岐阜・飛騨の酒造をハシゴしよう [FRaU]

2018年09月30日(日) 16時40分配信

Photo:Yoichi Onoda

標高3000m級の北アルプスに囲まれた飛騨地方。その豊かな自然が生みだした清らかな水と澄んだ空気、美味しいお米のおかげで、古くから日本酒造りが盛んな土地でもあります。

とはいっても、飛騨は小規模な酒蔵も多い。地元岐阜の人にとっては馴染みがあっても、県外ではなかなか出合えない日本酒があるんです。せっかく飛騨に来たなら、地酒をたっぷり堪能してから帰らなければ損!

しかも飛騨市古川町と高山市間を電車移動すれば、歩ける範囲に酒蔵が集まっているので簡単にハシゴできる! ということで、古川町と高山市にある、6つのおすすめ酒造を取り上げました。
“日本一笑顔あふれる蔵”!? 蓬莱蔵元 渡辺酒造店

Photo:Yoichi Onoda

“日本一笑顔あふれる蔵”!? 蓬莱蔵元 渡辺酒造店

最初に向かったのは飛騨市古川町。品のある白壁黒腰壁と出格子のついた土壁が続く小さな町は、ただ歩くだけでもタイムトリップしたような気分になれる場所です。

この古川で造られているのが、岐阜で一番よく飲まれる地酒といわれる「蓬莱(ほうらい)」。岐阜の人にとっては、お祝いの席でも、日々の晩酌にも欠かせないお酒なんだとか。

酒蔵も、お酒も、正統派な佇まいだけど、店内を見わたすと、「あの “聖地の酒” あります」の文字。飛騨が舞台になった、映画『君の名は。』の劇中に出てくる口噛み酒の話をもとに造った地酒が販売中でした。そんな酒造りをするユニークな様子に、蔵が掲げている “日本一笑顔あふれる蔵” という言葉もうなずけます。

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左:「蔵まつり 生にごり」。発酵中の酵母をそのまま瓶詰めしたにごり酒。飲んだときに微かな発泡感を感じるのは、酵母の力が強いため。 中:「蓬莱 純米吟醸 家伝手造り」。契約栽培した酒造好適米の「ひだほまれ」で造られた少量仕込み。 右:「蔵元のすっきり糀あまざけ」。麹の甘さだけでつくりだした、すっきりした味わい。アミノ酸たっぷりなので、美容にも、夏バテ気味なときにも◎。

蓬莱蔵元 渡辺酒造店
岐阜県飛騨市古川町壱之町7-7
日々の料理に合わせたい上品な飲み口 蒲酒造場

Photo:Yoichi Onoda

日々の料理に合わせたい上品な飲み口 蒲酒造場

続いて訪れたのは、同じく古川町にある1704年創業の「蒲(かば)酒造場」。約300年もの間、飛騨の美しい気候や風土を映し出した酒造りに取り組む酒蔵です。

ここでまずいただきたいのは「白真弓」。北アルプスの美味しい軟水を生かした、清涼感のある味が特徴です。お酒の名前の「しらまゆみ」は万葉集に出てくる「ひだ」の枕詞に由来していて、まさに飛騨の清らかさを体現するようなお酒です。

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左:「白真弓 大吟醸(山田錦)」。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2018大吟醸部門」で金賞を受賞したことも。ふくよかな香りも楽しみながら飲みたい。 中:「白真弓 純米大吟醸 誉」。「ひだほまれ」で造られた一本。品の良さと華やかさが同居する味わい。 右:「とろーりにごり原酒」。米本来の甘さを引き出したにごり酒。口当たりがよく、お酒が苦手な人にもトライしてもらいたい。

蒲酒造場
岐阜県飛騨市古川町壱之町6-6
花酵母の地酒が飲める 原田酒造場

Photo:Yoichi Onoda

花酵母の地酒が飲める 原田酒造場

飛騨高山に花の酵母を使ったお酒を造る蔵があります。それが1855年創業の「原田酒造場」。伝統的な酒造りをする傍ら、新しい日本酒造りに挑戦しています。

花の酵母を酒造りに使うようになったのは、社長が東京農業大学醸造学科の卒業生だったことがきっかけ。東京農大の花の酵母の研究技術を生かして、自然の花から野生の酵母を採取して、酒造りをしています。味や香り、旨みの個性が際立つ花酵母の清酒がいただけます。

