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波瑠×西島秀俊「俳優業は、遊園地の裏方の仕事に似ている(波瑠)」 [FRaU]

2018年11月06日(火) 16時40分配信

Photo:Tomohiro Enzaki

誰もが心の中に、“そこに行けば笑顔になれる場所” を持っている。それは人によってライヴ会場だったり、劇場だったり、レストランだったり、温泉だったり。そして多くの人にとって “遊園地” は、非日常空間で非日常の乗り物に乗って、空を飛ぶ夢を叶えたり絶叫したり、童心に還ることができて、自然に笑顔がこぼれる場所だ。

熊本に実際にある遊園地「グリーンランド」を舞台に、“遊園地の舞台裏” を描いた映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』に出演した波瑠さんと西島秀俊さんが、あらためて “俳優という仕事の魅力” を語る。
つらいとき? 甘いものを食べれば大抵復活します(西島)

Photo:Tomohiro Enzaki

つらいとき? 甘いものを食べれば大抵復活します(西島)

――『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』は、波瑠さん演じる波平久瑠美(なみひら くるみ)が遊園地の裏方という仕事の面白さに目覚めていく “お仕事エンターテインメントムービー” であると同時に、ロマンティック・コメディだなと思いました。とにかく、全編通してあんなに笑顔の西島さんが大画面で観られたことが新鮮でした(笑)。波瑠さんは、ドラマなどでもコメディエンヌとしての才能を開花させていらっしゃいますが、今回、お互いのお芝居の中に、“笑いのセンス” みたいなものを感じたところはありますか?

波瑠:コメディって、登場人物が真っすぐなことが、見ていて面白いんじゃないかと私は思うんです。今回もそうですが、私はいつもコメディだと思ってお芝居をしたことはなくて……。それぞれが真面目に一生懸命やっているんだけど、失敗したり、ズレたり、空回りしたり。それが周りから見て滑稽だったり、ユーモラスに見えることで、“笑い” が生まれたら素敵ですよね。

だから私も、“笑わせたい” という下心を持って、波平を演じてはいないです(笑)。ただひたすら真面目にやっていただけ。西島さん演じる小塚も、真っすぐだから面白いんですよね。

西島:でも、波瑠さんは、普段が相当面白いです(笑)。芝居はもちろん、普段から、真顔で相当面白いことを言ったりやったりするので、その “天然” な感じが画面に出ているところはあると思いますね。

ただ、この映画に関しては僕もコメディだとは思ってなくて、小塚は “ヘンな上司” という認識でした。面白さは狙わず、ぶっきらぼうな感じでやっていたら、思ったより笑っているところが採用されていましたね(笑)。

波瑠:大人の人にこういう言葉を使っていいのかわからないんですが、西島さんは、素直な方だなと思いました。

西島:素直っていうか、何も考えてないだけなんだけど(笑)。

波瑠:お芝居をしているときでも、“狙ってる” 感じが全くなかったです。私が言うのは生意気かもしれないですが、打算とか計算高いとかの反対側にいる方だなと(笑)。

Photo:Tomohiro Enzaki

――東京の一流大学を卒業し、超一流ホテルチェーンに就職した波平は、熊本の遊園地に派遣され、「こんなはずじゃなかった」と、仕事の理想と現実の間で悶々とします。お二人はそういう経験はありますか?

波瑠:私たちの仕事って、遊園地の裏方の仕事と似ているなと思うんです。表は華やかだけれど、裏で地道な作業を積み重ねないと、表に出せるものが生まれないところは、すごく共通している。こうやって取材を受けたりすることも含め、私たちの仕事は人前に立つことだと思われがちですが、その仕事の大部分は “裏方” と何ら変わりない。

でも、私は14歳でこの仕事を始めたので、もともと華やかなものを想像してなかったんです。何も分からず、変なプライドを持たずに始められたのはラッキーでした。だから、「こんなはずじゃなかった」と思ったことはこれまで一度もなかったです。ただ、振り返ってみると、仕事は地道な作業がほとんどだな、って(笑)。

西島:僕も、この仕事に幻滅したことはなかったです。そもそも、初めて映画に出たときに、今もときどきお会いする素晴らしい衣裳さんがいらっしゃって、その方に、「西ちゃん、衣裳探しに行こう!」って誘われたことがあって。

僕の役はすごく小さな役だったのに、一緒に下北沢なんかを回って、「どういう役なんだろうね」って、一緒に考えてくださった。初めての映画で、そういう体験ができたことに、僕はすごく感動して、「楽しいな。こうやって役を作っていくものなんだな」って思ったんです。

――それから、キャリアを重ねることで、仕事に対する向き合い方に変化はありましたか?

