誰もが自分の14歳と重ね合わせたくなる、ひと夏の冒険『グッバイ、サマー』 [FRaU]
2016年09月13日(火) 20時00分配信
(c)Partizan Films- Studiocanal 2015
14歳。子どもから大人へと急激に成長するこの時期に、「大人になったら絶対にできない」とんでもない挑戦を経験した人は多いはず。この映画の二人の少年、ダニエルとテオもその典型的な例。学校の夏休みに、彼らは自分たちの手作りの「車」で旅に出ることを決意するのです。しかも車体は「ログハウス」風。その中で寝泊まりしながら、二人は愉快な旅を続けていきます。
監督のミシェル・ゴンドリーは、『エターナル・サンシャイン』など、ヒネリの効いた作風が持ち味。でも今回は自分の過去をヒントに脚本を書いただけあって、ストレートでみずみずしい少年の成長ストーリーになっています。かわいい女の子にも想いを抱くけど、同性の頼りになる友人にもあこがれる、そして相手のピンチを全力で救ってあげる……。絶妙なエピソードの数々で、思春期の少年同士の微妙な心理がすくい上げられていきます。
二人の外見や性格が、真逆(一人は女の子に間違えられるほど!)なので、どちらかに熱く共感してしまう確率が高い本作。演じる少年たちも役と一体化していますが、あの『アメリ』のオドレイ・トトゥが母親役というのは、時の流れを感じさせます。
「30年後に会ったとき、あのとき、夢を諦めなかったと言いたい」。劇中のそんな名セリフが象徴するように、ずっと前に十代を過ごした大人の観客は、きっと、それぞれのひと夏の冒険を重ね合わせ、ホロ苦く胸を締めつけられることでしょう。名作『スタンド・バイ・ミー』のように……。
『グッバイ、サマー』 YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他、全国ロードショー中
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