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『はいからさんが通る』作者に聞く、あの頃の「はいからさん」 [mi-mollet]
2017年11月04日(土) 13時00分配信
1975年から1977年まで「週刊少女フレンド」に連載され、シリーズ累計1200万部を誇る少女漫画『はいからさんが通る』。大正後期におてんばでハイカラな女の子・花村紅緒が許婚の青年軍人・伊集院忍と出会い、恋と冒険を繰り広げる物語で、ミモレ読者もかつてわくわくしながら読んだ記憶があるのではないでしょうか? この名作が連載40周年を迎えることを記念して、劇場版新作アニメーション2部作として公開されることになりました。
過去にもTVアニメや実写映画、舞台になってきたこの作品ですが、実は紅緒と忍の波乱万丈な恋の結末が描かれたことはありませんでした。この2部作では、初めて漫画原作のラストまで観られるとあって、注目度も高まっています。
作者の大和和紀さんが漫画『はいからさんが通る』の連載を開始したのは27歳の頃。40年前にどのような思いでこの作品を描いていたのでしょうか?
作者の大和和紀さんが漫画『はいからさんが通る』の連載を開始したのは27歳の頃。40年前にどのような思いでこの作品を描いていたのでしょうか?
喧嘩っ早くて酒乱という破天荒な女学生が 激動の大正時代を駆け抜ける!
えび茶袴に身を包み、ブーツを履いて自転車を乗り回し、竹刀を握れば向かうところ敵なしの女学生・花村紅緒。偶然出会った青年軍人・伊集院忍が実は紅緒の許婚だったことから、数々の騒動が巻き起こります。二人の恋の行方はもちろんのこと、紅緒や親友の北小路環が着こなす華やかなファッションの数々やギャグの応酬に魅了されたミモレ読者も多いのではないでしょうか?
改めて大人になって読み返してみると、大正デモクラシーからロシア出兵、関東大震災という激動の時代に翻弄されながらも、前向きに生きる自立した女性の物語でもあります。大和さんはどのようにして「はいからさんが通る」の着想を得たのでしょうか。
「もともと歴史ものが好きで、えび茶袴にブーツの女学生を描いてみたいと思ったんです。でも、当時の少女漫画は高校生の恋愛ものが中心で、歴史ものは読者に受けないから、と編集部に難色を示されました。でも、担当者も頑張ってくれて連載が決まりました」
連載にあたって当時の時代背景を調べた大和さん。大正浪漫というと響きはいいのですが、実は大変な時代だったことに気づいたといいます。
「大正って実は暗い時代。景気が悪かったし、関東大震災に見舞われるし、戦争や思想統制も始まりました。大正時代を描くからには、必然的に物語にもそういうことを組み込んでいくことになるんです」
そんな中、主人公の紅緒は喧嘩っ早くて酒乱という破天荒なヒロイン。ギャグも連発し、少女漫画らしからぬ型破りなところが読み手をひきつけ、大ヒットにつながっていきました。
「でもこの作品、実は少女漫画の王道なんです。ヒロインが素敵な男性と出会ったものの、戦争で引き裂かれて行方不明になるけど、実は彼は記憶喪失になっていて、別人として現れる……。でも、ベタなドラマだからこそ、ヒロインを破壊してもきっと彼女の魅力は生きるんじゃないかと思ったんです。私にとっては一つの挑戦でした」
改めて大人になって読み返してみると、大正デモクラシーからロシア出兵、関東大震災という激動の時代に翻弄されながらも、前向きに生きる自立した女性の物語でもあります。大和さんはどのようにして「はいからさんが通る」の着想を得たのでしょうか。
「もともと歴史ものが好きで、えび茶袴にブーツの女学生を描いてみたいと思ったんです。でも、当時の少女漫画は高校生の恋愛ものが中心で、歴史ものは読者に受けないから、と編集部に難色を示されました。でも、担当者も頑張ってくれて連載が決まりました」
連載にあたって当時の時代背景を調べた大和さん。大正浪漫というと響きはいいのですが、実は大変な時代だったことに気づいたといいます。
「大正って実は暗い時代。景気が悪かったし、関東大震災に見舞われるし、戦争や思想統制も始まりました。大正時代を描くからには、必然的に物語にもそういうことを組み込んでいくことになるんです」
そんな中、主人公の紅緒は喧嘩っ早くて酒乱という破天荒なヒロイン。ギャグも連発し、少女漫画らしからぬ型破りなところが読み手をひきつけ、大ヒットにつながっていきました。
「でもこの作品、実は少女漫画の王道なんです。ヒロインが素敵な男性と出会ったものの、戦争で引き裂かれて行方不明になるけど、実は彼は記憶喪失になっていて、別人として現れる……。でも、ベタなドラマだからこそ、ヒロインを破壊してもきっと彼女の魅力は生きるんじゃないかと思ったんです。私にとっては一つの挑戦でした」
週刊連載の激務を乗り越えて 「バカだけど、勢いがあって面白い」
この作品の魅力の一つは、なんといっても紅緒や環のファッション。さまざまな文様の美しい着物や、先進的な職業婦人らしさが感じられる洋服の数々はどうやって生み出されたのかが気になります。
「実は資料があまりなかったんですよ。週刊連載でとにかく時間がないから模様にまで気を遣っていられず、アシスタントに『花柄にストライプなんて、ちょっと古臭くていいんじゃない?』なんて指示したり、最終的には私が持っていた服を参考にしたりして描いていました」
当時、5日間で約20ページの原稿を仕上げるというタイトなスケジュール。「私は結構手が早い方なんですけど」という大和さんだが、それでも睡眠時間を削り、休みもほとんど取れない状態。紅緒が動乱の大正時代を駆け抜けたように、大和さんもまた、大人気漫画の連載を乗り切りました。連載40周年を迎えた今の大和さんには、この作品はどう映っているのでしょうか。
「バカだな〜と思いますね(笑)。未熟で乱暴で本当にバカだったと思いますけど、元気で勢いがあって面白い。今じゃ絶対に描けないです。でも、自分が面白がって描いていたものだから、読者にも楽しんでもらえた。こんなに幸せな作品はないんじゃないでしょうか」
「実は資料があまりなかったんですよ。週刊連載でとにかく時間がないから模様にまで気を遣っていられず、アシスタントに『花柄にストライプなんて、ちょっと古臭くていいんじゃない?』なんて指示したり、最終的には私が持っていた服を参考にしたりして描いていました」
当時、5日間で約20ページの原稿を仕上げるというタイトなスケジュール。「私は結構手が早い方なんですけど」という大和さんだが、それでも睡眠時間を削り、休みもほとんど取れない状態。紅緒が動乱の大正時代を駆け抜けたように、大和さんもまた、大人気漫画の連載を乗り切りました。連載40周年を迎えた今の大和さんには、この作品はどう映っているのでしょうか。
「バカだな〜と思いますね(笑)。未熟で乱暴で本当にバカだったと思いますけど、元気で勢いがあって面白い。今じゃ絶対に描けないです。でも、自分が面白がって描いていたものだから、読者にも楽しんでもらえた。こんなに幸せな作品はないんじゃないでしょうか」
大和和紀
1948年、北海道生まれ。短大在学中に漫画家デビュー。卒業後に上京し、プロとして活躍。1977年、『はいからさんが通る』で第1回講談社漫画賞少女部門受賞。現在は「BE・LOVE」(講談社)で『イシュタルの娘〜小野於通伝〜』を連載中。