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平均年齢70歳!仕事を生み出す新プロジェクト [おとなスタイル]
2017年11月22日(水) 10時00分配信
寿命100歳時代を迎えつつある今、50代はまだ人生の半分。
ストレスフルで忙しい日々の中で、折り返しから先の長い道のりを心身ともに健康で幸せに、過ごしていきたいと思ったら、いったいどんな風に生きればいい?
歳を重ねるのは、実はとても豊かで幸せなこと。
ほんのちょっと視点を変えれば、年齢と経験は、確実に武器になる。「私」が主役になれるチャンスは、実は今、どんどん増えているのです。
今回、東京都世田谷区、多摩川を望む閑静な住宅街を拠点に活動する平均年齢70歳のワーキング・グループがいると聞いて、現場を訪ねてみた。
ストレスフルで忙しい日々の中で、折り返しから先の長い道のりを心身ともに健康で幸せに、過ごしていきたいと思ったら、いったいどんな風に生きればいい?
歳を重ねるのは、実はとても豊かで幸せなこと。
ほんのちょっと視点を変えれば、年齢と経験は、確実に武器になる。「私」が主役になれるチャンスは、実は今、どんどん増えているのです。
今回、東京都世田谷区、多摩川を望む閑静な住宅街を拠点に活動する平均年齢70歳のワーキング・グループがいると聞いて、現場を訪ねてみた。
世田谷区の『せめてしゅういち』の働き方
4月のある日、メンバーはカフェに集まって会議中。じつはこのカフェの運営も彼らの仕事のひとつで、キッチンで料理を作る人も、経理を担当している人も、みんな60歳以上だ。このグループの名は『せめてしゅういち』。
「“せめて週一回は元気に会いましょうね”という思いを込めたネーミングです。定年を迎え、子供たちも独立、仕事や人生が一段落して何かしらの転機を迎えるのが60代。今の時代の60代は体力も気力もまだまだある。にもかかわらず、“リタイア組”といわれ、居場所をなくしてぽっかりしている人が意外と多い。そういった思いを持つ60代以上の人が楽しく過ごせて、さらに、そこから新たなやりがいや生きがいを見つけていく……そんなきっかけになればと思い、このプロジェクトをスタートさせました」と話すのは、代表の森田清子さん(以下、清子さん)。
行政も注目するという『せめてしゅういち』の大きな特徴は、メンバーの一人ひとりが自発的に仕事を生み出し、収益につなげていることだ。そもそもこのユニークな取り組みはどこから始まったのか、清子さんが話してくれた。
「演出家である私の夫・森田雄三と私は、約40年前から俳優のイッセー尾形さんの舞台に関わる仕事をしてきました。さらに1995年からは“フツーの人々の日常”を題材にして芝居を作り、それを一般の人が演じるというワークショップを全国で開催。しかし数年前、夫が体調を崩したこともあって、興行の仕事を一旦、休止することに。そこで、芝居の稽古場として使っていたスペースを利用して、カフェと、障害のある子供たちのためのデイケア施設を開設することにしたのです。
ちょうどそんなときに、東京しごと財団(*1)が、60歳以上を雇用するモデル事業計画の募集を知り、“あ、これだ!”と直感。私たち夫婦を始め、これまでワークショップを通じて知りあった人、そして、この地域にも、いわゆる元気な高齢者がたくさんいる。だったら先に作ったカフェを活動拠点にして、彼らが集い、やりがいを感じられる仕事場を作ろうと動き出したのです」
そんな熱い思いを“60歳以上の人が自身で働く場を生み出し、情報交換をするプロジェクト”として申請。森田夫妻が応募した企画は高齢者職域開拓モデル事業(*2)に認定され、立ち上げ資金などの助成を受けて2015年4月にスタートした。現在、主に8人のメンバーが、カフェの飲食の提供、デイケア施設の弁当作り、イベントやパーティ用のデリバリーやケータリング、さらにラジオ番組の制作、各種のワークショップなどを行っているという。
「“せめて週一回は元気に会いましょうね”という思いを込めたネーミングです。定年を迎え、子供たちも独立、仕事や人生が一段落して何かしらの転機を迎えるのが60代。今の時代の60代は体力も気力もまだまだある。にもかかわらず、“リタイア組”といわれ、居場所をなくしてぽっかりしている人が意外と多い。そういった思いを持つ60代以上の人が楽しく過ごせて、さらに、そこから新たなやりがいや生きがいを見つけていく……そんなきっかけになればと思い、このプロジェクトをスタートさせました」と話すのは、代表の森田清子さん(以下、清子さん)。
行政も注目するという『せめてしゅういち』の大きな特徴は、メンバーの一人ひとりが自発的に仕事を生み出し、収益につなげていることだ。そもそもこのユニークな取り組みはどこから始まったのか、清子さんが話してくれた。
