独身一人っ子、自分の亡き後の整理法 [mi-mollet]

2016年10月03日(月) 18時00分配信




Ogtmさんからの質問
Q. 独身一人っ子の私。自分の亡き後の整理法について知りたい
独身、きょうだいナシの35歳です。今は両親と住んでいますが、両親亡き後、自分の資産や葬儀、荷物のことなど第三者に依頼したいと思っています。NPO法人などで、そのような機関はあるんでしょうか?

特別ゲスト 金子稚子さんの回答
A. エンディングにおけるお金と医療を自分はどうしたいのか、 お願いする先を決めるのは、そこをしっかり考えてからです。
単刀直入にお答えしますと、そのようなNPOや機関はあります。そして、今後はさらに数も増えていくことでしょう。実際、私自身も死の前後にまつわるさまざまなお手伝いができたらいいなと、そのような機関の設立を計画しているところです。

それだけに、機関によって内容は多種多様に異なってくることでしょう。値段、対応、エンディングに対する考え方など……。ですからまずは、自分がどのように身辺整理をしたいのか、その方向性だけでも具体的に決めることが大事です。でないと、どこにお願いしたらいいかも決められませんから。

でも、いざ「具体的に」と言われてみると、一体何をどう考えたらいいのか分からないものですよね。そこでまずは、お金と医療(命)をどうするか、この2つについて考えることをオススメします。

まずお金についてですが、死ぬまでにかかる費用に関しては、ファイナンシャルプランナーに相談してみるといいでしょう。医療費、葬儀代など、およその概算を出してくれます。そのうえで残るお金をどうするかですが、ここで、「成年後見制度」というものがあることを覚えておいてほしいと思います。これは、アナタが財産を誰にいくら譲るかなど決めた後、その管理や分配手続きなどを後見人に託せる制度です。後見人を誰にするかは自分で決められます。弁護士や司法書士に委託することもできますし、家族の誰かを指名したり、また市民後見人に頼むといったこともできます。費用は依頼先によって異なりますが……。

いずれにしても、本当にその人が信用できるか、その判断が何より大事です。何といっても「死人に口なし」ですから、その選択は大変難しいところです。

とくに財産を残したい親族等がいないなら、自分の死後は全額寄付して資産をゼロにする、というのも一つの手だと思いますよ。もちろんその場合も、信頼できる誰か、または機関に、その手続きをお願いしておかなければなりませんが。

最近は、「遺言信託」といって、信託銀行が自分の死後の相続に関する手続きなどを代行してくれるサービスを提供しています。銀行ですので、個人に依頼するのとは違って「約束を守ってもらえないかも」といった心配は減りますが、とはいえ、手数料の高さや、細かな要望にどこまで応えてもらえるのか、といった壁もあるので、こちらもしっかり調べてから慎重に選ばれたほうが良いかと思います。

そしてもう一つが、医療をどうするか、です。自分が死につながるような状態に陥ったとき、延命治療をするのかしないのかといった、“最後の医療の選択”を伝えておくことが大切です。それには「事前指示書(リビングウィルと言う場合も)」を作っておくことをオススメいたします。Ogtmさんのように、おひとりさまならなおさらです。自分で作成も可能ですが、この事前指示書のひな形を準備している病院もあります。そのような病院は、治療方針に対する考え方が広く、患者目線を大切にしていることも多いので、病院を選ぶ際の一つの目安にされてもいいかもしれませんね。

とはいえ、年齢を重ねるにつれて自分の希望も変わってきますし、今は様々な支援をしようという機関もサービスもどんどん増えている状態。Ogtmさんはまだ35歳とお若いので、まずは死ぬまでのお金、死後のお金(相続)、医療と大きく分けて、それぞれ自分がどうしたいかを一度真剣に考えてみましょう。どこにその采配をお願いするかは、それからの話だと思いますよ。


PROFILE

金子稚子(かねこわかこ)
1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。




 

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