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海外の映画に登場する“なんちゃって「セーラームーン」”のインパクト! [with]
2016年03月12日(土) 17時00分配信
アイドルでデビューしたのに今は演歌歌手、って何の話かと思いますが、そういう人がいます。長山洋子です。演歌歌手になりたかったのに時代は80年代アイドルブーム真っただ中で、顔も可愛かったばっかりにアイドルでデビューするハメになってしまった人です。そのデビュー曲『恋はSA-RA-SA-RA』は、イントロはいかにもアイドル歌謡なのに、全体は何となく若手演歌っぽく、歌唱力はアイドルに有るまじきレベル。その「ちぐはぐ感」が妙なインパクトとして残っていたのですが、3月公開の『マジカル・ガール』というスペイン映画のオープニングでこの曲が高らかに鳴り響き、めちゃめちゃビックリしました。
『マジカル・ガール』 監督: カルロス・ベルムト Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados (c)
物語は、ある父親が白血病で余命いくばくもない娘の願いを叶えるために、ある女を脅迫し、その女が実はとんでもない女で、物事が引き返せないほど大事になっていく――という話なのですが、その娘の願いというのが日本のアニメ「魔法少女ユキコ(ってネーミングもすごい)」のコスプレを手に入れること。なぜかそのテーマ曲に選ばれたのが『恋はSA-RA-SA-RA』で、冒頭の場面では少女が真っ青な顔しながらこの曲で踊った挙句にふらふら倒れるという場面。画面に充満する「ちぐはぐ感」は観客に強いインパクトを残します。例えばこれがワン・ダイレクションとかだったら、映画は日本で公開される年間800~900本の中に完全に埋もれ、スルーされちゃったに違いありません。
お茶の間に馴染む「普通」の安心感が必要なテレビとは異なり、劇場に足を運んでもらう映画には「何これ?」と思わせることがすごく大事。この映画を見た100人中100人が、日本の歌謡曲でセーラームーンみたいな外人少女が踊る変な映画、と説明するに違いありません。変って悪い意味じゃありません、変だから面白いんですから。
ちなみにブラピの『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の1シーンでも、2人の男が会食するラスベガスのレストランで日本の曲がかかっています。こんなレストランで、なんで徳永英明が「最後の言い訳」歌い上げんねん!――ってツッコミ入れた人(私ですけど)は、作り手の狙いにハマっちゃった証拠ですね。(文:渥美志保)
お茶の間に馴染む「普通」の安心感が必要なテレビとは異なり、劇場に足を運んでもらう映画には「何これ?」と思わせることがすごく大事。この映画を見た100人中100人が、日本の歌謡曲でセーラームーンみたいな外人少女が踊る変な映画、と説明するに違いありません。変って悪い意味じゃありません、変だから面白いんですから。
ちなみにブラピの『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の1シーンでも、2人の男が会食するラスベガスのレストランで日本の曲がかかっています。こんなレストランで、なんで徳永英明が「最後の言い訳」歌い上げんねん!――ってツッコミ入れた人(私ですけど)は、作り手の狙いにハマっちゃった証拠ですね。(文:渥美志保)