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ひざ痛は誰でもなる可能性アリ!今日からできる専門医のタイプ別メンテナンス法 [おとなスタイル]

2018年03月10日(土) 10時00分配信

やみくもな運動は逆効果「ひざ痛対策はタイプで決まる」

イラスト/岡本典子

やみくもな運動は逆効果「ひざ痛対策はタイプで決まる」



〈教えてくれる人〉
銅冶英雄さん
お茶の水整形外科 院長
自身で腰痛を克服した体験から、運動療法・靴・栄養療法を中心に、カラダの痛みを根本的に治す医療を実践。医学博士、米国公認足装具士。近著に「3万人のひざ痛を治した!痛みナビ体操」(アチーブメント出版)


立ち上がりや歩き始めに感じるギシッとした痛み。その症状は、骨や軟骨の老化から生じる“変形性膝関節症”の始まりかもしれません。変形性膝関節症は、ひざに負担がかかるスポーツや生活をしていた人に起こりやすい病気、40歳以上の女性の罹患率は62.4%と高く、誰でもなる可能性が。50代では悩んでいる人も多く、軽視はできません。ひざ痛の場合、運動で体を鍛えていれば防げると考えるのは間違い。
「運動のし過ぎはかえって軟骨のすり減りを引き起こし、ひざを傷めてしまうことも。自己メンテナンスで一向によくならない場合は、ほかの種目や方法に変えるべき。漫然とケアを続けることは勧めません」と、整形外科医師の銅冶英雄さん。
ただし「軟骨には血管がないので、関節を動かしてひざに関節液を行き渡らせ、軟骨細胞に栄養を送るケアは必要です。重要なのは“適切に”ひざを動かすこと」。
ひざ痛対策は、発症原因を確認してから行うと効果的です。次のセクションからは、なんと改善率84%という、銅冶さん考案のタイプ診断と各々のトレーニングを紹介します。
ひざの痛みをとる方法として、以前は手術がよく行われてきましたが、今は、セルフケアでかなりの改善が見込めることがわかってきました。ひざの痛みが始まったばかりの50代ならば、自己ケアで十分対処は、可能なのです。
腰が原因のひざ痛も

資料/御茶ノ水整形外科

腰が原因のひざ痛も

「ひざ痛の主な原因は、関節軟骨のすり減りですが、腰・ひざ関節・ひざのお皿・筋肉など多くの組織が関係し、原因がはっきりしないこともよくあります」と銅冶さん。お茶の水整形外科の治療データでは、ひざ痛の原因部位で多かったのが、1位が腰椎、2位がひざ関節でした。原因が「腰」とは意外ですが、腰椎疾患や椎間板の異常などがあると、ひざに負担をかけたり、離れたひざに「関連痛」として痛みが起きることがあります。

あなたの痛みどのタイプ? ひざ痛のタイプを診断しましょう!

自分に最適なトレーニングを見つける手がかりとなるのが『ひざ痛のタイプ診断』。もっとも多い腰椎タイプから順番に痛みの原因を探ることができます。
診断で大事なことは、腰やひざを動かした後に、「痛みの強さ・可動範囲・歩きやすさ」の3点の変化を必ず確かめること。3点を総合的に判断し、“ひざ痛が改善した動き”があなたのタイプになります。
変わらなかったり、悪化したりした場合は、次の診断に進みます。全て行わなくても、自分のタイプが見つかった時点で診断は終えてOKです。
なお、転倒や捻挫が原因のひざ痛、発赤を伴うひざ痛、ひざに腫瘍がある場合、関節リウマチ、人工膝関節手術を行った人などは、この診断を行えません。

[チェックのやり方]
痛みの原因は個々で違うため、原因になっている場所を自分で見つけ、それに合ったトレーニングを行うのがひざ痛克服へのカギ。どう動かしたらひざが楽になるかで、自分のタイプを見つけましょう。
STEP1.腰を動かしてみよう!

イラスト/岡本典子

STEP1.腰を動かしてみよう!

1:腰を後ろに反らす

腰を後ろに反らす運動を10回行います。それによってひざ痛が軽くなったり、可動範囲が広くなったり、歩きやすくなったりした場合、「腰椎後屈タイプ」です。痛みが改善しない、もしくは悪化したら2へ。
●痛みが改善→【A】腰椎後屈タイプ

イラスト/岡本典子

2:腰を前に曲げる

腰を前に曲げる前屈運動を10回行い、ひざ痛が軽くなったり、可動範囲が広くなったり、歩きやすくなったりした人は「腰椎前屈タイプ」です。1でも2でも痛みが改善しない、もしくは悪化した人は3へ。
●痛みが改善→【B】腰椎前屈タイプ

イラスト/岡本典子

3:腰を左と右に動かす

立って、お尻を左右真横にゆっくりとずらす運動を10回試します。この運動でひざ痛が和らぐ人は「腰椎側方タイプ」。この型は、腰椎に異常が生じ、片側のひざ関節だけに強い痛みが現れるのが特徴です。
●痛みが改善→【C】腰椎側方タイプ
STEP2.Step1で改善しなかった人はひざを動かしてみよう

イラスト/岡本典子

STEP2.Step1で改善しなかった人はひざを動かしてみよう

1:ひざを伸ばす

腰が原因でない場合、次に考えられるのが「関節型ひざ痛」。ひざ関節をゆっくりと伸ばす運動を10回行い、ひざ痛が弱まったり、可動範囲が広くなったり、歩きやすくなったりした場合は「伸展タイプ」です。
●痛みが改善→【D】伸展タイプ

