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女優 天海祐希さん『自由を実現する鍵』 [おとなスタイル]

2017年07月12日(水) 10時00分配信

登場人物全員に光が当たる三谷作品の魅力

天海祐希さん

登場人物全員に光が当たる三谷作品の魅力

三谷幸喜さん作・演出の今作で、天海祐希さんが演じるのは、なんと子どもの役。登場人物は全員が小学4年生で、それを10人のおとなの俳優たちが演じるという大胆な試みだ。しかも、フレッシュな印象のお話かと思いきや、席替えや学級委員選挙で起こるいざこざ、ドロドロとした人間関係も描かれるらしい。

「三谷さんの話によると、私の役は勉強や運動ができるわけではないけれど、自分を人気者だと思っている女の子の役らしいです。どう作品が仕上がっていくのか、私も楽しみですね。三谷作品は台本をもらった時点で、まず笑ってしまうんですよ! 声を上げて笑えるだけでなく、クスッと不意に笑えてしまうシーンもちりばめられていて。改めてお話の作り方が素晴らしいと感じると同時に、その世界の中に私もいたいと切に思います」

天海さんが初めて三谷作品に出演したのはミュージカル『オケピ!』再演の時。

「ストーリーは初演と同じ流れでも、役者に合わせてエピソードを変えてくださり、登場人物一人ひとりを愛しているんだなと感じました。主演とその他の人たちという分け方ではなく、登場人物全員に光が当たっているように感じます。役の大小にかかわらず、その人物の人生や背景をきちんと描いてくれる。ここでこの人は挽回するのか! ここであの話を拾うんだ! と伏線も巧妙で、投げっぱなしにするのではなく、最後にはきちんと収められている。適材適所の配役だと思いますし、登場人物それぞれが面白い。
そんな舞台作品に出られるなんて役者冥利に尽きます。三谷さん本人も面白くて、楽しい方。三谷さんの言うことなら、どんな難題でも応えたいと思っています」

日々、着実に積み重ねる。でもたまには“ナイスだらだら”

今年8月に50歳を迎える天海さん。節目が近づく今、感じることは?

「歳をとるのは楽しいこと。年々、より良い人間でいられるよう努力をしたいと思っています。そのために心掛けているのが、一日一日を無駄にせず、積み重ねる気持ちで過ごすこと。だらだらと過ごす日もありますが、その時は後ろ向きにならず、“ナイスだらだら”!と。これは意味のあるだらだらよ、と思うことに。これで素敵な一日になるでしょ?」

そんなふうに前向きに考える天海さんだが、そう考えられるようになったのには、ある転機があったのだとか。

「自分の力では解決できない大きな壁にぶつかったことがあって、もう今までの考え方を変えるしかないと思ったんです。物事は“できなくて当たり前”。だからこそ、努力をして思い描く姿に少しでも近づくことが大事なんだ、と発想を変えました。できないと暗い顔をするより、前向きな気持ちで自分の限界を知ろうと思うようになったんです」

全てのことには意味があり、必要なこと。ただし、何かを手に入れたいのなら、努力は惜しまない……。それは、舞台の仕事でも強く感じているのだという。

「舞台の稽古はその最たるもの。その日一生懸命にセリフ覚えをしたかどうかが次の日に大きく影響しますし、明日もう一歩先の教えをもらうために、今日注意されたことは今日中にきちんと直して、おさらいはその日のうちにする、と一日単位で考えるようにしています。今日感じた手応えが、明日へと繋がるものになるから。よく何かをやる前に、自分らしく頑張ればいい、とか、自分なりに頑張ると言うけれど、それは最後までとことん頑張って、それでも結果が出なかった人のための言葉だと私は思っています。私自身、やる前から言ってしまうと、言い訳や甘えになる気がして。だって、自分がどれだけ怠け者かはよくわかっているから(笑)」

自分に厳しく、ひたむきに仕事に取り組む天海さん。「女優としてのこれからの展望は?」という質問には意外な言葉が返ってきた。

「女優と言われると恥ずかしいです。お芝居をさせて頂いている感覚なので、女優さんにはなれていない気がして……。いつかそう呼んでいただいて、自分でもしっくりくる時がきたらいいなぁって思います。
そして50代になったらね、少しのんびり仕事する! 余裕を持って、自由な時間を過ごしたいですね。ただ、自由はすごく素敵な言葉だけど、全部が自分に降りかかるから怖くもあります。きちんと責任が取れる、物事をしっかり考えられるおとなでないと、自由は来ないのかな?と思ったり。
30代、40代、50代と選ぶものが変わり、これは今の私に必要、これは必要がないと取捨選択できるようになりました。それができると自分に余白ができて楽になる。選ぶ目を育て、何かを選ぶために努力したことが自由への鍵になると思います」

“取捨選択してできた余白が、自由を実現する鍵に”

『子供の事情』
三谷幸喜による新作書き下ろし。昭和46年の東京が舞台。三谷自身の少年時代の記憶をもとにして、無限の可能性を秘めた10人の10歳児を描き、おとなの俳優たちが演じる。豪華俳優陣が三谷ワールドでどう生きてくるのか、乞うご期待。
作・演出/三谷幸喜 出演/天海祐希、大泉洋、吉田羊、小池栄子、林遣都、春海四方、小手伸也、青木さやか、浅野和之、伊藤蘭。
7月8日(土)~8月6日(日) 新国立劇場 中劇場
“天海さんの自由”といえば?

加賀まりこさん

“天海さんの自由”といえば?

「大好きな先輩、加賀まりこさん。裏表がなく、ビシッと本音を言ってくれる、純粋な方。私が撮影所でナンパしてから(笑)、仲良くさせていただいています。年代年代で悩み、きちんと乗り越えて生きてこられたから、温かさ、柔らかさ、そして自由を手にしているのだと思います」
■Profile
天海祐希さん[女優]
あまみ・ゆうき/1967年東京都生まれ。ドラマ、映画、舞台で活躍。
代表作にドラマ『離婚弁護士』『女王の教室』『BOSS』など。

 

『おとなスタイル』Vol.7 2017春号より
撮影/森本洋輔

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