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人生の大先輩へのラブレター[和音美桜・若山嘉代子] [おとなスタイル]

2017年05月31日(水) 09時00分配信

撮影/森川昇、三木麻奈

細いのにしなやかで折れない柳の木のような強さと美しさを持っている―。
明治の終わりから、大正、昭和の初めに生まれた女性たちが、ひときわ輝いて見えるのはなぜだろうか。
シスターの渡辺和子、元首相・三木武夫夫人の三木睦子、作家の瀬戸内寂聴、元『暮しの手帖社』社主の大橋鎭子ら『日本女性の底力』(白江亜古著・講談社+α文庫)に登場する27人の女たちは、心折れるようなことがあっても何度でも起ち上がって、前へ進もうとする。
インタビューには、彼女たちの心身からにじみ出た宝物のような言葉がぎっしりと詰まっている。

勇気、考えること、凛とした生き方、それらはどこから来るのか。
彼女たちの言葉を受け取ると、後世に生まれた私たちは、なぜこんなにも励まされるのか。本の読み手となった、“今を生きる”女たちに聞いてみた。

27人27様の人生に触れ、何を思ったのか―。
各界の読書家に、心に響いた言葉とエピソードを寄稿してもらいました。

質問事項
Q1.『日本女性の底力』で、印象深かった方はどなたでしょう?
心に残ったエピソードや言葉を教えてください。
Q2.この本を読んで、初めて知ったことや興味深い事柄はありましたか?
Q3.この本の感想を教えてください。
生き方に、“上手い下手”も“ 早い遅い”もないんだと気づきました

和音美桜さん/女優

生き方に、“上手い下手”も“ 早い遅い”もないんだと気づきました

A1.
相馬雪香さん「『お前が悪い』と指したとき、3本の指は自分のほうへ向いている」

朝倉摂さん「自分の人生を違う角度から眺めてみるためにも、劇場に行くのはいいことなんです」

田辺聖子さん「言葉をたくさん知ると考え方に幅と深さが出るから、自分に自信が持てるようになるの」

佐藤初女さん「ラクだ、ラクだ、と言っているうちに、自分の機能を錆さびつかせて自分を退化させているように思うんです」

斎藤公子さん「(子育ては)まず目を合わせることがとーっても大事なの!」

宇梶静江さん「アイヌの世界では森羅万象に神が宿っているんです」

みな子さん 夢の世界に実際に生きてらした方のことば全てが、生々しく衝撃的でした。

関民さん「十分ではなくて、十二分にやれば、事はなんでも成就します」

A2.
みな子さんの芸者人生。時代を超えて、美しく生きていらっしゃることに感動しました。女優なら一度は演じてみたい、花魁たちと共に生きていらしたことも、奇跡のように感じます。
大好きな写真家の星野道夫さんの本を通してアイヌ文化に興味を持った時、ちょうど宇梶さんの記事を読みました。アイヌのことをもっと深く知りたくなりましたし、自分の思考、思想のルーツを探してみたくなりました。

A3.
女性として生を受け、生かされていることの意味を考えていた時に、この本に出逢いました。それぞれの方の生きる力の強さに触れ、生き方に“ 上手い下手”も、“早い遅い”もないのだと気づきました。
どなたも“人間を高める”ことを決して止めず、常に謙虚に、でも自分のこだわりは大事に生きていて、とてもキラキラして“見える”んです。
こんな素晴らしい先輩方の背中を見て、私も女性にしか出来ない“ 何か”を探し続けたい、自分で道を作っていきたいと、心から思えた1冊です。

■Profile
かずねみおう/宝塚歌劇団退団後、ミュージカル『レ・ミゼラブル』ファンテーヌ、『ルドルフ ザ・ラスト・キス』ヒロインのマリー・ヴェッツェラ役『プリシラ』などで活躍。
久しぶりに勇気をもらったこの本は、若い人にこそ読んでもらいたい

若山嘉代子さん/グラフィックデザイナー

久しぶりに勇気をもらったこの本は、若い人にこそ読んでもらいたい

A1.
田辺聖子さん「大事なのは信念ね。自分を信じること。『私がそう言うんだから道は開ける』って思うこと」

高野悦子さん「パリで学んだのは、日本人としてのプライド、日本の伝統に対する誇り」「最後の勝負になってくると、自分の育った原点が出てくるのだ。私の中に自然に浮かんでくるのは……日本の風景なんですよね」

季羽倭文子さん 赤い毛布のエピソード、死に対すること。

斎藤公子さん「どの子も育つ」

A2.
ひとりひとりの分野や生き方は全く違うのに、女性のしなやかさとたくましさは共通している。「戦争を起こすのは、きまって男性です」(三木睦子さん)、「敗戦で最大の得をしたのは女性です」(相磯まつ江さん)。
戦争、男女差別の時代に、それを力にさえ変えている。その直感力がすばらしい。

A3.
私の母は『日本女性の底力』に登場する人たちとほぼ同世代。母の生きた時代に想いを馳せながら、この本を読み終えました。
母は大きなことを成し遂げたわけではないけれど、この時代を生き、女性も差別なく生きていけることを教えてくれたような気がします。
勇気を持って生きることを。

そしてもうひとり、大学を卒業して初めてついた仕事での上司。男女雇用機会均等法などないその時代に、仕事は男の人以上に評価されていた。対等になるにはこれほど完璧でなければならないのかと知った。それは私のようなものにも向けられて、妥協は許されず、全く仕事ができなかった私はすっかり自信をなくし、一旦は仕事を辞めてしまった。
しかし結局、今も仕事を続けられたのはこの人たちのおかげで、自分に自信を持って前に進むこと、そして努力を惜しまないことを教えてもらった。私は次の世代に、こんなことを伝えられているのだろうか。
久しぶりに勇気をもらったこの本は、若い人にこそ読んでもらいたいと思う。

■Profile
わかやまかよこ/1953年岐阜県生まれ。武蔵野美術大学卒業、1980年より大学の友人とレスパースを主宰。出版物などを中心にした、グラフィックデザイナー。最近は、日本文化に触れることが楽しみ。
心に響いた言葉

相馬雪香

心に響いた言葉

「『お前が悪い』と指差したとき、3本の指は自分に向いている」

田辺聖子

「大事なのは信念ね。『私がそう言うんだから道は開ける』って思うこと」

渡辺和子

「愛は長さではなく、深さなんです」
「やりたいことがわからない?それは自分の努力が足りないね」

 

『おとなスタイル』Vol.6 2017冬号より

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