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ママ友、ご近所、職場……大人の女性に必要な“一つのグループ”に依存しない生き方って [mi-mollet]

2018年11月01日(木) 10時10分配信

講談社mi-mollet

いま夫の転勤に伴いシンガポールに住んでいるのですが、日本に帰国すると、よく「駐在妻同士の付き合いとか大変でしょう」と言われます。そのたびに「いやー、それがそうでもないんですよ」と答えています。本心からそう思っています。

シンガポールは駐在妻自体が多様なので、あまり「駐在妻かくあるべき」というプレッシャーや強固なコミュニティが発生しにくいのかもしれません。でも他の人から聞くと“大変”な付き合いがシンガポールに皆無というわけでもなさそうです。住んでいる地域や配偶者の会社にもよるようなので、たまたま私が遭遇していないという側面もあると思います。

ただ、一度、そう声をかけられている私の横で、私のことをよく知っている先輩女性が「この人ね、意外と大丈夫なの」と代わりに答えてくれたことがありました。それを聞いて思ったのは、嫌な目に遭ってもヘコタレナイという意味ではなく、嫌な目に遭わない、嫌な目に遭うところまで突っ込んでいかない距離感で浮遊しているから、「意外と大丈夫」なのかもしれないということです。

講談社mi-mollet

というのも、実は女の子グループの付き合いは、昔から、とても苦手です。中学1年から2年くらいのとき、どこの「グループ」にも属したくなくて、お弁当も教室のその席のままで食べていました。ただ、男の子たちは割とそのまま席で食べている子も多かったように記憶していて、そういう男友達と話しながら食べていたので、それはそれで楽しかったです。

でも、あのころから、今もずっと、女の子・女の人は、そのグループを構成している一人一人のことがいくら好きでも、集団になると近寄りがたく感じてしまいます。だから、どちらかというと男子校みたいだった大学も、入社した男性中心社会の新聞社も、ハラスメントを受けていると認識する前は、むしろ私には居心地が良かったくらいです。

その私が、駐在妻になって女子どもの世界にどっぷり漬かることになるわけですが、特に今やりにくさを感じていない。少し前には駐在妻友達に「皆との付き合い方がうまいよね」と言われ、びっくりしました。いまだに女性のグループは苦手だな~と着かず離れずの曖昧な距離感を取っていて、我ながら中途半端な人だと思われているかなと思っていました。まぁ、お世辞かもしれないし、錯覚かもしれません。

ただ思ったのは、確かに、私は、一緒にいたくないのに我慢をして、そのグループに入り続けるということは、昔も今もしたことがなかったかもしれない…ということです。それは私に、たまたま近くにいてくれた男友達がいたり、集団に入らなくても生きていける資源があったからかもしれません。同調せざるをえない環境じゃなかったから、ラッキーだった。強者の論理かもしれません。

女の子のグループに入りたくなかった中2の頃、ある女の子に「あなたは友達を選んでるよね」と若干非難のトーンで言われたことがあります。確かに、この話をするのはAちゃん、あの話をするのはBちゃん、体育とかで組むのはCちゃんたちが多く、修学旅行とかではDちゃんたちのグループに入れてもらってた…という風に色んな子とそれぞれ別のシーンでつながりがあったかもしれません。
それを言ってくれた彼女からしてみると「友達を使い分けてる」みたいなニュアンスだったと思うのですが、確かにその年代の感覚からしたら、親友がいたらどんな話でも打ち明け、どんな場でも必ずその子と一緒に過ごすのが「ふつう」だったのかもしれません。

でも、もう大人になった私たちは、むしろコミュニティやつながりによって共有するものが違うのは当たり前。別にそれで裏で悪口を言ったり別のことを言ったりしているわけではないですし、仲間と適度な距離感を保ったって構わない。かといって、一人で生きていけということではなく、頼るときに頼るべきところで頼れる人に頼る、助けられる人を助けられるときに助けるということができれば、何か無理してまで1つのグループに依存しつつ拘束され続ける必要もないのではないかなと思っています。

著者PROFILE

中野 円佳Madoka Nakano


1984年生まれ。東京大学教育学部を卒業後、日本経済新聞社に入社。大企業の財務や経営、厚生労働政策を取材。育休中に立命館大学大学院先端総合学術研究科に通い、同研究科に提出した修士論文をもとに2014年9月『「育休世代」のジレンマ』を出版。2015年4月より、株式会社チェンジウェーブを経て、フリージャーナリスト。厚生労働省「働き方の未来2035懇談会」、経済産業省「競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会」「雇用関係によらない働き方に関する研究会」委員を務めた。現在シンガポール在住、2児の母。女性のスピークアップを支援するカエルチカラ言語化塾、海外で子育てとキャリアを模索する海外×キャリア×ママサロンを運営。東京大学大学院教育学研究科博士課程。近著に『上司の「いじり」が許せない』

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