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女の生き方を学べる人生指南の3冊 作家 林 真理子さんのブックセレクト [VOCE]

2016年06月10日(金) 17時30分配信

「美人枠」に入りつつ、女としての総合力をつけて

「キレイになることは女性にとっていいことです、絶対に」そう言い切る作家の林真理子さん。

「私たちの時代は、美人とそうじゃない人はハッキリと分かれていました。今の若い女性たちはみんなスタイルがよくて羨ましいです。スタイルがよくて、おしゃれでメイクがうまかったら、“女としてのグレーゾーン”のかなり上の位置につけるじゃない。その力たるやすごいな……と感銘を受ける毎日です。メイクもダイエットも頑張りがいがありますよね」

さすが徹底した取材のもと、ミス・ユニバース事務局を舞台にした小説(『ビューティーキャンプ』幻冬舎)を書いた林さん。公私にわたって名だたる美人と接してきたため、説得力がある。

「でも、性格がよくて素敵でキレイだったらモテるのか? と言われれば、そんなに単純じゃないのが恋愛。アラサーの女性たちには、ぜひ絲山秋子さんの『ばかもの』を読んでほしい! 恋愛ってすごく理不尽なもので、乱暴でがさつなんだけど、男が愛さずにはいられない女がいる……ってことを、この本は教えてくれますね」

そして、大人になるほど、女性は“総合力”だと林さんは語る。

「魅力というのは、美人かどうかだけでなく、“その人のトータル、総合点”に変化していきますよね。どんなしゃべり方か、どのくらい面白い話をするのか、立ち居振る舞いはチャーミングか、男性への観察眼を持っているか……そういうことがすべて採点されていく。20代では笑って許されたことが30代では許されなくなっちゃうし」

アラサーは女性としての過渡期であり成長期。そんな女性におすすめしたいのは、「田辺聖子さんの恋愛三部作(『言い寄る』『私的生活』『苺をつぶしながら』)です。とにかく人生のアフォリズムにあふれていて、気づきの連続! “男って○○○なもの”とかちょっとしたセンテンスがとっても面白いし、すごく勉強になる。あとは、宮尾登美子さんの自伝的作品『櫂』。女の人が一人の男性を愛し抜こうとするたびに発覚する裏切りや、戦時中を生き抜く難しさが同時に描かれていて……、一気に読める名作ですね。この本を読まないなんて本当にもったいないと思います!」

ちなみに林さんの新刊エッセイ『マリコ、炎上』の巻末には、人気アナウンサー小林麻耶さんとの対談が収録されている。お題は「私は結婚できますか?」。美人で可愛くて憧れの職業、女子アナであるアラサー小林さんへの結婚偏差値判定や、いかに?

作家 林 真理子
1954年4月1日生まれ。作家。『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が処女作にしてベストセラーに。1986年直木賞受賞。雑誌「本の旅人」で小説「西せ郷ごどん!」、毎日新聞で「我らがパラダイス」などを連載中。
女の生き方を学べる人生指南の3冊

「美人で性格がいい」から惹かれるのではない

女の生き方を学べる人生指南の3冊

ばかもの (新潮文庫)
絲山秋子
/新潮社

19歳の大学生、ヒデは年上の女性・額子と付き合っていたが、彼女の結婚を機に捨てられる。その後、アルコール依存症を経験したヒデと、事故によって左手を切断し、離婚した額子は再会する……。「絲山さんの作品はどれも好き」と林さん。

アフォリズムにあふれる恋愛三部作

言い寄る (講談社文庫)
田辺聖子
/講談社

主人公はデザイナーとして働くアラサー女性、乃里子。「携帯電話がないことを除けば、すべて現代に通じる男女の機微が描かれているんです。“男ってこうだよ”という標語にしたいような言葉がたくさんでてきます」

女性の愛と自立を突きつける大河ドラマ

櫂 (新潮文庫)
宮尾登美子
/新潮社

土佐に生まれた喜和は15歳で芸子娼妓紹介業の男の元へ嫁ぐ。夫が愛人に産ませた子を育て、やがて夫の職業へ疑問を持っていく……。「喜和の潔癖さがいい。文学少女だった私を大人に育ててくれた本です」

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