。しかしここ数年、その声に気になる変化が！
「年に数回ですが、友達とふたりでカラオケに行って、6時間ぐらい歌いまくるのが私の密かな楽しみ。でも以前は確実に出たはずの高い音が出なくて、歌えない……。普段も、とっさに話すとガラガラ声に。これって声の老化かしら」
そんな柴門さんが1ヵ月間、声のアンチエイジングに挑戦しました。さてその結果はいかに!?

「声の老化」とは具体的にどのような状態のこと？そして「声の老化」は、どうして起こるのでしょうか？声の専門医である渡嘉敷先生に、解説していただきました。

体の衰えは、声の老化に直結する

声を発声させるのは声帯です。　この声帯が衰えることにより、声も老化していきます。加齢によって声帯筋を覆う粘膜内のヒアルロン酸が減少することで潤いが低下したり、喉の酷使によって声帯に細かい傷・ポリープなどができると、声帯が滑らかに震えることができなくなり、声に雑音が混じり、ざらついた印象になります。
また声帯の開閉は、喉周辺の筋肉によって行われますが、他の部位と同じように加齢で筋力が衰えると声帯が緩んで振動しにくくなり、声は低く、かすれていきます。
女性の声が最も大きく変わるのは閉経の前後。女性ホルモンの減少によって声帯が男性化して太くなり、20代の女性に比べるとピアノの鍵盤で5～6つ分、声が低くなってしまいます。同時に口や舌の筋力の低下で滑舌が悪くなり、肺活量が落ちて声量もダウン。身体の老化によって、声もしわがれて、老けていきます。
しかし声が大きく変化するこの閉経前後の時期は、声のアンチエイジングを心がけることによって声の老化を食い止め、同世代の女性より元気で若々しい声をアピールできる絶好のチャンスとも言えます。おとな世代で美声の持ち主と言えば、宝塚出身の大地真央さんや天海祐希さん。舞台で培った発声法を活かし、若々しく響きの美しい彼女たちの声を目標に、声の若返りを目指しませんか。
声を積極的に出すのが最大のアンチエイジング法

医学的には、声のアンチエイジング手術や治療法がいくつかあります。たとえば加齢で減少したヒアルロン酸を声帯に直接注射すると、声帯になめらかさが蘇り、しわがれ声が改善しますし、手術によって声を高くして張りを取り戻すこともできます。

しかし、あえて手術や注射を受けなくても、日常生活でできる声のアンチエイジング法もたくさんあるので、声に衰えを感じたら、まずは日常生活の改善から始めてみてはいかがでしょう。習慣を変えるだけでも、徐々に効果が表れてきますよ。
第一に、声帯に大きなダメージを与える喫煙をしないこと。喉への刺激が強い香辛料を過剰に使った激辛メニューなどは控えて。
そして声帯とその周辺の筋力低下を防ぐためには、声を積極的に出すことが重要。友人や家族と会話やカラオケを楽しむのもよいトレーニングになります。
生活環境で気を付けたいのは、加湿です。声帯の粘膜の乾燥を防ぐため、加湿器などを利用し、通年で適度な湿度管理を。また体内の水分量を上げるために、こまめな水分補給を心がけましょう。
声は、トレーニングすれば50代でも十分に改善が望めます。楽しみながら、元気で若々しい声を取り戻しましょう。

＜柴門ふみさん　プロフィール＞
1957年生まれ。漫画家、エッセイスト。『東京ラブストーリー』などの漫画作品のほか『恋愛論』に代表される恋愛エッセイも数多く手がける。最新刊は『大人恋愛塾』（新潮社刊）。

＜渡嘉敷亮二先生　プロフィール＞
東京医科大学卒業。東京医科大学病院耳鼻咽喉科兼任教授、新宿ボイスクリニック院長。声帯ポリープなどの病気治療だけでなく、喉のメンテナンスや、発声方法のアドバイス・訓練なども行う。
おとなスタイルVol.3 2016 春号