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【健康Q&A】父の死後、うつ状態になっている母との向き合い方は? [mi-mollet]

2017年10月10日(火) 14時00分配信

Chilipadiさんからの質問
Q. 父の死後、うつ状態になっている母との向き合い方について教えてください。

8年ほど前に父を膵臓癌で亡くしました。母は社交的で行動力がある人でしたが、父の死後、心身のバランスを崩し鬱病に。一時は死にたいと口走り体重も激減しましたが、心療内科にかかったり、私たち姉妹が交代で実家に帰ったりと試行錯誤した結果、何とか一人暮らしができるまでになりました。ただ、昔のように趣味や好きなことをして楽しく過ごしてほしいと思うのですが、犬の散歩位しか外に出ず、一日が終わっているようです。面白そうな本を送っても疲れるといって読まない、TVの録画法を教えても、結局つけた時しか見ない……。身体は元気なのですが、一人では何をするのも億劫なようで、ご飯だけで食事を済ませたり、かと思えばお菓子を一箱ドカ食いしたり、お風呂も入らずに寝てしまったり、と心配です。何とかしてあげたいけど、本人の意識が変わらない限り無理なのかなぁ……。私たち姉妹も、仕事と子育てがあるので、頻繁に顔を出すこともできず。逆に子供が熱を出したときなど、手伝ってもらえたら助かるのに、とイライラしては、わがままな自分に落ち込むことも。父の死後から10年近く経つし、母は「長男の嫁」という立場で苦労もしてきたし、これからは自分の人生を楽しんでもらいたいのですが……。母への向き合い方についてアドバイスいただければ嬉しいです。(35歳)

特別ゲスト 樋野興夫先生の回答
A. 家族がやってダメなときは第三者に連れ出してもらうのが良いかもしれません。

悲しみから立ち直るには時が必要です。が、お父様が亡くなってから8年の歳月が経っているのですよね。たしかに、少しケアが必要かもしれません。

大切な伴侶を失くして落ち込んでいる親を慰めたい、という相談は、がん哲学外来カフェでも少なくありません。そのようなとき私は、一緒に食事をしたり買い物をしたり旅行をしたりと、ただ一緒にいて寄り添うことをお勧めしています。ですがChilipadiさん姉妹は、そういった努力はかなりされてきているようです。そのようなときは、家族よりも第三者が声をかけたほうが聞いてくれるかもしれません。近所の方やお友達にお願いして、悲しみを共有できるような場に連れ出してもらうのが良いのではないかと思います。最寄りのがん哲学外来カフェに来られて、お茶を飲むのも良いかもしれません。

がん哲学外来カフェは全国に開設されていますが、その中には、がん患者さん自らが運営しているものもあるのです。新約聖書には、池の前で38年間寝たきりだった男性に、イエス・キリストが「よくなりたいか」(ヨハネ5章6節)と問うエピソードがあります。するとその男性は、立って歩くようになったのです。この話を講演でしたとき、たまたまあるがん患者さんが聞きに来られていたのですが、その方は講演が終わるなり、がん哲学外来カフェを設立する準備を始めたのです。その人は今も都内某所でカフェを運営し、生き生きと活動されています。お母様にも、これをしたらいい、あれをしたらいいと勧めるばかりではなく、どうしたいのか質問をされたらいいかもしれませんね。ただ家族が聞くとどうしても「放っておいてよ!」となりがちですから、第三者が言ったほうが良いかもしれません。

ただ、何をもって楽しむかは人それぞれです。もしかしたらお母様も、そうやってダラダラと過ごされることを楽しんでいるのかもしれません。“Happy”と“Joy”は違います。“Happy”は外面的なものですが、“Joy”は心の内から湧き出るもの。お母様の“Joy”を見極めて、最後まで見捨てず寄り添ってあげてください。
いかがですか?
樋野先生の回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

樋野 興夫(ひの おきお)
1954年、島根県生まれ。医学博士。順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座教授。一般社団法人がん哲学外来理事長。医療現場と患者の間にある「隙間」を埋めるべく、全国各地で講演をおこなうなど精力的に活動している。著書は『がんばりすぎない、悲しみすぎない。「がん患者の家族」のための言葉の処方箋』(講談社)、『がん哲学外来へようこそ』(新潮新書)など多数。

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