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毎年10月の1週目に開催される釜山映画祭は、世界中のマスコミはもちろん、特に日本からの一般客の参加も多い映画祭です。マスコミにリピーターが多いのは海沿いの釜山の町がすごく魅力的で人も親切、そしてご飯がめちゃめちゃ美味しいから。一般客にリピーターが多いのは、そういうことに加えて、韓流スターや韓国のアイドルたちの参加が多いからです。

今年そうしたファンの注目を集めた作品は、なんといっても韓流アイドルSHINeeのミンホが初主演した『二人の男』でしょう。ミンホ演じるのは施設育ちの家出少年ジンイル役。恋人のガヨン、弟分とその彼女の4人で、アルバイトや小さな犯罪でその日暮らしをしのいでいるのですが、あるトラブルをきっかけに過去の亡霊に再び追いかけられることになります。それはガヨンに執着して殺人まで犯した質の悪い（それも金持ちの）男で、そのために家出したジンイルとガヨンは再びその男に追われることになります。

映画はアクションシーンが目白押しなのですが、私が目を見張ったのはミンホの走る姿の素晴らしさです。よく韓国芸能人のスポーツ大会などで抜群の運動神経を見せるミンホですが、追われる場面の多いこの映画で、誰かを振り切って逃げる時は間違いなく本当に振り切っているし、その姿の伸びやかさも、この映画のテーマである「若さ」そのものを体現しています。何が何でも恋人を守り抜くという不器用なまでに一本気なキャラクターもミンホにすごくハマっていて、ファンにはたまらない作品になっていると思います。これまでの2本の映画はどちらも脇役の位置づけでしたが、今回は韓国きっての個性派俳優マ・ドンソクを向こうに回し、『二人の男』の一人として男っぽい存在感をみせたミンホ。韓流アイドルは30歳を前に俳優として伸びる人も多いですから、今後も頑張ってほしいな～。

文／渥美志保