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人気スタイリスト・福田麻琴さん「パリ留学で学んだこと」 [mi-mollet]

2017年07月13日(木) 14時00分配信

人気スタイリストのおしゃれのルーツを教えてもらうインタビュー、フランス留学されていた経験もあり、洗練されたカジュアルに定評がある福田麻琴さんの登場です。
人気ファッション誌「バイラ」などのスタイリストとして活躍する最中に突然の留学

フレンチシックなコーディネートは、きれいめな小物使いとシックな色合わせがポイント。撮影/目黒智子

人気ファッション誌「バイラ」などのスタイリストとして活躍する最中に突然の留学

スタイリストになったのは、本当にたまたまで。セレクトショップのスタッフをしていたときに、知り合いから紹介される形でスタイリストアシスタントになったのがきっかけなんです。師匠はファッションのスタイリストですが、アートや映画、音楽にも造詣が深く、いろいろなことを学ばせて頂きました。自宅で仕事をされる方だったので、庭の手入れや食事作りも姉弟子や妹弟子と分担していました。その中で私が特に任されていたのが、庭! 鍬を持ちながら、何でこんなことしているんだろう・・・と思いながらも、花や器のセレクトを褒められると嬉しくて。当時はよくわかってなかったんですが、アシスタント時代に身につけたお花やアレンジや器選びのセンスは、今のスタイリストの仕事にとても役立っていると思います。

その後、独立して、いろいろなファッション誌でお仕事させていただいて4~5年経った30歳のときに、フランスに留学したんです。“スタイリストが留学”というとかっこよく聞こえますが、留学を決めた理由は失恋(笑)。「人生って何が起こるかわからないな」と思い、仕事が忙しくて諦めていた留学を決意しました。そんな理由だから、絶対にパリに行きたいと思っていたわけではなくて、“留学”がまず先にあって、当時ワーキングホリデーで行くことができたのが、フランスとオーストラリアとニュージーランド。留学後にも仕事を続けたかったので、それならパリだろうと。すぐに申請書類を出して、通ったところで、編集部など仕事先に報告。仕事はとても順調だったので、驚かれましたし、反対もされました。でも、“一度きりの人生だから自分のしたいことをしよう”という気持ちのほうが強かったんです。

「スタリングの参考にしているのはジェーン・バーキン。『WOMEN’S WARDROBE』は教科書」撮影/目黒智子

毛玉がついたニットでも堂々と写真に撮られる。そんな姿に価値基準の本質を見た気がしました。

留学期間は1年でしたが、本当に濃くて充実した時間でした。最初の2カ月は語学学校、その後は現地のコーディネーターさん(撮影などの手配やアテンドをしてくれる方)のお手伝いをしていました。行ける限り旅もしました。ドイツ、ベルギー、ロンドン、プラハ、ポルトガル、モロッコなど10か国くらい行ったかな。雑誌のWEBページでパリ留学日記を書かせてもらっていたんですが、担当の方に「旅先ばかりで、全然パリ留学日記じゃないじゃない!」って言われたほど。忙しくてなかなかできなかった留学を実現させたことで、私はこれから何でもできるし、今までとはまったく別の仕事だってできるんだって思いました。でも、パリで撮影のお手伝いをするたびに、撮影が楽しくて、私はスタイリストという仕事が好きなんだと実感させられました。

滞在中は道行くおしゃれな人をスナップしていていたんですが、そのことも今のスタイリングに大きく影響している気がします。習いたてのたどたどしいフランス語で話しかけていたんですが、意外とみなさんOKしてくれて。さらには「ここは背景が悪いから、あっちで撮りましょ!」なんて場所まで探してくれる(笑)。みんなしっかりポーズをとって、かっこよく写真に撮られるんです。自信に満ち溢れていました。よくよく見ると毛玉のついたニットを着ていたり、ジャケットが破れている人もいる。でも、大好きなおばあちゃんから譲り受けたものだから、とか自分だけの価値基準でモノを選んでいる人が多かったんです。大切だと自分が思えば着続けるし、どんなにいいものでも、まだ自分にふさわしくないと思えば身につけない。他人とか流行どうこうじゃなく、自分なりの基準を持っているのは素敵だし、強いなあと感じました。
制限があればあるほど、スタイリングするのが楽しくなる

「アニエスベーのブランド設立40周年の記念ポスター。素敵だったので額装して飾っています」撮影/目黒智子

制限があればあるほど、スタイリングするのが楽しくなる

高校生のときはアニエスベーに憧れてボーターカットソーを渋谷まで買いに行ったし、愛読していた雑誌は『オリーブ』で、もともとフレンチテイストは好きでした。でも、スタイリストとして仕事を始めたときには、作るスタイリングも自分自身の服装も、そんなことはなくて。プライベートは、スカートにヒール、髪も巻いてました。かなり異性の視線を意識した感じで(笑)。仕事ではトレンドには何でも挑戦。そういう時期はスタイリストとして必要でしたが、留学したことで、自分が何を好きなのか、どんなスタイリングがしたいのかをゆっくりと考えることができて、ひとつの軸を作ることができたと思っています。

「服を買うときはコストパフォーマンスを見極めます。素材、コーディネート力などを総合して判断」撮影/目黒智子

いちばん根底にあるのは、私はデニムとかボーダーとかチノとか、普通の服が好きだということ。普通の服をどう組み合わせ、どんな色合わせにすることでおしゃれになるのかを考えるのが好きなんです。あと、ただただ“素敵に可愛く”ではなく、制約がある中でスタイリングするのが楽しい。だって実際の生活も必ずTPOを考えなくちゃいけないでしょ? それは子供を持ったことでより強くなりました。今は子供が小さいから、ヒールはたまにしか履けないし、服も家で洗濯できることが重要。お仕事でも「フレンチっぽいスタイリングで」というオーダーをいただくことが多いので、そういう制約の中で、どうやって今っぽく自分らしいフレンチに落とし込もうかと考えるとワクワクするんですよね。

「留学時代に女優さんがこのエルメスのバッグを斜め掛けした姿が素敵で。やっと見つけました」撮影/目黒智子

今はファッションが中心ですが、インテリアなどライフスタイルの分野にも興味があって。ファッションからライフスタイルまで総合してスタイリングできるようになれたらなと思っています。

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