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料理家ウー・ウェンさんが「肉は塊で買う」ワケは? [FRaU]

2017年06月10日(土) 11時00分配信

Photo : Keiichirou Muraguchi

ウーさんの料理は単純明快。「子どもの頃から食べてきた料理を日本に伝えるために、なぜこうするのかな、どうしておいしくなるのかな、と分析しているだけよ」という分析力ゆえか、筋が通っているから覚えやすい。この連載ではそんな独自の料理哲学をご紹介していきます。

肉は塊で買う

「私はひき肉はほとんど買わないのよ」とウーさんは言う。

「肉も細胞だから、切ったところから死んで味が落ちる。お肉屋さんでは、しゃぶしゃぶ肉などの薄切り肉は一枚ずつフィルムに包まれているでしょう? なぜなら肉は空気に触れた部分から酸化して、古くなっていくから。だからひき肉はあっという間に悪くなるのね。調理する直前に切るほうが断然おいしいの。塊肉なら数日はもつのよ。ほら、熟成肉だって塊」

ウーさんは、日本のひき肉を初めて見たとき、その細かさにびっくりしたそうだ。
「中国では市販のひき肉でも日本の5倍くらいの粗さですよ。日本はつくねのようななめらかな食感が好きだから、あんなに細かく挽くんでしょうね。あれはもはやペースト。ほかの国でも、肉の食感を感じられるように、もっと粗く加工しているんじゃないかしら。自分で叩くと粗さにもばらつきがでるから、その食感の違いがおいしさになるのよ」

中国では塊肉を買うのは、当たり前のことだそう。もちろん細切れ肉やひき肉も売っているけれど、多くの人は自分で部位を指定し、好みのサイズに加工してもらうか、調理前に叩く。部位どころか、どの肉を使うかまで自分の目で細かく選ぶらしい。そして肉は部位によって味が違う。ある程度、脂がないと味気ない。ウーさんが好きなのは肩ロース。赤みと脂のバランスがよく、どんな料理にも合う。蒸し豚だってシュウマイだって餃子だってなんでもこい。これさえ買っておけば安心だ。
なにより肉がおいしければ、調味料は最小限でいい。

「シンプルに料理すれば、まずくなるわけがない。素材さえ良ければ絶対においしくなるんです。レストランよりずっとリーズナブルにおいしい肉を食べられるでしょ」

おいしいものを安く食べたいなら、肉は塊で買う。これは絶対に試してみたい。

PROFILE

ウー・ウェンさん
中国、北京で生まれ育つ。料理上手な母から受け継いだ料理が評判となり、料理研究家に。「料理を通じて日本と中国の懸け橋になりたい」との想いから、東京と北京でクッキングサロンを主宰。少ない材料や調味料、道具で作れる、医食同源の知恵にあふれた料理が人気。著書に『ウー・ウェンの北京小麦粉料理』『ウーウェンさんちの定番献立』(ともに高橋書店)、『からだを整える お手当て料理』(天然生活ブックス)など多数。
FRaU 2017年6月号より

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