• > 吉岡里帆コメディ初挑戦!ギターと歌より苦労した“間”の取り方[FRaU]

吉岡里帆コメディ初挑戦!ギターと歌より苦労した“間”の取り方[FRaU]

2018年10月25日(木) 16時40分配信

Photo:Tomohiro Enzaki

吉岡里帆さんが阿部サダヲさんと出演した映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ‼』は、テレビドラマ「時効警察」シリーズなどで知られる三木聡監督の最新作。“ハイテンション・ロック・コメディ” という新ジャンルの映画で、吉岡さんは “歌声が小さすぎるストリートミュージシャン” の明日葉ふうかを演じている。

ふうかは、阿部さん演じる驚異の歌声を持つロックシンガー・シンと出会い、その二つの歌声が出会った時に起こった奇跡が、文字通り “ハイテンション” で描かれる。この映画に出演するにあたり、吉岡さんは生まれて初めて歌とギターに挑戦することになり、約半年にわたって、ギターと歌を寝る間を惜しんで猛特訓したという。

 
ずぶ濡れの阿部サダヲさんを見て、 母性のような、奇妙な気持ちが 湧き上がりました

Photo:Tomohiro Enzaki

ずぶ濡れの阿部サダヲさんを見て、 母性のような、奇妙な気持ちが 湧き上がりました

――ギターや歌だけでなく、超ハイテンションなコメディであることなど、初挑戦のことが色々あったと思います。ふうかを演じる上で、特に課題だったのはどんなことですか?

吉岡:三木監督は、ずっと憧れの監督でした。ですから、まずは三木聡さんという大好きな監督の頭の中をどこまで再現できるかが課題でしたね。この映画も、10年ぐらい前に脚本の原案ができていて、ようやく映画化に漕ぎ着けた作品だと伺っていたのですが、三木組の誰もが “いいものを撮りたい” という熱量がすごくて!

組の一人として、面白いものにしなければと感じました。実際に演じて思ったのが、コメディの “間” の難しさです。監督が、微妙なところまで徹底してこだわっていて、セリフも、一言一句間違えられないプレッシャーがありました。

というのも、監督が事前に、「台本に書いてあるセリフは、句読点に至るまで、全部忠実に言ってほしい」とおっしゃっていたんです。1ヵ月前に、舞台のお稽古みたいなリハーサルがあったとき、私の場合はその “間” で何度も躓きました。

うまくいくシーンもありましたが、全然監督に響かないシーンも多くて……。「なんか違うんだよな」みたいに、ぽろっと呟くんです。“間” がちょっとでも違うと “ピクっ” てなって(笑)。コメディなので、どこまで面白くなるかは、話し合いながら、緻密に作っていった感じです。

――初挑戦のギターはどうでしたか?

吉岡:事前に三木監督とお会いする機会を設けていただいたんですが、その時に、「ギターと歌は完璧にしておいてほしいんだよね」とさらりと言われて(笑)。これは頑張るしかない、と。急いで準備しないといけないと思ったので、「一刻も早くレッスンさせてください」とお願いして。時間があったら、なるべくギターのレッスンに行くようにしていました。

最初は、抑えられないコードがあったりしたんですが、それもなんとか克服して。一番大変だったのが、譜面を見ずに演奏することでした。譜面を見ながらなら、できるんですよ。でも、大勢の人を目の前にしたパフォーマンスは緊張しちゃって……。歌えないふうかはできるけれど、映画では、少しずつ成長しているところを見せていかなきゃいけない。それを、ギターも使って表現するのが難しかったです。

でも、本番の時は、スキル面の課題を克服していたせいか、人前でものびのび歌えました。もともと、歌うことが得意じゃない私が、「役なんだ!」って思うことで、それまで萎縮してた感情がすうっと消えていったんです。役に入れば、自分の感情なんてなくなるってことに気づけたことは、嬉しかったです。

Photo:Tomohiro Enzaki

――阿部さんをはじめ、松尾スズキさん、ふせえりさんなど、コメディを得意とする共演者の方が多いですね。

吉岡:松尾さんとふせさんのコンビは、絶妙でした。お二人は、吉祥寺の13アイスクリームを営む夫婦という設定なんですが、最初の顔合わせの時に、松尾さんが、「ザッパ(松尾さんの役名 “ザッパおじさん” の略)は寄り目だと思うんだよね〜」って三木監督に言って、監督も「あ〜、いいんじゃないですか。でも全編はどうかな〜」みたいな(笑)。ふざけてるのか真面目なのかよくわからない会話が、いろんなところで交わされていました(笑)。

――ある意味、ふうかの成長物語でもあると思いますが、吉岡さんは、この役をどう理解したんでしょう?

吉岡:監督がやりたいことは、映画に深い意味を持たせ、重厚なテーマを表現する、とかではないんですよね。もっとあっけらかんと、“みんなで面白いことをやる” “見たこともないものを作る” ことに特化していたように思います。だから、ふうかも、悩みや葛藤は抱えているけれど、そこはそんなに重く考えず、ふてぶてしくて、すぐ開き直るような、悩んでいるようで悩んでない人に見えたらいいなと思って演じました。

監督は、演者からのアイデアを集めて、そこからセレクトするやり方のようで、「吉岡さんは、これどう思ってる?」って逐一意見を聞いてくださるので。ふうかに対して私のイメージをお話ししたら、「うん、そんな感じ」って。

――とくに印象的だったシーンは?

吉岡:初日に、水道管が破裂して、阿部さん演じるシンがその水を全部浴びて、メイクが取れて、ふうかも誰かわからない相手と喧嘩するっていうシーンを撮ったんです。その時、白くて、細くて、上半身裸で、びちょびちょで、寒そうで、なのにアクセサリーはゴリゴリのをつけている、シュールな阿部さんの姿を見て、なんとも言えない母性のような、奇妙な気持ちが湧き上がりました(笑)。

あとは、ずーっとコメディですけど、後半のクライマックスで、それまでドーピングによって美声をキープしていたシンの、ドーピングが切れて、普通の声で歌うところがあるんですが、そこはうるっときます。

PROFILE

吉岡里帆 Riho Yoshioka
1993年生まれ。京都府出身。大学在学中より小劇場の舞台に立ち、自主映画にも参加。NHK連続テレビ小説「あさが来た」(15〜16)で注目を集め、現在テレビドラマやCMなどに多数出演している。来年公開予定の映画に『パラレルワールド・ラブストーリー』がある。

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る