波瑠:ないですね。私は、デビュー当時から今まで、作品選びにはほとんど関わらず、すべて事務所のマネージャーさんに任せきりなんですが、そのやり方が私には合っていると思ってるんです。自分でやりたいものとやりたくないものを決めてしまうと、自分の可能性を狭めてしまいそうな気がして……。

常に体当たりで、何事も現場で学んでいくのが好きなのかもしれない。仕事を決めたあとは、すごく放任なんですよ。何の前触れも稽古もなく、急に台本を渡されて、ロケバスに乗せられて、「いってらっしゃい!」みたいな(笑)。

でも、そのお陰で、現場の人とコミュニケーションを積極的に取って、わからないことは誰に聞けばいいかとか、自分から進んで現場に馴染む努力をするようになりました。

西島:僕は、デビュー当時の仕事が「はぐれ刑事純情派」で、その時ご一緒した藤田まことさんが、クランクアップのときに、「本業をゆっくりと」と書かれた色紙を、僕にプレゼントしてくださって。その言葉が今も、心にすごく残っていますね。何かあると、その言葉を思い出します。

“変化” があるとすれば、以前は、僕は現場が大好きなので、“楽しい” という気持ちだけでやっていたのが、最近は、“観客の皆さんに楽しんでいただけるように” ということを意識するようになりました。

 

Photo:Tomohiro Enzaki

――では、“俳優” という仕事の魅力はどこにあると思いますか?

波瑠:共同作業であることが大きいと思います。さっき私は、俳優も裏方だと言いましたが、お芝居の現場には、それなりに地道な仕事も多い私たちが立つ舞台を用意してくれる人たちが本当に大勢いて、作品に関われば関わるほど、そういう方々が組み立ててくれた土台があって、ようやく私たちがカメラの前に立つことができることを実感するようになりました。

スタッフさん一人一人の偉大さに助けられていることを痛感するからこそ、現場の人たちが笑ってくれると嬉しいし、“この人たちを笑顔に出来るように頑張りたい” という気持ちも生まれるようになりました。また、集まった人たちが、“人を楽しませる” という、その一点に集中していることも、素晴らしいと思います。

西島:僕は若いときから、“こんな面白いものはない” と思ってやってます(笑)。若いときに、(年齢が)上の人から、「辞めるなら早いうちに見切りつけろ! こんな面白い仕事、ハマったら抜けられなくなるから」って言われたことがありますが、実際そうだなと思います。

――どんなに好きな仕事でも、たまには失敗したり、うまくいかなかったりして、落ち込むこともあると思います。お二人にとっての、テンションが落ちたとき復活する方法は?

波瑠:私は、寝るとだいたい……(笑)。寝たらすぐ元気が出ます。だから反対に、眠れていない日が続くと、元気がなくなりますね。イヤなことがあっても、一晩寝れば忘れます。それで、頑張れるだけの体力と気持ちが戻ってくる。

……寝るのって気持ちよくないですか? 私、お布団が大好きで、お布団に入ると、「あー、気持ちいい!」って自然と声が出ちゃうんです。

西島:ハハハ!

波瑠:(隣の西島さんに)何で笑うんですか?

――波瑠さんが、「真顔で面白いことを言う」って、こういうところですよね(笑)?

西島:そう、こういうところ(笑)。まぁでも、僕も甘いものを食べればだいたい何とかなるかな……。

波瑠:同じじゃないですか(笑)。

西島:あとは……、僕も今まで順調に来たわけじゃなく、たくさんつらい時期も経験したので。今何かあっても、「あの時乗り越えられたじゃないか」って思えば、何とかなりますね。

PROFILE

波瑠 Haru
1991年生まれ。東京都出身。2006年ドラマデビュー。翌年から『Seventeen』専属モデルを務めた。2015年NHK連続テレビ小説「あさが来た」でヒロインを務め、全国区の人気を獲得。主な出演作品に映画『みなさん、さようなら』『潔く柔く きよくやわく』(ともに2013年)、ドラマ「あなたのことはそれほど」(2017年)「未解決の女 警視庁文書捜査官」「サバイバル・ウェディング」(ともに2018年)など。出演映画『コーヒーが冷めないうちに』が公開中。

西島秀俊 Hidetoshi Nishijima
1971年生まれ。東京都出身。1994年『居酒屋ゆうれい』で映画初出演。ドラマの代表作に「ダブルフェイス」(2012年)、「八重の桜」(2013年)「流星ワゴン」(2015年)「とと姉ちゃん」(2016年)「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」(2017年)など。映画では、『ニンゲン合格』(1999年)『Dolls(ドールズ)』(2002年)『サヨナライツカ』(2010年)『CUT』(2011年)『劇場版 MOZU』(2015年)などがある。現在、出演映画『散り椿』が公開中。2018年 11月16日『人魚の眠る家』が公開予定。2019年の公開待機作に『空母いぶき』。
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Photo:Tomohiro Enzaki

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22歳の波平久瑠美(波瑠)は、彼氏のトシくん(中村倫也)と同じ超一流ホテルチェーンに就職を決める。が、入社後、系列会社が経営する地方の遊園地への配属が言い渡されてしまう。いやいや出勤した遊園地で、久瑠美は “魔法使い” ことカリスマ上司小塚(西島秀俊)や、遊園地を愛する同僚たちと出会い……。最初はまるで主体性のなかった久瑠美が、仕事を通して自分を見つめ、次第に生き生きと輝き始める。遊園地の舞台裏を舞台にした、ハッピーなお仕事エンターテインメント。

監督:波多野貴文(映画『SP THE MOTION PICTURE野望篇/革命篇』、ドラマ「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」)
原作:小森陽一(「海猿」シリーズ、「S-最後の警官-」)
出演:波瑠、西島秀俊、岡山天音、深水元基、中村倫也、濱田マリ、橋本愛、柄本明
配給:HIGH BROW CINEMA、ファントム・フィルム
©小森陽一/集英社 ©2018映画「オズランド」製作委員会


2018年 10月26日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。

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