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【人生Q&A】抗がん剤の副作用に苦しむ妹。自分もなったら、と思うと不安です [mi-mollet]

2017年10月03日(火) 14時00分配信

ピスタキオさんからの質問
Q. 妹が副作用に苦しむ姿を見て自分が癌になったときの治療選択に不安を覚えています。

初めまして。妹が乳がんで治療を行なっておりました。抗がん剤治療→手術、その後リンパまで転移していてステージ4となり、違う種類の抗がん剤治療を終え、今やっと普段の生活を取り戻そうとしております。再発のリスクはかなり高いと本人も自覚しているようです。妹が決めて治療をしてきましたが、副作用を見ていて痛ましいです。ネットや人づてに、抗がん剤治療はお医者さん自身も受けないくらい体に悪いと聞きました。民間治療を勧める本を読むと腑に落ちることが書かれており、この先、自分が患ったときに何を信じてどう選択すべきか分かりません。癌には免疫力が大事だと知り、それを低下させる抗がん剤治療を受けること抵抗があります。が、受けないことで寿命が短くなるのも辛いです。生活習慣病なので、ならないように予防することが大事ですが、万が一の時に自分は妹のように選択できるのか不安です。(51歳)

特別ゲスト 樋野興夫先生の回答
A. 先のことに一喜一憂すると疲れてしまいます。今は妹さんに寄り添うことを 優先順位の1位にもってこられてはいかがでしょうか?

ご家族ががんを発症されると、自分も発症したら……と不安な気持ちに陥るものですよね。たしかに昨今は2人に1人ががんを発症するという時代ですから、不安なお気持ちはお察しします。が、一方で遺伝性のがんというのは、がんの種類にもよりますが、実は5%程とかなり低いのですよ。必ずしも妹さんが発症されたから自分も……というわけではありません。ですから先のことに一喜一憂しすぎないようにされてください。

それよりも今は、視点を変えられて、妹さんに寄り添う、ということを優先順位の1位にもってこられてはいかがでしょうか。妹さんに夫や子供などの家族がいらっしゃるなら、お姉さんであるピスタキオさんは、妹さんの夫や子供にはできないことをされてあげてください。たとえば妹さんの家族のケアなど、今まで妹さんがやっていたけれどできなくなってしまったことを手助けされるなど……。小さなことに大きな愛を込めておこなっているうちに、自分の優先順位が下がり、不安も和らいでいくと思います。

もちろん病気の知識を得て、ご自身の不安に対処されることも大切です。たしかに今はネット上に様々な情報が出回っていますが、何のエビデンスもないものも見受けられます。がん哲学外来でも、ネット情報について聞かれることは多いのですが、私はそのようなとき「70%の精度だと思って見てください」と伝えるようにしています。やはり病気のことは、純度の高い専門医師に相談されるのが一番です。

妹さんが抗がん剤の副作用に苦しんでおられる姿を見て不安になった、とのことですが、抗がん剤は人によっても、薬の種類によっても、効き方も副作用の表れ方もまったく違いますから、何とも申し上げることができません。ですが抗がん剤の副作用は、がん細胞を殺すうえで正常細胞も殺してしまうため起こるもの。苦しんでいても、決して間違っているとは言えないのです。

このようにがんは、その情報も判断基準も非常に多くありますから、すべてのことを自分一人で調べ、判断するのは限界があります。病院には、がんについて相談できる窓口もあるはずですから、そういったところを有効に使われてください。「がんになったわけでもないのに……」と相談されにくいようでしたら、お住まいの最寄りにあるがん哲学外来カフェに、是非いらして悩みを話されてください。がん哲学外来カフェの存在意義は、そこにあるのですから。
いかがですか?
樋野先生の回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

樋野 興夫(ひの おきお)
1954年、島根県生まれ。医学博士。順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座教授。一般社団法人がん哲学外来理事長。医療現場と患者の間にある「隙間」を埋めるべく、全国各地で講演をおこなうなど精力的に活動している。著書は『がんばりすぎない、悲しみすぎない。「がん患者の家族」のための言葉の処方箋』(講談社)、『がん哲学外来へようこそ』(新潮新書)など多数。

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