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遺言書をつくるタイミング、書くべきこととは? [mi-mollet]
2016年10月02日(日) 18時00分配信
pi-ro-moさんからの質問
Q.遺言書を作成するタイミング、書くべき内容など、遺言書の基礎知識を授けてほしい
遺言書の内容や作成のタイミングにつきまして質問させていただきます。私(47歳)、夫(49歳)で、都内のマンションに二人暮らし、子供はおりません。ずっと共働きで、マンションのローンは間もなく完済予定です。今年、結婚20周年を迎え、節目として、お互い遺言書を作成しようと提案しましたが、夫が取り合ってくれませんでした。夫は楽天的な性格で、老後のことは深く考えておらず、かなりの温度差があります。決して財産が多い訳ではありませんが、子供がいないため、どちらかが先に亡くなった時は、配偶者が全額相続できるようにしたいと考えています。私は3人兄弟、夫は2人兄弟です。夫は遺言書などなくても兄弟は遺産放棄するものと思い込んでいます。また、遺言書を書くのに最適な時期はありますか?お互い何が起こるか分らないため、準備は早い方がと思っているのですが、夫をその気にさせるのが難しいです。アドバイスいただけますと幸いです。
特別ゲスト 金子稚子さんの回答
A.まずは自分だけ遺言書を書いてください。
それを見て夫も、きちんと考えるようになるでしょう
結婚20周年、おめでとうございます! 遺言書を作成するには、大変いい節目だと思いますよ。できれば今すぐ取りかかられるのが良いでしょう。
でも今は、ご主人がどうしても乗り気になられないとのこと。となると、次のタイミングを待ってください。それは、ご主人が老後を語り出したタイミングです。「退職したら……」とか、「僕も歳をとったなあ」などと口にし始めたら、「そろそろ遺言書を作っておかない?」と切り出してみてください。
遺言書というのは、お互いに当然そのつもりでいることでも、作っておいたほうがいいと言えます。それもできれば、お金を払って、公正証書遺言にされることをオススメします。日本人は波風が立つのを嫌がって、「そんなにきっちりしなくていいよね」となりがちですが、いざトラブルが起こったときに、遺言書はものすごく自分も相手も守ってくれるものですから。
それに、遺言書にはもう一ついいところがあって、財産の分配のことだけでなく、自分の気持ちも残すことができるんです。「長年連れ添ってきた妻に感謝している。だから財産は全部妻にあげたい。私の気持ちを分かってほしい」などと書かれてあれば、残された者にも深く気持ちが伝わります。遺言書とは決して無味乾燥なものではないんですよ。
ただpi-ro-moさんの場合、一点確認してほしいことがあります。それは、ご主人も「配偶者が全額相続できるようにしたい」と思っているのかどうか、ということです。考え方は人それぞれ。夫婦で意見が違っていてもおかしくありません。だからこそ、まずはpi-ro-moさんだけでも先に遺言書を作られるのがいいと思います。それによってご主人は、pi-ro-moさんが夫に全額残したいと考えている、と知ることができますから。そこから自分の置かれている状況を客観視し、遺言書を作ろうという気が起こったり、遺言書の内容についてきちんと考えてくれるようになるかもしれませんよ。
さらにアドバイスさせていただきますと、遺言書には、ご主人への気持ちも残してください。私は仕事柄、妻に先立たれた男性を多く見てきていますが、その方たちは本当に辛そうなんです。遺言書でも手紙でも、「幸せだった」「感謝している」「いつまでも見守っている」といった気持ちを残しておいてあげると、とても救われると思うんです。女性って、自分のほうが長生きするものと思って、何も準備をしていない人が多い傾向にあります。でも死はいつ、どんな順番でやってくるか分かりません。だからこそまずは、アナタが先に遺言書を作成してみてはいかがでしょうか?
いかがですか?
金子稚子さんの回答、ぜひご参考になさってください。
PROFILE
- 金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。