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いま世界を爆発的に席巻する“セクシュアル・フルイディティ“ってなに? [FRaU]

2016年05月27日(金) 18時00分配信

“セクシュアル・フルイディティ“ってなに?

男性や女性いずれの性に対しても魅力を感じる指向を表すバイセクシュアルでもなく、性的少数者を限定的に表現するLGBTでもない。
そもそも性は流動的なものと解釈するまったく新しい考え方、セクシュアル・フルイディティ。特に10代から20代の世界中のセレブリティが次々とそのアイディアに賛同し、公言している今だからこそ、まだ定義され切っていないセクシュアル・フルイディティという言葉とともに、型にはまらない性のあり方について考えてみたい。
セクシャル・フルイディティを体現するオピニオンリーダー4人からのメッセージ

★Cara Delevingne

セクシャル・フルイディティを体現するオピニオンリーダー4人からのメッセージ

★Cara Delevingne
「私のセクシュアリティーは固定的なものではないわ。私は私という人間でしかないから」
The New York Times(2015/7/16)

★Lily-Rose Depp
「自分の性にラベルを貼る必要はないと伝えたかった。自分の性にラベルを貼っていない子たちはたくさんいて、すごくかっこいいことだと思うから」 NYLON BETA(2016/2/4)

★Kristen Stewart
「ググってみれば? 私は何も隠してないから。もしあなたが自分を定義したいと本当に思っていて、自分の特徴をはっきりと語る能力があるならやってみて。でも私は女優だから。ものすごく曖昧な人生を生きていて、満足してる。“カミングアウトするわ!”って言うこと自体、私にとって正直ではない気がする」NYLON2015年9月号

★Miley Cyrus
「私はパンセクシャル=全性愛だということを隠すつもりはないの。でも、特定の誰かと交際しているわけではなくて、私は22歳だし、デートはするし、2週間ごとにスタイルが変わる。私が誰といるかなんてほっておいて」ELLE(UK)2015年10月号

「私は合法的であれば、どんな対象にもオープン。独身で、動物が絡んでなくて、18歳以上で私を愛してくれる人なら構わない。パートナーは男の子でも女の子でも関係ないわ」 PAPER2015年夏号
“女性装の東大教授”安冨歩さんが考えるセクシャル・フルイディティ Sexual

“女性装の東大教授”安冨歩さん

“女性装の東大教授”安冨歩さんが考えるセクシャル・フルイディティ Sexual

まず男と女に振り分けられるところから始まる人間の人生。男女の区分けが揺らぐということは、社会の基盤も揺らぐということ。
現在53歳、女性として振る舞う方が自然と気付いて3年目の安冨歩さんに聞く、自分らしくあることがもたらしてくれるパワーとは?

「自分が正常であると確認するために、異常というラベルを人に押し付けたがるのです」

男たるもの男らしくと無言の圧力を受け続けて50年間生きてきた教授・安冨歩さんは3年前に女性の服を着たことをきっかけに自身の中の女性性に出会うことになる。きれいにメイクアップし女性の服で自らを装う安冨さん曰く、「LGBTという概念さえ、ある種差別」だという。

「“レズビアン”なんていう人は存在せず、そこには性的嗜好を口実にした差別があるだけ。心に傷を帯びた者は、自分が正常であると確認するために、誰かに異常というラベルを押し付けたがります。存在するのはその差別だけ。差別される人々が、権利を守るためにそのラベルを逆手に取ってきたわけですが、権利が拡大するにつれて、カテゴライズなど意味がないという方向に進むのは自然だし、素敵だと思います」

もともと、ウエストが細く、腰や太もも太く、喉仏が小さいなど、体に女性的な特徴があった安冨さんは、男女を二分化すること自体に問題提起する。

「私の身体は男7割女3割なのかも。でも身体のごく一部の形状で〈男〉と判断される。なぜそこばかり気にするのか」

19〜20世紀の日本の成長を支えたのはこの男女の区分けから始まった、人間を分類して型に当てはめる“立場主義”。しかし、今や全く機能していないばかりか、皮肉にも人間の創造性を奪って成長を阻害していると安冨さんは分析する。

「らしくあれというやり方は、硬直的な社会のシステムの中で、人間を組織の都合に合わせて統制するための訓練。そういう生き方を叩き込まれた人は、決まった形にエネルギーを出力する能力が高い。これが日本人が世界一得意なメソッドでした。その大成功した時代に生み出したイデオロギーは、コンピューターの登場で無意味となりました。しかし日本は繁栄の夢からさめず、この体制を変えようとしないばかりか、硬直化させようとしている。アメリカでは日本に出し抜かれた破産寸前の時代に、社会の根底にある男女のあり方を問い始めたんです。そのアメリカで同性婚が認められた年に、日本では夫婦別姓が違憲というおかしな判決が出ているという落差は、単に遅れているではすみません。むしろ、逆行してます」

行き詰まった現代の日本を救うのは創造性を高めることだと安冨さんは考える。必要なことは、立場にふさわしい“らしさ”ではなく、本来の自分らしくあることだ。ただし、そんなに簡単なことではない。

「普段のメイクについて考えてみましょう。自分を醜いと思い込んでしまい、求められる“らしさ”に応じるための、本来の自分から離れるメイクになっていませんか。そのような〈立場メイク〉は無力です。化粧は、自分を隠すのではなく、失われた自分らしさを回復する手段です。自分らしくあるときに人は最も美しく、最も強いのです。美しさは強力な武器でありパワーです。たとえば自分に都合のいいように空間を歪め合うような嫌な会議に、女性が自分らしい美しさを身に帯びて出ると、空間歪めシステムの作動が狂います。私は元が男ですが、気合を入れて化粧して東大の会議に出ると、その効果を実感するんです(笑)。
結婚や家族も自分らしくあることが最重要。それぞれ外に彼氏がいるような女同士の家族とか、ドラマ『フルハウス』風の家族とか、何でもいいと思っています」

安冨 歩さん
1963年生まれ。京都大学経済学部卒業後、株式会社住友銀行に勤務し経済学者の道へ。2009年に東京大学東洋文化研究所の教授に着任。3年前より「男装」を捨てて女性装に。著書に『ありのままの私』(ぴあ)など。

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