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酒井順子「おとなのセンスとは?」 [おとなスタイル]

2017年02月06日(月) 09時00分配信

イラスト/松園量介

エッセイストの酒井順子さんが、素敵な大人の女性がどのような人かと見てみると、それは「堂々としている人」だったそう。
自分の物差しを持っていて、それが他人からどう見えようと「私はこれでいいのだ」と思うことができる人。“今の自分”に似合うファッションに悩みがちな50代。今回は酒井さんに“おとなの女性のセンス”について伺いました。

頑張って生きていれば服は後からついてくる

このように素敵な先輩方に会う度に、私は自分の中から「着る気」が湧きあがってくるような気がするのです。頑張って生きていれば服は後からついてくるということを、先輩達の姿は示します。特別に素晴らしいセンスを身につけていなくても、はたまた老けて見えない服や痛く見えない服といったテクニックを必死に学ばなくとも、日々懸命に生きることによって、着たい服、似合う服を自分の心身が導き出すのだなぁ、と思うことができる。

聖書には、「何を着ようかと思い悩むな」ということが書いてあります。野の花は何もしていないけれど、ただ咲いているだけで美しいのだから、ましてや人間をや、と。

昔は「だからって、明日起きたら素敵な服を神様が枕元に揃えてくれるわけじゃなし」と、この言葉にカチンときていましたが、最近になって何となくわかる気がしてきました。野の花も、何もせずに花を咲かせたわけではない。日照りや豪雨に耐え、人や犬に踏まれてもめげずに開花までこぎつけたからこそ、それは美しいのです。

私達もこれからがやっと、開花の時期なのかもしれません。それまでどのような養分を自分に与え、何を乗り越えたのかこそが、それぞれのセンス。もうしばらくは「何を着ようか」と思い悩みつつ、何色の花が咲くのかを楽しみに待つことにいたしましょう。

 

野の花は何もしていないけれど、

ただ咲いているだけで美しいのだから、

ましてや人間をや、と

 

 

■Profile

酒井順子
さかい じゅんこ
エッセイスト。1966年東京都生まれ。2004年『負け犬の遠吠え』で講談社エッセイ賞、婦人公論文芸賞を受賞。著書に『ユーミンの罪』『オリーブの罠』『裏が、幸せ』『「来ちゃった」』『子の無い人生』など多数。

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