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「アーキ」プレス・谷美恵子さんが葉山で送るシンプルな暮らし [FRaU]

2018年08月22日(水) 10時40分配信

Photo:Takeshi Abe

葉山の森戸海岸から徒歩2分、まるでテラスハウスのような雰囲気を持つマンションの1階にある谷さんのお宅。そしてそこから自転車で5分のところには、彼女のオフィスである『ARCHI』のショップとアトリエがあります。

お話を伺ったのは…
谷恵美子さん
ARCHI(アーキ)のプレス&セールス。1974年、東京都世田谷区生まれ、神奈川県葉山町在住。小学4年生の女の子の母。夫、娘との3人+3匹の猫との暮らし。

葉山に移住して12年。ここにしかない暮らし

Photo:Takeshi Abe

葉山に移住して12年。ここにしかない暮らし

谷さん(以下谷):2006年に、都心から主人の実家があるこの葉山に移住してきました。当時は知り合いもおらず、ずいぶん知らない土地に来てしまったな……、と寂しく感じたこともありますが、今では嘘のよう! たくさんの友だちにも恵まれて、毎日とても楽しく暮らしています。

今でこそ葉山や逗子などのビーチエリアへの移住はトレンドのひとつにもなっているが、2006年当時は、そんな流れはなかったそう。移住して12年、谷さんの生活は一変した。都会には決してなかった、シンプルで充実した、プリミティブな日々がここにある。

 

↑自宅マンションから徒歩2分ほどの森戸海岸は、彼女と家族の癒やしの場所。特に森戸神社の周辺はパワースポットということもあり、度々訪れる大切な場所だとか。

Photo:Takeshi Abe

ARCHIのディレクターである一色紗英さんが、ブランドの拠点を葉山に移したのは今から3年前の2015年冬。その頃谷さんは、青山のARCHIオフィスに週2回通勤していた。そんなとき、一色さんがショップ&アトリエを葉山に移すことになり、社員全員が葉山勤務になったそう。

←ショップがある建物と、オフィスがある建物2棟からなる葉山のARCHI。一般的なオフィスのイメージからはかけ離れた、心地の良い空間。中古物件として賃貸に出ていたものを見つけ、修繕や改装を重ねて今のかたちに。
都会で着る服、海辺で着る服の感覚の違い

Photo:Takeshi Abe

都会で着る服、海辺で着る服の感覚の違い

谷:紗英とは感覚がとても似ているんです。ちょうどロスに移住していた彼女と、『都会で着る服を海辺の街で着ると、なんだか違和感あるよね』なんて話していて。流行のファッションも素敵だけど、袖を通すときに違和感なく着られて、かつ少し気のきいたデザインの服があるといいよねという話をしました。そんなとき、紗英の中で、いつも遊びに来ていた葉山の空気が、これからのARCHIの進む方向性とマッチしたらしいんです。

当初は森戸神社参道沿いに1年間ショップをオープンし、2017年11月に今の場所へ移転したそう。葉山に移住する前の谷さんは、生粋のシティガールだった。’90年代後半の裏原ブーム全盛の頃は、実兄のブランド『HECTIC』でのバイト、『X-girl』のスタッフ、その後『SILAS&MARIA』のプレスを勤め、さらに自身のブランドの立ち上げもする。

谷:20代の頃はどっぷり東京生活でしたね。実家が目黒にあったこともあり、夜な夜な友だちと飲み歩いたり(笑)。

↑11時の出勤から19時まではオフィスにいる谷さん。オンラインショップのシステム管理や商品の発送作業のほか、ときにはショップに立ち接客もこなす。オフィスといっても、まるで山の中の別荘へ遊びに来たかのような心地よい空間を、谷さんは何より愛している。オフィスの庭には、リスなどの動物も遊びにくるんだそう。

