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衣裳デザインの現場から「演劇の醍醐味とは?」 [おとなスタイル]

2017年05月29日(月) 09時00分配信

三谷幸喜作・演出『エノケソ一代記』の舞台裏から、舞台に関わる気鋭のクリエイターの、制作プロセスや発想の源をご紹介。今回ご紹介するのは、衣裳デザイナー前田文子さんです。
人とのコラボレーションで作られる! 衣裳デザインの現場とは……

左/アイデアを具現化するためのデザイン画。イプセン作『幽霊』(鵜山仁演出)の主人公、未亡人ヘレーネのドレス。右/『グランドホテル』(トム・サザーランド演出)のロシア人バレリーナ、グルシンスカヤ。

人とのコラボレーションで作られる! 衣裳デザインの現場とは……

日常の食事や見る景色がデザインの大きなヒントに 高校3年生の時に見た舞台に触発されて学生演劇を始め、大学で服飾を学んだ後、憧れの緒方規矩(きくこ)子先生に師事。
10年以上の修業の中で、多くを学びましたね。ご飯を作りお皿を画用紙に見立てて盛り付けをデザインすること、“味覚と視覚はつながっている”ので食をおろそかにしないこと、庭掃除で花や葉を観察しソラで描けるように……などなど、刺激的な毎日でした。

左/食もデザインし大切にしたいから、稽古場にこもる日は手製のお弁当に。卵焼き、いんげんの胡麻よごし、三つ葉とささみの和えもの、昆布巻きなどを彩りよく。右/日々の癒やしは16歳になる愛犬ハイジ。

現在の私はジャンルを問わず、幅広い作品を手がけています。それは役者さんのように様々なキャラクターを生み出したいから。デザイン画を描きながら、台本に登場する人物になりきって、この人ならどんな服を着るだろう、と想像して楽しんでいます。演出家との擦り合わせもその方に合わせて。
演出家によっては「デザイン画を見てもわからないよ」とおっしゃる方もいて、その時は稽古場に日参して、セッションしながら作りました。三谷幸喜さんは『酒と涙とジキルとハイド』の時、デザイン画のキャラクターを見て大喜び。ゲラゲラ笑い、「この表情でやってみて」と役者さんに指示されたことも。こうして、人と人がお互いに触発し合い、ひとつの作品が完成するのが演劇の醍醐味。
■Profile
前田文子さん
まえだあやこ
1988年より舞台衣裳家・緒方規矩子氏に師事。’98年、文化庁芸術家在外研修員として渡英。オペラ、バレエ、演劇など幅広く手がける。2003年読売演劇大賞優秀スタッフ賞、’03年伊藤熹朔賞など数々の賞を受賞。

 

『おとなスタイル』Vol.6 2017冬号より

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