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『パッセンジャー』無人島に二人きりになるとしたら、この男はアリか、ナシか? [with] 

2017年04月18日(火) 18時00分配信

『パッセンジャー』

「無人島(的なシチュエーション)になぜか男女が二人きり」という物語は、ハリウッド映画ではずいぶん昔から描かれてきたものです。海で船が遭難し、当初いた大人は先に死に、孤島に残された子供たちが大人になり、恋に落ち、子供を作り……となるわけですが、生き残った子供たちがうまい具合に男女一人ずつとか、そういう映画に登場する女の子がすごく美しい少女で、教育を受けていないがためにすごく奔放であることなど、多くが男である作り手側の妄想としか思えないのですが――まあそれはそれとして。

公開中の『パッセンジャー』は、まさにこの「無人島になぜか男女が二人きり」の21世紀バージョンと言えます。舞台は宇宙の新たな植民地へと向かう豪華宇宙船。5000人もの乗客は120年かかる旅の最後の1年で目覚めるよう設定された人工冬眠の中にあるのですが、その中で、何かの間違いで90年も早く目覚めてしまった男女二人、ジムとオーロラの物語です。
映画の現代性は二人きりの世界がとにかく豪華であること。かつてのこの手の映画の見どころはある意味「原始生活への回帰」で、だからこそ様々な苦難があり、それを乗り越えたときにできる絆があるわけですが、ジムとオーロラの乗る宇宙船にはそんなものはひとかけらもありません。部屋はゴージャスで、食事もボタンひとつで用意されるし、アンドロイドが切り盛りする高級レストランやバー、豪華な服やアクセサリーが手に入るショッピングモールがあり、プールやゲームセンターがあり、レジャーとしての宇宙遊泳すらできます。お金は一切無用でこれらを好き放題に使えるわけですから、互いの人間としての真価も測りようがありません。

そんなわけで、特にオーロラのジムに対する評価は、のちに明らかになるある一点に集約されていくわけですが――問題は、それを知ってなお彼女がこの男と恋に落ちるか。実はこの設定も、この秘密が露見してからの展開も、すごく21世紀的と言えなくもありません。

個人的には見終わってしばらくは「ない!」と思ったのですが、なんだかんだいって人間は身近にいる人としか恋をしないもの。宇宙で生涯二人きりというシチュエーションだったら、やっぱり「あり」なのかなあ。映画を見終わった後には、この議論を肴に女子たちが延々お酒を飲んでしまいそうな1本です。

『パッセンジャー』 大ヒット公開中!

(C) 2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. **ALL IMAGES ARE PROPERTY OF SONY PICTURES ENTERTAINMENT INC. FOR PROMOTIONAL USE ONLY. SALE, DUPLICATION OR TRANSFER OF THIS MATERIAL IS STRICTLY PROHIBITED.

文/渥美志保

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