• > 夏川結衣さんが見つけた、楽しく年齢を重ねるコツとは?[mi-mollet]

夏川結衣さんが見つけた、楽しく年齢を重ねるコツとは?[mi-mollet]

2018年06月02日(土) 11時30分配信

写真/横山順子

山田洋次監督が手がける人気シリーズ第三弾『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』で描かれるのは、“主婦への讃歌”。夏川結衣さんが演じる三世代が同居する家を切り盛りする専業主婦、史枝の不満がついに爆発! てんやわんやの大騒動が描かれます。夏川さんは最初に脚本を読んだとき「これは大変なことになった、と思いました」と語ります。


夏川結衣 熊本県生まれ。92年に女優デビュー、『夜がまた来る』で映画初主演、『孤高のメス』では日本アカデミー賞助演女優賞をはじめ数々の賞に輝く。おもな出演作に『歩いても 歩いても』『64-ロクヨン-前編/後編』など。公開待機作に『あの日のオルガン』。

「スーパー専業主婦」の史枝に全力でエールを送りたい

史枝は義理の両親や子供たちの世話をしながら、気難しくて理屈っぽい夫にも口答えせず休むことなく手を動かしている、夏川さんいわく「何でもできちゃうスーパー専業主婦」。へそくりをしていたことを知った夫が「俺が稼いだ金をピンハネしていたのか!」と怒るシーンでは思わず腹が立って、史枝に全力でエールを送りたくなります。
「あのシーンでは(夫役の)西村まさ彦さんが落ち込んでいました(笑)。女性みんなを敵にまわした、って。でも史枝のような人が家を出ていくには、あれくらいの言葉がなきゃいけないと山田監督がじっくりと考えられたのだと思います。私、この家族のなかで史枝が幸せに暮らしていられるのは、義母の富子さんが何でも任せてくれて、細かく家事に口を出さないからだと思っているんです。息子よりも史枝を大事にして、“いつもありがとね”って口に出して言って下さる。外に住む一家の女子たちも何かあれば団結してくれますしね。史枝は幸せな一家に嫁いだ人だと思います」

この年になって得た、涙が出るほどの達成感

今回は夢のなかでフラメンコを踊るシーンも登場。教室に通って練習を積み、撮影に臨んだそう。
「人生初のフラメンコです。脚本には“フラメンコのダンサーが振り向くと、その顔は史枝だった”みたいに書いてあったので、顔だけ合成するのかなと思っていたんです。でもある日、山田監督が“ところで夏川君、練習はやってるの?”って。もうそこから撮影に間に合わせるためにプロの先生に習って、大急ぎでやりました(笑)。短期間で仕上げる必要があったので、指の動きも足の動きもいっぱいいっぱいになって落ち込んで……。でも先生が“必ず間に合わせるから安心して”と言って下さって、ここでもひとりじゃないんだと思って頑張れました。撮影が終わったとき、泣いちゃったんですよ。この年になってあんなに涙が出るほど達成感を得られるなんて、幸せなことですよね。そんなに場所をとらないのに運動量があって、姿勢がよくなって、指先の動きもきれいになる……、フラメンコ、おすすめです(笑)」
「パターン」から外れることが怖くなくなったのは、40歳手前になってから

写真/横山順子

「パターン」から外れることが怖くなくなったのは、40歳手前になってから

『家族はつらいよ』シリーズのほかに『歩いても 歩いても』『64-ロクヨン-』などでも母であり妻である役柄を演じながら、作品ごとにその女の人が歩いてきた人生の奥行きがにじみ出るようなお芝居を見せてきた夏川さん。肩書や役割に捉われず、柔らかな感性でひとつひとつの役に向き合ってきたからこそかもしれません。
「確かに私自身のなかに、妻だから母だからこうじゃなきゃいけない、という感覚がないんです。そういうことに疎くて、経験している人よりたぶんアバウト(笑)。演じた役柄や自分自身がどう受け止められるのかということに関しても、パターンにはまらなくてもいいんじゃないかな、と思っています。女の人たちはもっと自分を甘やかしてもいいと感じることもありますし、たとえば今いる場所がもしもきつかったら、逃げ出してもいい。
職業を変えることも、全然悪いことじゃないと思います。何が自分に向いているかなんて、私も今でもわからないです。パターンにはまっていることで悩んでしまったら、まずは情報収集をするといいかもしれない。そうしたらフラメンコのようなものにも出会える可能性も広がりますよね」

写真/横山順子

女優デビューしてから25年以上がたち、若い頃の方が「今よりもずっとパターンというものに苦しんでいたかもしれない」と語ります。
「女優さんってこうじゃなきゃいけない、現場ではこうしていなきゃいけない…とか、しばりみたいなものがありました。自分の気持ちとしてもそうだし、周りからも求められていたと思います。パターンから外れることの怖さがやっとなくなってきたのは、40歳手前くらいですね。どんな環境のなかにいても一番大事なのは、“自分で自分を否定しないこと”。それがわかってからは、年齢を重ねていくことが楽しみになりました」

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る