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【人間関係Q&A】末期がんの父の介護に疲れた母に当たられる。どう接したらいい? [mi-mollet]

2017年06月02日(金) 14時00分配信

まちゃこさんからの質問
Q. 末期がんの父の介護に疲れた母が娘の私に当たってきます。どう接したらいい?

2人の子持ちワーキングママです。父が末期がんと分かり、余命が後少しです。母は、そんな父の介護にどっぷり浸かってしまっています。父は入院していますが、面会時間の14〜20時までず~っと付きっきり。とても大変そうで、見ていられず、いろいろ話をしますが全く聞き耳を持たず、まわりも見えていません。介護の辛さのハケ口として、私に当たるようになりました。会いに行くたび、傷ついて疲れて帰るのも嫌で、会いに行く気力が出てきません。どのように接すればよいものでしょうか?(35歳)

特別ゲスト 金子稚子さんの回答
A. お母さまも心配ですが、 まちゃこさんのお父さまとの向き合い方のほうが むしろ心配です。

不用意なことは言えませんが、お母さまはもしかしたら、“予期悲嘆”の状態に陥られているのかもしれません。“予期悲嘆”とは、大切な人が亡くなったときに起こるであろう悲しみや恐怖心、孤独、不安といった感情が前倒しで出てきたり、いつもと違う行動になったり、といったことが、死別の前に起こることを言います。決して異常なことではなく、自然で健康的な反応です。とはいえお母さまがそのような状態ですと、病気を患っておられるお父さまも、お母さまのことがさぞやご心配ではないかと……。ご心痛を抱えていらっしゃるかもしれません。ですから可能でしたら、お父さまと二人だけでお話しできる機会を作られては……と思います。そうすれば、「お母さんは大丈夫か」「あとを頼む」といったお父さまの苦しみを、まちゃこさんがお聞きすることができるかもしれませんから。

ただ、そうするのがまちゃこさんにとって辛いようでしたら、無理はなさらないでください。病院に行けばお母さまと顔を合わせますでしょうし、それで当たられることが憂鬱ならば、そうまでしてする必要はまったくありませんから。あまり我慢をしすぎると、言いにくいのですが……、お父さまが召された後に、抑えていたものが爆発してしまう、ということも起こり得ます。

お母さまのお気持ちですが、おそらく、介護による疲れといった辛さではないと思います。それよりも“妻”として、夫の苦しんでいる姿を見たり、命の限りが近づいてくる現実を突きつけられたり、という辛さだと思うのです。厳しい言い方かもしれませんが、それは娘であるまちゃこさんには、共有できないものです。そのことを前提に、お母さまのありのままの姿を見守っていただけたら……と思います。

でも同時に、“娘”としての気持ちもお母さまには分からないものです。ですから「そういうお母さんを見るのが辛くて、お父さんにも会いたいけど会えない」と伝えてもいいと思いますよ。もう少し、ご自分の気持ちも大事にしていいと思うのです。

私はやはり、まちゃこさんとお父さまとの向き合い方のほうが心配です。このご相談にも、お父さまに関するお悩みがまったく出てきていませんでしたから。お父さまとお話しされるされないは別として、まちゃこさんも、ご自分とお父さまとのことを考えてみてくださいね。まちゃこさんにとってはかけがえのない父親ですし、お父さまにとってもまちゃこさんはかけがえのない娘なのですから。
いかがですか?
金子稚子さんの回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

金子稚子(かねこわかこ)
1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。

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