イラスト/岡本典子

2:ひざを曲げる

1で変化が見られない、もしくは悪化する場合、ひざをゆっくり曲げて、痛みが改善すれば「屈曲タイプ」に分類されます。
●痛みが改善→【E】屈曲タイプ

タイプに合ったトレーニングでひざ痛ケア

ひざ痛のタイプ診断で、自分のタイプは見つかりましたか。
見つかったら、タイプに合ったトレーニングを毎日続けます。
以前より痛みが軽減してきたり動きやすくなってきたら、そのまま継続。改善が感じられない場合や悪化した場合にはもう一度診断に戻って、タイプを再確認してください。
そもそも痛みというのは、体に異常が起きていることを教えてくれる大事なシグナル。朝、ひざがこわばって動きが悪い、ひざがギシギシしはじめた。そんな変化があれば、迷わずケアを始めるべきです。
10年先も若々しく、動ける体であるためには今のメンテが重要なのです!
【A】腰椎後屈タイプ

イラスト/岡本典子

【A】腰椎後屈タイプ

ゆっくり「壁反らし体操」ひじやひざが曲がらないように注意して

1:壁から半歩~1歩離れ、両足を肩幅に開いて立つ。
2:あごを引き、顔を真っ直ぐ前に向けて壁に両手をつく。
3:ひじ・ひざを伸ばしたままゆっくりと腰椎(背骨の腰の部分)を反らしていく。できるだけ反らして2~3秒キープ。
4:2の姿勢に戻る。ひじやひざが曲がった状態で行うと、十分な効果が得られないので注意して。反動をつけずに腰をゆっくりと反らしていくのもポイント。
[行う目安]10回1セット×5~6回(3時間おきが理想)/日
【B】腰椎前屈タイプ

イラスト/岡本典子

【B】腰椎前屈タイプ

なるべく深く腰を丸めるのがポイント「壁おじぎ体操」

1:壁に背を向け、両足を肩幅に開き壁に寄りかかる。足は壁から半歩離す。両手は腰骨に当てる。
2:お尻の上部を壁に押しつけたまま、おじぎをするような格好で上半身を前に倒す。息を吐きながらゆっくりと行うこと。
3:できるだけ深くおじぎをしたら、そのまま2~3秒キープ。
4:ゆっくりと上体を起こして1の姿勢に戻る。股関節を曲げるのではなく、背骨の腰の部分を丸めることを意識して。
[行う目安]10回1セット×5~6回(3時間おきが理想)/日
【C】腰椎側方タイプ

イラスト/岡本典子

【C】腰椎側方タイプ

腰を右か左に動かす「お尻ずらし体操」が効く!

1:壁の横に少し離れて立ち、上腕が水平になるようにひじを肩の高さに上げて、ひじから下を壁につける。
2:反対側の手を腰骨に当て、手で腰骨を押してお尻を真横にずらす。その姿勢のまま2~3秒キープ。
3:ゆっくり元の姿勢に戻る。左右の腕を替えて試し、お尻を右方向にずらしたときにひざの痛みが改善した人は右方向の体操だけを行い、左方向の動きで痛みが改善した人は、左方向の体操だけを行います。
[行う目安]10回1セット×5~6回(3時間おきが理想)/日
【D】伸展タイプ

イラスト/岡本典子

【D】伸展タイプ

オフィスでも簡単にできる座って行う「ひざ伸ばし体操」

1:椅子に浅く腰かけ、痛む側の脚を伸ばして前に出し、ひざのお皿の上に両手を軽く当てる。
2:両手に力を込めてひざを垂直に押し、ひざ裏が伸びきったと感じるまで力をゆっくり加える。そのままの状態を1~2秒保ったら力を抜く。1〜2を1セット終えたら、痛みがどのように変化したか、確かめながら行いましょう。
[行う目安]10回1セット×5~6回(3時間おきが理想)/日
【E】屈曲タイプ

イラスト/岡本典子

【E】屈曲タイプ

立ち仕事の人がなりやすい屈曲タイプには「ひざ曲げ体操」

1:痛む側の足をイスの座面などに乗せ、ひざの上に両手を軽く添える。ひざが90度に曲がるくらいがちょうどいい高さです。
2:体の重心を前方に移動しながらひざを前に突き出し、深く曲げていく。限界まで曲げたところで1~2秒キープしたら、元の姿勢に戻る。
[行う目安]10回1セット×5~6回(3時間おきが理想)/日
体重増加は負担増糖質制限がひざ痛に効く?

イラスト/岡本典子

体重増加は負担増糖質制限がひざ痛に効く?

ひざ痛改善食として、銅冶さんが勧めるのが『糖質制限食』。ご飯・パン・麺類などの糖質をできるだけ減らし、タンパク質(肉、魚、大豆、卵など)、脂質、ミネラル、ビタミンを積極的に摂る食事法で、3つの効果が期待できます。
1つ目は『糖化防止』。糖質の摂りすぎは、関節軟骨や靭帯のタンパク質を劣化させてしまう(糖化)ため、これを予防します。
2つ目は『軟骨の修復』。糖質を減らしタンパク質や脂質を多く摂ることで、傷んだ軟骨や骨の修復を促す効果が期待できます。3つ目が『肥満解消』です。過体重は、ひざ関節に想像以上の負荷がかかります。
基礎代謝の低下や女性ホルモン減少の影響から、やせていた人でも徐々に太りやすくなる50代。ひざ痛で悩みたくないなら、体重のコントロールは必須です。

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