• > 上野千鶴子/老後は孤独?不安解消のヒント [おとなスタイル]

上野千鶴子/老後は孤独?不安解消のヒント [おとなスタイル]

2017年08月21日(月) 10時00分配信

上野さん! おひとりさまを楽しむコツ、教えてください!

「介護生活になっても、ひとりで暮らすことは本当に可能なのか?」
「老後への不安を解消するには?」
将来、老後をひとりで過ごすことに、漠然と怖さや不安を感じている人は多いのではないでしょうか。今回、75万部のベストセラーとなった『おひとりさまの老後』著者の上野千鶴子さんに伺いました。

Q. 老後という言葉を聞くだけで不安に。気になるけど、見て見ぬふりしています。

見ること、知ることで不安もなくなります
見ないふりができるのは、結局まだ老後が他人事なのでしょう。私が調べたところ、もとからのおひとりさまは家族持ちよりもまさかのときの不安感が強く、自分なりのセキュリティネットワークを作っている人が多いよう。自分の健康が万全である、なんて保証はどこにもないのですから、当然のことです。まだ現実味がないと思っても、家の近くのグループホームや介護施設などを見学してみると他人事ではなくなるかも。あるいは、そういった施設でボランティアをするのもいいかもしれません。現場では、いろんな老い方を目の当たりにすることになります。私もたくさんの現場で、人はこうやって老いて、死んでいくのかということを山のように見てきました。
でもそれは逆に私を強くし、おかげでほとんどのことは怖くなくなりました。
知ることで、不安は解消します。

Q.先生は介護生活になってもひとりで暮らすと言われていますが、可能なのでしょうか

今の行動力が、必ず力になります
今は国も在宅介護を推奨しています。しかも、家族がいる人でも老後ひとりになるケースは多く、おひとりさまの在宅介護は今後どんどん増加していきます。
私は、今の住まいの徒歩圏にある、訪問医療の医師、訪問看護ステーション、訪問介護事業所の3点セットをすでに確保しています。私の「在宅ひとり死」プランのインフラは整備されつつあります。
先日は、私が住んでいるマンションの管理組合主催で居住者限定の「ひとりで家で死ねますか?」というシンポジウムを開催し、医療・看護・介護の3者の専門の方たちにお話をしていただいたところ、大好評でした。高齢化の波は私の地域にも確実に押し寄せています。
漠然と不安を抱えながら、ただ待っているだけではセキュリティネットワークは広がりません。老後を楽しく心地よく生きていきたいなら、まずは現状を把握し、知り合いや近所などに同じ仲間を作るなど、自分でどんどんアレンジをしていく。それぐらいの気合や楽しさを持って、老後と向き合ってみるといいですよ。
おひとりさまはさみしい、と思っているあなたへ。

おひとりさまは、必ず慣れます。

そして、誰にも縛られない自由ほど

快適なものはありません。

 

■Profile
上野千鶴子
うえのちづこ
1948年、富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人WAN理事長。『おひとりさまの老後』(法研 ’07年)に続き、『男おひとりさま道』(同 ’09年)、『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版 ’15年)でおひとりさまシリーズ三部作が完結。『ケアのカリスマたち 看取りを支えるプロフェッショナル』(亜紀書房’15年)ほか著書多数。

 

 

『おとなスタイル』Vol.7 2017春号より
撮影/やまざきともよ

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