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『プラネタリウム』ナタポ&リリー・ローズ・デップのスピ系姉妹が魅せる、「真実」の美しさ [with]
2017年10月01日(日) 12時00分配信
ナタリー・ポートマンとリリー・ローズ・デップ主演の映画『プラネタリウム』を見て、「事実」と「真実」の違いって何かしら?と、ふと考えました。
このふたつって、なんか違うことはふわっとわかるのですが、その違いを言葉で説明してと言われてもなかなか難しいものです。でもライターが原稿に書くときに「なんとなーくわかるでしょ」ってわけにはいかない。でもって私の中の理解は、こんな感じ。「事実」は公の大多数の共通認識で、「真実」は「事実」に対する個人的理解、私バージョンの理解。
このふたつって、なんか違うことはふわっとわかるのですが、その違いを言葉で説明してと言われてもなかなか難しいものです。でもライターが原稿に書くときに「なんとなーくわかるでしょ」ってわけにはいかない。でもって私の中の理解は、こんな感じ。「事実」は公の大多数の共通認識で、「真実」は「事実」に対する個人的理解、私バージョンの理解。
例えば「事実」が「浮気する男に本当の愛はない」だとすれば、浮気する男の「真実」は「その瞬間は本気」。はたからすれば「嘘こけ!」と言いたくなりますが、「それが俺の真実だ」と言われれば証明することはできません。さらにこれは辛い思いをする人間にとっての「慰め」だったりもします。何度も浮気をされる女性にとって、「私と一緒にいる時の彼の笑顔だけが真実」と信じられることは、「客観的に見て愛されていない」なんて事実より、時にずっと意味のある事だからです。
1930年代のパリを舞台にした『プラネタリウム』は、スピリチュアリストの姉妹の運命を描く物語。アメリカからやってきた姉妹は、バーなどでショー的な「降霊会」をやってお金を稼いでいるのですが、この「霊」こそ「真実」の最たるものです。降霊会では、姉ローラが雇用主と交渉してショーを仕切り、特殊な能力を持つ妹ケイトが必要に応じて霊を呼び出します。姉妹には身寄りがなく、だからこそ姉ローラにとっての大命題は「妹を守ること」と「ふたりで暮らしてゆくために成功すること」。
押しの強い彼女にちょっと詐欺師めいた感じがするのは、彼女自身が本当のところでケイトの霊能力を信じていないから。でもピュアで内省的な妹ケイトは自分の力を信じています。実際、彼女の能力で失った人と交信した人も一人や二人ではありません。 とはいえ、「自分は姉の付属物ではない」と信じたいケイトと、「彼/彼女は今も近くにいる」と信じたい大切な人を失った人、両者が出会ってともに信じ、作り上げた「真実」かもしれません。
ケイトは本当に霊が見えるのかどうか?は、この映画の様々な暗喩となって、人間にとって「真実」と「事実」のどちらが大事なのかを浮き彫りにしてゆきます。ナタリー・ポートマンとリリー・ローズ・デップの姉妹役が、何しろ素敵。ナタリーと並ぶとリリーの愛らしさが際立ち、リリーと並ぶとナタリーの凛とした大人の美しさも引き立ちます。1930年代のクラシックで優雅な衣装などとともに、美しく切ない物語にうっとりして下さいませ。
『プラネタリウム』全国公開中!
文/渥美志保