• > 専門家に聞く老犬と楽しく快適に暮らすヒント [おとなスタイル]

専門家に聞く老犬と楽しく快適に暮らすヒント [おとなスタイル]

2017年09月23日(土) 10時00分配信

一般社団法人ランコントレ・ミグノンの代表の友森玲子さんに、老犬と暮らすためのちょっとしたケアのコツを伺いました。
ちょっとしたことで、老犬は暮らしやすくなります

撮影/清水奈緒

ちょっとしたことで、老犬は暮らしやすくなります

一般社団法人ランコントレ・ミグノンの友森玲子さん。2007年、東京都動物愛護相談センターから犬や猫、うさぎなどの引き取り、受け入れなどをはじめ、今まで多くの動物たちを保護して、新しい家族に譲渡してきました。

今回お邪魔したのは、保護動物がいるシェルターと動物病院、ペットサロンがひとつになった北参道にある「ミグノンプラン」(※注)です。
※注毎月第2日曜日・第4土曜日が譲渡会です。それ以外の日にシェルターの見学等はできません。詳しくは、ミグノンのサイトでご確認ください。

「年を取ると人間と同じで動物も、認知症が始まったり、歩行が大変になったり、病気になったりします。確かに大変だけど、それ以上に、老犬は本当にかわいい。取り巻く空気が穏やかで、しかも、生きているだけなのに、いろんなこと教えてくれる感じもありますね。ミグノン周辺では、ちょっと前から、老犬いいね、って人がとっても増えています」
と友森さん。

老犬にいつまでも楽しく、快適に暮らしてもらうポイントはあるのだろうか?
「日々の中で、ちょっとしたことに気を配ってあげるといいと思いますね。特に、老犬になると歩行がスムーズに行かなくなります。人間も年を取ると、腰が痛い、膝が痛い、早く歩けない、杖がないと歩けない、というのと同じで、犬も同じように、関節トラブルや筋力減少などで、歩行力が低下します。
今日モデルになってくれる『とつこ(とっちゃん)』(推定15-16歳)も、足腰が弱くなって、真っ直ぐに立てずに足が開いてしまうんです」

確かに、とっちゃんの足はハの字にどんどん開いてしまう。
「足腰が弱くなると、踏ん張る力がないので、滑る床はしんどいと思います。フローリングの場合は、カーペットなどを敷いて、少ない力でも踏ん張りが効くようにケアしてあげたいですね。よくコルク素材のマットを敷いている方もいますが、実はコルクは滑るので、あまりお勧めしません。
また、足裏の肉球周りの毛が伸びていると滑ってしまうので、ペット用のバリカンで毛をカットしてあげるといいですね」
老犬になると、体の負担を考えてトリミングサロンに行かなくなることも多く、肉球周りの毛が伸び放題になることも多いといいます。
「爪も伸びていると踏ん張れないので、足元だけでもケアしてもらうのもいいでしょう。老犬は若い犬に比べて落ち着いている子も多いので、セルフケアも難しくないと思いますよ」
肉球周りの毛のお手入れのやり方

肉球を傷つけない犬専用のバリカンを使って足裏の伸びた毛を整えます。伸びきった毛をサッとカットした後、肉球と指の間、指と指の間の毛なども丁寧にカットしてあげましょう。

肉球周りの毛のお手入れのやり方

ペット用のバリカンを使用。肉球が傷つかないように、やさしく、肉球と指の間の毛をカット。お散歩量などが減ると、毛が伸びた状態になりやすいので、こまめにチェックしてあげましょう。これは老犬だけでなく、老猫でも肉球周りの毛が伸びて歩行しにくくなるケースがあるので、チェックは大事です。

【足元周りの注意点】
・フローリングの場合は、カーペットなどを敷く
・滑り止めのワックス2度塗りするだけでも効果あり
・コルク素材の敷物(マット)は滑るものもあるので注意
・肉球周りの毛をカットする(毛で滑る) ペット用のバリカンで処理する
・肉球が乾燥しているときは、保湿クリーム(ワセリンでもOK)で保湿。
・爪は短く! 爪があると踏ん張れなくなる
筋肉の衰えは、足の屈脚運動でリハビリケア

撮影/清水奈緒

筋肉の衰えは、足の屈脚運動でリハビリケア

滑らない環境にして、足裏をケアしても年齢とともに次第に足腰は衰えます。脚がハの字に広がり始めてくると、足の筋力が衰えてきたサインだと友森さんはいいます。
「できれば、衰えてしまう前に、そろそろかな、というときに気づいてケアしてあげられるといいですね。まずは、歩行がゆっくりになったり、変わってきたら、一度ドクターなどに関節や筋肉などの状態を診てもらうといいかもしれませんね。膝などが痛いようなら、不飽和脂肪酸などのサプリメントなど、関節ケアを。
さらに、うちのシェルターでは、脚の曲げ伸ばし運動をやっています(関節に問題がないか確認してから)。うちに来る老犬の中には、ずっとケージに入れられていて、筋力が低下して歩けないという子もいます。そんなときには、脚の曲げ伸ばしを補助してあげます(動画参照)。このとき、関節に対して真っ直ぐに、行うのがポイントです。関節や骨に負担をかけないように、無理がない姿勢で補助してあげるといいでしょう。立ってやるのが難しい場合は、寝かせてやっても大丈夫です。このときも関節に対して真っ直ぐに、を意識してください。無理がない範囲で、1日100回ぐらいを目安に。この脚の曲げ伸ばし運動で、自力で立ち上がれなかった犬が、お散歩できるまでになったこともあります」
脚の曲げ伸ばし運動のやり方

脚の曲げ伸ばしは関節に無理がかからない方向で行います。脚の位置を固定して(寝かせると固定しやすくなります)、関節をやさしく曲げ伸ばしします。痛がったり嫌がる場合は、獣医さんなどに相談してから行いましょう。

脚の曲げ伸ばし運動のやり方

無理がない範囲で行いましょう。痛がったり嫌がったりしたら、無理をしないでください。

【筋肉強化の注意点】
・後ろ足が開いてしまうようになったら、筋肉衰えのサイン
・膝が痛いようなら、不飽和脂肪酸のサプリも有効
・関節に問題がなければ、脚の曲げ伸ばし運動を1日100回を目安に
・後ろに下がるのが難しくなるので、家具の配置など隙間に気をつける
・外出時には、怪我予防のため、サークルに入ってもらうなどの工夫も

早め早めのケアで、できるだけ長く歩行できる脚力をキープしましょう。
ランコントレ・ミグノン
東京・千葉にシェルターを持ち、犬・猫・うさぎ・鳥を愛護センターや被災地から保護。定期的に譲渡会も行っている。北参道シェルターには病院やトリミングサロンも併設。お散歩やミルクなどのボランティアを随時募集。

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る