女性誌ネットは、講談社の女性誌を集めたポータルサイトです。

楽しいイベントには、楽しい“おとな”がつきもの。これからの3ヵ月、要注目な人とその魅力を、“素敵なひと発掘人”の笹生八穂子さんがご紹介します。

身が引き締まるといえば、素晴らしい建築に出会ったときもそう。それだけではなく、心躍る素敵な瞬間ももたらしてくれます。「若手建築家研究家」と冗談を言われるほどの建築家好きの私ですが、最初に「会いたい」という衝動にかられたのが建築家中村拓志さん。雑誌で見つけた都心の集合住宅を訪れると、水と緑と光と影、そして風が何より心地よい空間で、自然を敬い寄り添う建築家なんだなぁと心打たれたものでした。その後の中村さんの活躍ぶりは目覚ましく、東急プラザ表参道原宿やリボンチャペルなどを作り出しています。この秋、中村さんが初めて手がける空間演出の作品が「サローネイン六本木」です。毎年春にイタリアで開催されるミラノサローネのように、町中がデザインで賑わって欲しいとスタートしたプロジェクトで、世界中から高い評価を受ける日本人デザイナー、建築家、企業の活躍ぶりを伝えるものです。さて、いったいどんな世界が出来上がるのか、いまから秋が楽しみでなりません。

ラジオの仕事に最初に携わってから、はや三十数年。バブル全盛の煌めく時代も崩壊も経験し、いくつもの恋愛もかいま見ながらちゃっかり結婚、気がつけば3人の子持ちに。しっかりシングルマザーになって、あっという間に50代。それでも一番好きな事を仕事にして走り続けています。
ラジオ、テレビ、雑誌、Web、イベントなどメディアを縦横無尽に行き来しながら、仕事は何かと聞かれれば、「素敵な人発掘業」。面白い人がいると聞けば会いに行かずにいられない。好奇心のおもむくまま素敵な人を求めて世界中を飛び回る、そんな私の「素敵な人との素敵な出会い」をご紹介していきます。
ちょうど今年番組開始から10年目を迎えたのが、J-WAVE「GROWINGREED」（毎週日曜日深夜24時〜）。番組のナビゲーターは映画、大河ドラマで活躍し、国民的スターとなった岡田准一くん。しかし、10年前番組スタート時には、プロデューサーの私が「どんなことに興味があるの」と聞いても、目を合わせることなく「うーん」と考え込んでしまう24歳の青年でした。
番組開始から半年ぐらいたった頃、彼と二人でゆっくり話をする機会がありました。それまで寡黙だった青年が、いきなり「自分のやりたいことができない、どうすればいいのかわからない」と。そんな彼に私は「男子25歳、なりたいと思えば宇宙飛行士にだってなれるよ。自分の可能性をみくびってはいけない」と。さらなる質問に「やりたいことを達成するためには、ひとりでやろうとするのではなく助けてくれる人を探して、教えてくださいとお願いすればいいんだよ」と答えました。以来、その気持ちでいつもスタジオに入り、巡り会ったゲストは500人を超え、毎週1時間の番組は「教室」となりました。今、スタジオのサブから眺める彼はとても頼もしく、本当に立派な責任感ある男性に成長したなぁと目をみはるばかりです。彼の活躍ぶりを見るたびに『自分の可能性を信じること』は若者の特権なのではなく、私世代とて同じだと身の引き締まる思いがしています。

＜笹生八穂子さん　プロフィール＞
1962年9月6日生まれ。テレビ、ラジオ、web新聞、雑誌などのメディアから、デザイン・アートイベント、国際プロジェクトまでさまざまなコンテンツを手がける。おとなスタイルHP内でブログも連載中。
おとなスタイルVol.1 2015秋号より