「演出家である私の夫・森田雄三と私は、約40年前から俳優のイッセー尾形さんの舞台に関わる仕事をしてきました。さらに1995年からは“フツーの人々の日常”を題材にして芝居を作り、それを一般の人が演じるというワークショップを全国で開催。しかし数年前、夫が体調を崩したこともあって、興行の仕事を一旦、休止することに。そこで、芝居の稽古場として使っていたスペースを利用して、カフェと、障害のある子供たちのためのデイケア施設を開設することにしたのです。
ちょうどそんなときに、東京しごと財団(*1)が、60歳以上を雇用するモデル事業計画の募集を知り、“あ、これだ!”と直感。私たち夫婦を始め、これまでワークショップを通じて知りあった人、そして、この地域にも、いわゆる元気な高齢者がたくさんいる。だったら先に作ったカフェを活動拠点にして、彼らが集い、やりがいを感じられる仕事場を作ろうと動き出したのです」
そんな熱い思いを“60歳以上の人が自身で働く場を生み出し、情報交換をするプロジェクト”として申請。森田夫妻が応募した企画は高齢者職域開拓モデル事業(*2)に認定され、立ち上げ資金などの助成を受けて2015年4月にスタートした。現在、主に8人のメンバーが、カフェの飲食の提供、デイケア施設の弁当作り、イベントやパーティ用のデリバリーやケータリング、さらにラジオ番組の制作、各種のワークショップなどを行っているという。
森田清子さん(60代)
もりたきよこ/イッセー尾形・ら株式会社代表取締役。夫の森田雄三氏と2013年にカフェ「楽ちん堂」をオープン。’14年、発達・精神障害の子供のデイケア施設「イクツアルポック」開設。
もりたきよこ/イッセー尾形・ら株式会社代表取締役。夫の森田雄三氏と2013年にカフェ「楽ちん堂」をオープン。’14年、発達・精神障害の子供のデイケア施設「イクツアルポック」開設。
小林千鶴子さん(70代)
こばやしちずこ/夫に40年間作り続けていたお弁当の腕を買われ、今やデリバリー事業のホープ。二子玉川のIT企業でも千鶴子さんのお弁当は人気。
こばやしちずこ/夫に40年間作り続けていたお弁当の腕を買われ、今やデリバリー事業のホープ。二子玉川のIT企業でも千鶴子さんのお弁当は人気。
山渕達也さん(70代)
やまぶちたつや/商工会の経営指導員を定年まで勤め、退職後は専門学校の契約講師として簿記や経営管理を教える日々だった。
やまぶちたつや/商工会の経営指導員を定年まで勤め、退職後は専門学校の契約講師として簿記や経営管理を教える日々だった。
加藤昇太さん(60代)
かとうしょうた/ラジオ番組制作会社に現在も勤務。スタッフ参加の「昭和からのメッセージ」を制作、放送中(SBC信越放送ほか)。
かとうしょうた/ラジオ番組制作会社に現在も勤務。スタッフ参加の「昭和からのメッセージ」を制作、放送中(SBC信越放送ほか)。
増島季美代さん(60代)
ますじまきみよ/長年、映画やドラマの美術、小道具の会社を経営。将来、『せめて……』のウェディング部門を担当の予定。
ますじまきみよ/長年、映画やドラマの美術、小道具の会社を経営。将来、『せめて……』のウェディング部門を担当の予定。
吉村順子さん(60代)
よしむらじゅんこ/鶴見大学教授。専門は臨床心理学、教育心理学。著書に『特殊事例がひらく心の世界』(共著)ほか。
よしむらじゅんこ/鶴見大学教授。専門は臨床心理学、教育心理学。著書に『特殊事例がひらく心の世界』(共著)ほか。
*1
東京しごと財団
東京都の公益財団法人。働く意欲を持つ都民のために、その人のキャリアや能力を生かした雇用や就業を支援してくれる。また、東京のものづくり振興のために人材を育てる活動など地域社会に役立つ働き方をサポート。高齢者世代への支援にも力を入れている。
*2
高齢者職域開拓モデル事業
*1の東京しごと財団と東京都が連携して、働きたいシニア世代をサポート。
シニア世代が中心になって活躍できる場を広げるために、企業・NPO団体等が新事業立ち上げや既存業務拡大などの際に、立ち上げ資金の援助やアドバイスなど、幅広く支援してくれる。
『おとなスタイル』Vol.8 2017夏号より
撮影/山崎智世
東京しごと財団
東京都の公益財団法人。働く意欲を持つ都民のために、その人のキャリアや能力を生かした雇用や就業を支援してくれる。また、東京のものづくり振興のために人材を育てる活動など地域社会に役立つ働き方をサポート。高齢者世代への支援にも力を入れている。
*2
高齢者職域開拓モデル事業
*1の東京しごと財団と東京都が連携して、働きたいシニア世代をサポート。
シニア世代が中心になって活躍できる場を広げるために、企業・NPO団体等が新事業立ち上げや既存業務拡大などの際に、立ち上げ資金の援助やアドバイスなど、幅広く支援してくれる。
『おとなスタイル』Vol.8 2017夏号より
撮影/山崎智世