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五代目 中村雀右衛門さんと行く! 京都おあつらえ旅 [おとなスタイル]

2016年06月14日(火) 09時00分配信

五代目 中村雀右衛門さんと行く! 京都おあつらえ旅

3月の歌舞伎座公演で襲名披露演が行われる中村芝雀改め五代目中村雀右衛門さん、そして奥様・青木玉緒さんと、京都に旅に出ました。
目的は襲名披露に欠かせない「配り物」をあつらえること。大イベントを盛り上げるこの街の「技」と「美」を訪ねます。

仕事場でもある京都を違う目線で歩いたら

歌舞伎公演もしばしば行われる四條南座は、賑やかな四条大橋のたもとに建つ。いつもは芝居の出演に忙しく、夫人とゆったりこの界隈を歩くことなど、滅多にないそうだ。
「3月には襲名披露公演が始まりますので、こんな気持ちで京都を歩くことは当分ないでしょうね」
といっても本日ものんびりとはしていられない。襲名披露に欠かせない配り物をあつらえるという重要なミッションがある。
「手ぬぐいやお扇子など、数種あわせて3000個ほど用意しますので大仕事なんですが、これは家内の担当。二人で相談して、お扇子と袱紗(ふくさ)は京都のお店にお願いしようということになりました」
和小物作家でもある玉緒さんは、京都にきものにまつわる縁がある。
「袱紗はあそこ、お扇子はあちらとすぐにひらめきました。私たちの気持ちに応えてくださる作り手がいるのが京都。素敵なものを仕上げて待っていてくださると思います」
わがままを形にしてくれる手わざの達人たち

袱紗に絞りであしらわれたのはふくら雀。本来、雀右衛門家の家紋は「向い雀」だが、「そのまま用いては使う場所が限られてしまうかしらと思い、こちらにしました」(玉緒さん)。

わがままを形にしてくれる手わざの達人たち

まず訪ねたのは、船鉾町にある「京絞り寺田」。
15年ほど前から雀右衛門夫妻が交流を重ねてきた、絞りのスペシャリストである。
「京都のきものは発色のいい色みが特徴的ですけれど、こちらは少しシックなんです。様々な地域、様々な年齢の方にお贈りする配り物を作っていただくにはピッタリでした」(玉緒さん)
玉緒さんは、こちらのご主人・寺田豊さんと合作で、きもののデザインも手掛けている。
「絞りというととても高価なイメージがありますけれど、あしらい方で私たちにも十分手の届くものにできる。そんなことも一緒に考えてくださるんです。寺田さんと考案した、絞りを飛び柄にあしらった付け下げは、私の定番になりました。京都の達人は柔軟でもいらっしゃいます」(玉緒さん)
「使い手が参加できるのがおあつらえの楽しいところではないでしょうか。そういうお店がたくさんあるのが京都の素敵なところだと思いますね」(雀右衛門さん)

玉緒さんの提案で生まれた絞りを数ヵ所入れてつくった付け下げ

玉緒さんの提案で生まれた絞りを数ヵ所入れてつくった付け下げ。お客様とかぶってはいけない、派手すぎてもいけない歌舞伎俳優夫人にはぴったりのきものが出来上がった。こちらは絞りが桜の花びらになっている。今では、他の俳優夫人からの注文もあるとか。

DATA
京絞り寺田
寺田豊さんは、国内外で個展を開催。高い評価を得ている。雀右衛門さんは袱紗の他、楽屋のれんや衣裳も依頼。「のれんも雀です。絞りなんて珍しいと褒めていただくと、自分が褒められているようでうれしくなります」
住所:京都市下京区新町通綾小路下る船鉾町391

おとなスタイルVol.3 2016 春号

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