Photo:Takeshi Abe

そんな日々の中で、谷さんは25歳のときに大病を患うも、無事完治し30歳で結婚。すると今度は32歳で、重い子宮内膜症を患ってしまう。

谷:自分が大病をするなんて、まさに青天の霹靂でした。そんなとき、義母から葉山に移住してゆっくり静養をしたらどうかという提案をいただいたんです。当時は東京に仕事もあり、充実した日々を送っていたので迷いもあったんですが、主人の後押しもあって思い切ってこちらに拠点を移しました。

そこから3年、治療の甲斐もあり35歳で妊娠、最愛の一人娘を授かることができたそう。

谷:子どもが生まれて、全てが一変しましたね。とにかく可愛くて、離れたくなくて離れたくなくて(笑)。3歳まではとにかく一緒にいようと決めて、幼稚園に入るまでは、みっちり育児をしていました。仕事は細々と続けていて、週2回の青山への出勤がいい気分転換になったりしていましたね。そしてだんだんと娘を通じての友人知人が増えていって。今までとはまったく違うコミュニティーと出会えたことで、私の世界も広がりました。今では連れ立って旅行に行ったり、地元のイベントに一緒に参加したり。葉山にはそんな価値観の合う人が多いんです。どちらかというと、あまり社会にどっぷりハマって生活できるタイプではない私と、似た感覚を持つ人がこっちには多い気がします。

↑谷さんが愛してやまない娘さんの小さい頃の写真。一緒にいる時間がもっと欲しいと言う谷さん、休日は娘さんと一緒に美術館巡りをしたりビーチに散歩に出かけたりと、ずっと一緒に過ごしたいそう。平日もなるべく仕事は家に持ち込まず、ゆっくりと一緒に食事をしながら、その日あった事の話をしたりする時間を意識的に作っている。

Photo:Takeshi Abe

そう話す谷さんは、かねてから田舎暮らしに憧れがあったそう。

谷:私の母がワーキングマザーだったこともあって、のんびりとした田舎での家族暮らしに憧れていた部分がありました。その背景のせいか今も家事や育児は苦になりません。確かに忙しくて大変だなと思うことはありますが、主人や娘のために家事をすることは私の楽しみでもあるんです。とは言っても、母のサポートが欠かせないのも現実です。家に仕事を持ち込みたくないこともあって、娘の下校後から夕食までの時間は母にお任せ。食事は私が朝に仕込んでおいたものを、なるべく帰宅後に一緒に食べることを心がけています。あとは、たまにショップのスタッフの子どもたちも交えてオフィスにあるリビングで鍋パーティーをすることもあります。スタッフも家族ぐるみで仲が良く、楽しく過ごさせてもらっています。

↑大きな天窓から降り注ぐ光がとても美しい、リラックス空間となっている。時にはスタッフと家族ぐるみで食事をしたりする場にも使っているそう。
都会にはなかった、新しい癒やし

Photo:Takeshi Abe

都会にはなかった、新しい癒やし

仕事に育児に飛び回る谷さんの最近の癒やしは土いじりだそう。

:近くに畑を借りて家庭菜園をしています。今はまだまだの腕前ですが、将来は娘に自分で育てた野菜を送ってあげたりしたいなと思って。娘も土いじりや自然が好きなので、そういった活動に力を入れている学校に通っています。野菜の栽培もしているので、逆に娘に教わったりもしています。主人もそんな私たちに影響されてか、テラスの隅で多肉植物を育て始めているんですよ。

Photo:Takeshi Abe

葉山に移住して12 年、暮らしの中の様々なものが削ぎ落とされていったという谷さん。

谷:震災を経て、さらにシンプルに暮らしたい気持ちは高まりました。例えば、電力や火力に頼りすぎない調理方法を実践してみたり。何よりも家族との時間を当たり前と思わず、より大切にしていきたいという気持ちが強くなりました。

海辺での暮らしを選択した谷さんには、かつては自身でも想像し得なかった多くの実りが今、現実のものとなっている。

●情報は、FRaU2018年6月号発売時点のものです。

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