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チベット版ハイジ!?『草原の河』の、可愛くも不機嫌なオチビちゃん [with]

2017年05月31日(水) 12時30分配信

(C)GARUDA FILM

誰もいない草原で、くちゃくちゃっ、とまとめた髪を風に吹かせながら、妙に鮮やかな色使いの服を着たちっちゃい女の子が、ちょっと不機嫌に拗ねている。その猛烈に可愛いおチビちゃんは、チベットの草原にお父さんとお母さんと一緒に暮らす、6歳のヤンチェン・ラモ。『草原の河』という映画の小さなヒロインです。

(C)GARUDA FILM

不機嫌そうな表情はもとより、おでこが広くて目がちょっとはなれてるところまで、人気画家・奈良美智が描く子供のキャラクターにそっくり。映画全編で、ヤンチェン・ラモはほぼ笑わず、なんかイヤ、なんか不安、なんか納得いかない、なんか怖い、なんか頭にくる、そして、なにさバカ!うえーん!みたいな感じの表情しかしないのですが、それだけで90分もってしまう可愛さです。

(C)GARUDA FILM

映画はヤンチェンが経験するたくさんの「なんで?」を描いてゆきます。例えば、男の子はなんで私をいじめるの?とか、お母さんはなんで泣いてるの?とか、お母さんのオッパイをなんでやめなきゃいけないの?(5歳6歳でも母乳を飲むのは世界的には意外と普通)とか、お父さんはなんで嘘つくの?などなど。でも両親はそれに対して何ひとつ説明してくれず、ヤンチェンはまったく納得がいきません。

(C)GARUDA FILM

「大人にはいろんな事情ってものが…」と大人がお茶を濁すとき、その事情はほとんどが意地とか見栄とか子供じみたもので、そのことに自分も気づいていなかったりします。大人はそれをくみ取りますが、ヤンチェンはもちろんそんなことはせず、なんで?なんで?の繰り返し。そのあまりのしつこさと頑固さが、大人に「確かになんでなんだ?」という自問のきっかけを与え、事態は変わってゆきます。
そうとは知らないヤンチェンの一番の不機嫌は、結局のところ「どうしたら母親に再びオッパイを吸わせてもらえるのか?」だったりすることが、これまたこの映画のかわいらしさ。唯一の理解者は母親を失ってお乳がもらえなくなった子ヤギのジャチャで、引き連れて歩く姿はまるっきりチベット版「アルプスの少女ハイジ」。この可愛さ、ぜひ体験してほしいです。
『草原の河』絶賛公開中!

 

文/渥美志保

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