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“のん“の本格復帰作、号泣必至の『この世界の片隅に』 [with]

2016年11月29日(火) 20時00分配信

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

大ヒットした『君の名は』を超えるほどの大評判の作品『この世界の片隅に』。太平洋戦争下の広島を舞台に、絵を描くのが得意で、ちょっとぽやーんとした女の子、平野すずの日常を描く物語です。

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

私はよくある「戦争もの」に描かれがちな、「国のために命を投げうって戦う人たち、その崇高な思い」みたいな感じがすごく苦手なのですが、この映画はそれとは全然違う、戦争中にもあった田舎町のほのぼのとしたささやかな日々を中心に描いたものです。

映画の魅力は(本当にいくつもあるのですが)、その最大のものは、なんといっても主人公すずのキャラクターです。気が優しくてのんびり屋なのですが、その「小さな幸せを見つける才能」で、どんな状況にも小さな灯をともします。あまりにマイペース過ぎて時にはやらかしたりもしますが、それがいちいち「クスッ」という小さな笑いになるのも彼女の人柄です。

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

そしてこのキャラクターをさらに魅力的にしているのが、ボイスキャストで本格復帰を果たした“のん“の声です。映画を見てしまった今となっては、原作のマンガを読んでも彼女の声しか聞こえてこない、完ぺきなハマりぶり。あの愛すべきぽわーんとした声と独特のセリフ回しが、ほのぼのとした笑いの場面で観客の心をふんわりと包み、後半で激化する戦争では、あまりにひどい現実が飲み込めず「離人」してしまう感じを強烈に表現します。そうなんです、舞台は広島ですから、当然ながら「あの日」がやってくるのです。

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

そうしたときに観客を――そして彼女自身を――救うのは、やっぱりすずの「小さな幸せを見つける才能」なんですね。ラストはもう号泣必至です。戦争の悲惨をそれなりに描きながら、「後味が悪い」と感じる人はまずいないでしょう。個人的には大ヒットになる傑作だと思います。ぜひぜひご覧下さいませ!

『この世界の片隅に』 テアトル新宿、ユーロスペース他全国にて公開中!
文/渥美志保

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