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【がん治療Q&A】がん家系で将来が不安。がんになる可能性を調べる方法はありますか? [mi-mollet]

2018年10月16日(火) 14時10分配信

Q. 自分ががんになる可能性を調べる方法はある?

焼きリンゴさんからの質問

いわゆるがん家系で、将来が不安です。自分ががんになる可能性はどれくらいあるのかを調べることは可能ですか? 健康診断をこまめに受けることが一番だとは思いますが、遺伝子検査など、他の情報も教えていただけると嬉しいです。(39歳)
A. 家族にがんを発症している人が多いことと、遺伝性がんとは違います。

樋野興夫先生

A. 家族にがんを発症している人が多いことと、遺伝性がんとは違います。

特別ゲスト 樋野興夫先生の回答

今や日本人の2人に1人ががんを発症する時代です。そのうち遺伝性のがんは5%、環境発癌は5%、あとは遺伝と環境の相互要因によって起こる、ということが分かってきています。さらに遺伝性のがんというのは種類が決まっていて、自分がどの遺伝子に変異があるかは血液検査で調べることができます。ですから焼きリンゴさんも、心配なら遺伝子検査を受けられてみても良いかと思います。

ただし検査した結果、何かのがん化遺伝子に変異を持っていたとしても、100%そのがんを発症するというわけではありません。環境要因によって、発症する人もいればしない人もいます。以前にアメリカ人女優のアンジェリーナ・ジョリーがこの遺伝子検査を受け、自身の乳房と卵巣、卵管を切除したことが話題になりました。彼女は検査の結果、乳がんの生涯発症率が87%、卵巣がんの生涯発症率が50%と出たそうです。もちろん、体の一部を取り除くことによって不調も生まれます。危険を取り除くために不調を受け入れるか、今は切除せず様子を見るか、それは自身の判断となってくるところです。

さて、ここで一つお伝えしておきたいことがあります。焼きリンゴさんは「がん家系である」とおっしゃっていますが、おそらく多くの方は、がん家系というのは家族にがんを発症している人が多くいる、ということだと解釈されているのではないでしょうか? しかし家族にがん発症者が多くいるのと、遺伝性のがん体質というのは、また別ものです。家族の多くががんを発症しているといっても、それは遺伝性によるものではないかもしれません。ですから本当に怖くて何とか予防したい、と考えているのでしたら、先にお伝えした遺伝子検査を受けられるのも一つの手です。ただ検査費用は60万円くらいかかってしまいますが……。そして、実際に遺伝子変異を持っていることが分かっても予防的に切除した人は、日本人にはまだおりません。乳房や卵巣の片方ががんになったことで、もう片方も取ってしまう、という人はいるのですが。

要は「どこまで気にするか」なのです。遺伝子検査を受けて、危険を取り除くのも良し、取り除かないのも良し。大事なのは、どうするか決めた後も一喜一憂しないことです。自分でコントロールできないことに一喜一憂しても仕方がありません。それでも心配なら、1日のうち1時間だけ深刻に考えられるのが良いでしょう。そうしてあとの時間は一切考えないこと! 人は1時間深刻に考えると、どういうわけか心が外に向くものです。そうして天を見ながら、今をしっかり生きてほしいと思います。

PROFILE 樋野 興夫(ひの おきお)

1954年、島根県生まれ。医学博士。順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座教授。一般社団法人がん哲学外来理事長。医療現場と患者の間にある「隙間」を埋めるべく、全国各地で講演をおこなうなど精力的に活動している。著書は『がんばりすぎない、悲しみすぎない。「がん患者の家族」のための言葉の処方箋』(講談社)、『がん哲学外来へようこそ』(新潮新書)など多数。

取材・文/山本奈緒子

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