• > これで話ベタ解消!ラジオ深夜便/佐野剛平 [おとなスタイル]

これで話ベタ解消!ラジオ深夜便/佐野剛平 [おとなスタイル]

2017年02月08日(水) 09時00分配信

話す技術。飽きられない、嫌われない話術のコツを教えていただきました。

人と話すときに、重要なのは「うまく話そう」ではなく、「自分らしく話そう」。
でもその前にやるべきことがあります。自分の話し方のクセを知ること!

最初に、話しグセの“垢落とし”をする

「声が小さくて聞こえない。語尾が消える。言葉がうまく出てこない。緊張して早口になる。とにかくあがってしまう……。話し下手を自認する人たちは、こうした悩みを抱えています。悩みというか、話しグセですね。クセは自覚して、治そうとすれば治るものです」

講師を務める『話し方セミナー』で、佐野さんは最初に生徒たちに、自分の話しグセの“垢落とし”をさせるといいます。

「“話しグセ垢落とし”は、話し上手になるための第1ステップです。 音量不足の人には、お腹の中に思い切り空気を入れて、声を前に出すようにして話しましょう、とアドバイスします。語尾の消える人は、最後まではっきりと話す意識を持ってもらう。『え~、あ~、あの~、その~』が多い人も、これも意識して削るしかありません。意識すれば改善されます。早口の人は、口と頭の回転が良すぎる証拠。そういう人には、佐野剛平のゆったりとした話のテンポを真似してもらう。そして、あがってしまう人は……とっておきの方法があります。それは、話し上手になるための第2段階“邪念落とし”に関係してくるので、次のステップでご説明しましょう」

第2段階として“邪念落とし”をする

「話し上手をめざす人が、二つ目にやらねばならぬことは“邪念落とし”です。緊張してあがったり、話したいことの半分も言えなかったりするのはなぜか。『かっこよく見せよう』とか『失敗しないようにしよう』、あるいは『主婦だから無理』といった邪念が、みなさんの中にあるからなんです。
うまく話そうとしなくていいんですよ。ものすごく緊張していたら、『緊張してます!』と声に出して言っていい。頭の中が真っ白になったら、『真っ白になっています』と笑顔で言うんです。これで邪念が吹き飛ばされます」

ちなみに「あがらない人のスピーチは面白くもなんともない」という佐野さん自身も、人前で話すときにしばしばあがってしまうそうです。
そんなときにはやはり、この秘策を使うのです。『話し方セミナー』の受講生が証言します。

〈最初の授業のとき、佐野先生が教室に入っていらして、『どうしよう、どうやって教えよう』とおっしゃったんです。その一言を聴いて、受け手の自分も緊張がスーッと解けていきました〉(加藤さん・50歳)

 

素直に「どうしよう」「あがっています」と口にするのは、話し手のみならず、聴き手の心もラクにしてくれるもの。とても有効な手段です。「繰り返しますが、とにかく、かっこつけないことです。ちっぽけなプライドや肩書は横に置いて、“自分は自分”と開き直ってください。“下手で当然”と思って、最初はうまくいかなくても、伝えたいことをきちんと最後まで伝えようと努力する。これを繰り返していれば、次第に話をするのが上手になってきます」

体験談を話そう。失敗談ならなおよし!

「学習院生涯学習センターの僕の講座は、もう15年も続いています。雑談が多くてねぇ。それ目当てで来る人ばかりかもしれない。学生時代から続けている山登りの話や、好きな麻雀や歌の話、仕事の失敗談や放送業界の裏話……つまり、僕がこれまでの人生で経験してきた、ありとあらゆることを話すんです。そのほうが面白いでしょ、ということもあるし、話し方について説明するときも具体的な体験談を話したほうが、みんなが納得してくれるからです」

人が話すことで、一番興味を持たれることは「その人の体験談です」と佐野さんは断言します。

「身をもって体験したことっていうのは、素直な言葉で、みずみずしく語られる。臨場感があるんですね。特に失敗談は喜ばれる。聴くほうも思わず話に引き込まれるし、『私も同じような経験がある!』と親近感を抱きやすい。だから僕は生徒さんたちにしょっちゅう言っているんです。話し上手になりたいなら、なんでも体験しなさいよ、って」

この言葉の影響で、佐野さんの講座の生徒には、話し方のみならず生き方を変えてしまう人が多いのです。

〈私は声も小さかったし、引っ込み思案で、人と話すことをはじめ、苦手なことを避けていました。でも講座に参加して、佐野先生のような生き生きとした生き方がいいな、と憧れて。最近、英会話学校にも通い始めたんです〉(紀子さん・47歳)

〈以前、講座で旅先での体験を話す機会があり、私は大阪の新世界へ行った話をしました。『スマートボールというものがあった』と言うと、佐野先生が『それ、やったんですか?』と聴く。『いや、やりませんでした』と答えると、『やりなさいよ。いろんなことを経験してこそ、話が上手になるんだから、なんでも経験しなさい』とおっしゃった。その教えのおかげか、私はその後、カーリングを始めてしまったり、朗読も始めてしまいまして。あげく『朗読をやっているなら頼むよ』と、インディーズ歌手の人からコンサートの司会を頼まれたり。おかげで人生が、だいぶ楽しくなってしまいました〉(加藤さん・50歳)

自慢話は経験談に変えてしまおう

「自慢話ほど、聴いていてつまらない話はないです。でもやっかいなことに、自分で意識しないで、いつの間にか自慢話になってしまうこともある。それは嫌でしょう? だから自慢話は自分の体験談として喋るんです。『僕はそこでね、いいことをしたんだけどね、でも、ある人にこう言われたのよ』とか、『あとで知ったんだけど、逆の考え方もあったんだよね』と自分を否定する話を付け加えて、ひとつの体験談にする。これで“聴ける話”になります」

「話し下手」解消の5ヵ条

1:かっこよく見せようと思わない

2:緊張したら「緊張してます!」と言ってしまう

3:みんなが好きな話、失敗談が一番!

4:体験談を具体的に短めにテンポよく話す

5:なんでも体験する。でないと話し上手になれません

 

ラジオ深夜便
NHKラジオ第1にて
毎日23:15~5:00、祝日23:10~5:00(NHK‐FM毎日1:00~5:00)生放送。
アンカーはNHK 現役・OBアナウンサー。静かで優しいトーク、さまざまな時代・ジャンルの曲、インタビューなどを流す、隠れた人気番組。

 
■Profile
佐野剛平
さの ごうへい
新潟県栃尾生まれ。1965年学習院大学経済学部卒業。元NHKアナウンサー、エグゼクティブプロデューサー。現在は『ラジオ深夜便』のディレクターで、『列島インタビュー(1:00台)』、『明日へのことば』(4:00台)の担当メンバーのひとり。取材交渉からインタビュー、構成、編集までを手がける。学習院生涯学習センターで長年続けている『話し方セミナー』も人気

 

『おとなスタイル』Vol.5 2016秋号より
(撮影/大河内禎)

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る