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6月10日公開の『マネー・モンスター』は、財テクテレビショー「マネーモンスター」が生放送中にジャックされてしまうというお話。
大人世代は人質に取られた番組の軽薄な司会者（ジョージ・クルーニー）は、彼が薦めた“手堅い株”が暴落し全米で8億ドルもの損失を出した理由がを知りたいと迫る青年に引っ張られ、やがて金融業界の裏にある不正義へと迫ってゆきます。ネタは社会派ですが、アクションありユーモアありのこの作品、実はあの女優ジョディ・フォスターの監督最新作です。

大人世代は誰もが知っているジョディ・フォスター、あの人食いハンニバル・レクター博士とガチな勝負を繰り広げた『羊たちの沈黙』でアカデミー賞主演女優賞を獲得した大女優です。そのフィルモグラフィーは『ホテル・ニューハプシャー』『告発の行方』『コンタクト』『パニックルーム』などなど必見の名作だらけ。

でも彼女を伝説的な存在にしたのは、13歳で少女娼婦を演じた『タクシードライバー』でしょう。でもこの作品、実は、彼女に思わぬ災厄ももたらしています。ジョン・ヒンクリーというストーカーに付きまとわれるようになってしまったんですね。この男、彼女に認知してもらいたいがために、1981年にアメリカ大統領暗殺未遂事件を起こしています。

彼女のパーソナリティーを語る上で外せないことはもうひとつ、’98年（36歳）と’01年（39歳）の出産です。父親が誰であるかを明かさないまま、体外受精で妊娠し出産したんですね。当時、マスコミは父親探しに躍起になったのですが、彼女は徹底的に黙殺。でも後に公言された同性愛者であることを考え合わせると、これはおそらく計画的。様々な雑音に惑わされることなく、自分の理想の人生を築いていく、すごーく強くて頭のいい人です。

監督業についても同じことが言える気がします。現在50歳の彼女、監督デビューは26歳と早く、映画は今回で4本目です。想像するに、大人の女性になかなか主演が回ってこないハリウッドで、まだ女優として主演が張れるうちに次の展開の布石を打っておいたんじゃないかなーと思います。彼女はIQ130越えの天才なのですが、それでいながら、すごく地に足の着いた地道なキャリアメイク。こういう先輩の在り方を、お仕事女子は、ぜひ見習いたいものです。（文：渥美 志保）