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左:「山車(さんしゃ)しぼりたて本生 花酵母造り」。なでしこの花酵母を使ったお酒は、洋梨のような芳醇な香りと味がする。 中:「金印上撰 辛くち」。名前のとおり、キレのよい飲み口ながら、コクも感じさせるお酒。熱燗やぬる燗でいただきたい。 右:「山車 純米吟醸 花酵母造り」。アベリアの花酵母を使った日本酒。林檎に似た爽やかな風味がある。

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「原田酒造場」の直営店で販売している「酒まんじゅう」は、お酒の香りがふわりと香る大人のスイーツ。夏には「山車大吟醸酒ソフトクリーム」も人気。

原田酒造場
岐阜県高山市上三之町10
お酒と食の組み合わせの妙を楽しむ 舩坂酒造店

Photo:Yoichi Onoda

お酒と食の組み合わせの妙を楽しむ 舩坂酒造店

高山で200年の歴史を誇る「舩坂酒造店」。看板商品は歴代の杜氏が技術を受け継いで味を守ってきた「深山菊」。米の優しい甘みがありつつも辛口淡麗で、食事をしながらでもアルコールがすすみます。

直営店の店内のテイスティングカウンターに座って試飲が出来たり、中庭を抜けると「舩坂酒造店」のレストラン「御食事処 味の与平」もあって、日本酒を飲みつつ、飛騨牛や岐阜の地野菜を堪能できます。

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左:「しぼりたて熟成酒」。搾りたての無濾過原酒を熟成させた一本。果実のようなフレッシュさと芳醇さがある。 中:「大吟醸 深山菊」。さらりとした飲み口で飽きのこない味わい。冷して飲むのがおすすめ。お好みで常温でも。 右:「ゆず兵衛」。岐阜県上之保の柚子と代表銘柄である辛口の「甚五郎」を使った日本酒のリキュール。ロック、炭酸割り、お湯割り、ぬる燗でどうぞ。

舩坂酒造店
岐阜県高山市上三之町105
酒の旬を感じられる 二木酒造

Photo:Yoichi Onoda

酒の旬を感じられる 二木酒造

1695年創業の老舗酒造。高山のなかでも古い町並みが残る落ち着いた上二之町に蔵を構えていて、散策していても楽しいエリアです。

「二木(にき)酒造」の特徴は、ずばり季節に合わせて日本酒が選べるところ。春から夏には「大吟醸 生酒 氷室」、晩秋から冬は「大吟醸ひやおろし 秋麗の炎」、さらに質のよい酒米が実った年にだけ製造する「純米大吟醸 いちい」があったりと、飛騨の自然に寄り添った日本酒を味わうことができます。

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左:「吟醸 玉乃井」。上撰クラスで、飛騨の食卓に並ぶことも多いお酒ですが、手間のかかる吟醸造りで仕込まれていて、辛口淡麗で品のよい味わい。 中:「純米大吟醸 氷室 生酒」。「二木酒造」の代名詞的な「氷室」のなかでも、春から秋の期間限定で出荷されるお酒。 右:「大吟醸 H TAMANOI」。数量限定で生産しているのがこちら。山々の清冽な水や飛騨のお米を使って造った贅沢な一本。

二木酒造
岐阜県高山市上二之町40
ウイスキーのような古酒が眠る 平田酒造場

Photo:Yoichi Onoda

ウイスキーのような古酒が眠る 平田酒造場

1895年から酒造業を営む「平田酒造場」。手造りにこだわり、地元の「ひだほまれ」、井戸水を使って、少量生産で地酒を造っています。

とくに古酒「酔翁(すいおう)」は、20年以上寝かせた分、旨み、香りといった個性が滲み出ていて、日本酒の奥深さを感じさせてくれる味わいです。

Photo:Yoichi Onoda

左:「飛騨の華 純米大吟醸」。地元で採れた「ひだほまれ」を低温発酵させて仕込んだ。果物のような香り高さとキレをもつ。 中:「飛騨の華 酔翁 熟成古酒」。長期熟成されて琥珀色に。ウイスキーや紹興酒のような奥深い味。 右:「梅酒 飛騨の華 梅ごよみ」。「平田酒造場」自慢の古酒に国産の梅を漬け込んだ梅酒。古酒のコクと梅の爽やかな甘みが溶け合う。数量限定。

平田酒造場
岐阜県高山市上二之町43

飛騨の古川、高山にある酒造は、どれも一つひとつの蔵の個性が光り、味の違いを楽しみながらお酒を選ぶことができます。ほとんどの酒造が無料、有料で試飲できるので、ハシゴしながら、自分のお気に入りの一本を見つけてください!

●情報は、2018年7月時点のものです。

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