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【家族問題Q&A】53歳独身。両親の介護は私がすることになりそうで不安です [mi-mollet]

2018年07月30日(月) 14時00分配信

yukarinさんからの質問

Q.両親の介護は独身の私がおこなう必要あり。
どうしたらいいのか不安です。



独身の私は今年80歳になる父、79歳になる母と同居しています。父にめまいの症状が出て1か月程たちますが、徐々に回復傾向にあります。ところが1か月程前までは元気に歩行していたのが嘘のように、室内で転倒する等あり、手すりをつけたほうが良いのか検討中です。症状が一番悪かったときは「入院させたほうが良かったのではないか」と母と悩みましたが、行動に移せず現在に至ります。私には遠方に単身赴任している弟、車で20分ほどのところに住む妹がいますが、それぞれの家庭があり、この先介護のこと等で不安があります。まずはどこへ相談したら良いか等、アドバイスをいただければと思います。(53歳)

特別ゲスト 金子稚子さんの回答

A.相談する相手と「合わない」と感じた場合は
我慢をしないことが大事です。



yukarinさんのご状況、理解いたしました。まだお父様の介護保険は申請されていらっしゃらないようですね。まずはyukarinさんが住まわれている地域の「地域包括支援センター」か、お住まいの役所の高齢者福祉課などにご相談にお出かけください。役所のほうは、地域によって課の呼び方が違いますので、何となく高齢者とか福祉関係らしきところに行っていただければ大丈夫です。もし違っていても、「◯◯という課に行ってください」と教えてくれるはずですから。地域によっては、保健所も相談窓口を持っているところがありますので、調べてみてもいいでしょう。

相談された結果、要介護認定を受けることができれば、検討されている手すり設置の費用補助も受けられるかもしれません。もし要介護認定がおりなくても、少なくとも「父はこのような状態なのですが手すりをつけたほうがいいと思いますか?」「手すりをつけるならどういったところに頼めばいいですか?」など、いろいろ相談できるはずですから、それだけでもかなり精神的にラクになれるのではないかと思います。

ただ鍵は、良いケアマネージャーに出会えるか、ということにあります。介護に関する実務的なプランはケアマネージャーという専門家が担当してくれるのですが、このケアマネージャーとソリが合わない、とおっしゃられる方も時々います。その場合は、「合わない」ということを、“違う窓口”に相談に行かれてもいいと思います。たとえば地域包括支援センターから紹介されたケアマネージャーと合わなかったなら、役所の窓口に相談に行く。役所で紹介されたケアマネージャーと合わなければ、保健所の相談窓口を頼ってみてもいいかもしれません。ただでさえ、介護でご本人もご家族も苦しい思いをしているのです。合わない人とがんばって付き合う……、そんなことを私はしてほしくないと思っています。

ただし、良いケアマネージャーと出会い、充実した時間を過ごしてもらうためには、「お父様はどう生きたいのか」、また「家族は父とどう生きたいのか」ということをしっかり話し合っておく必要があります。たとえばお父様は「できる限り自分のことは自分でやりたい」というお考えなのか、「家族みんなと過ごす時間をもっと持ちたい」と思っていらっしゃるのか……。

こうした話し合いのことを、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」と言います。少し前から医療職など専門家に向けての研修が始まっていましたが、実は今年の3月の終わりに、このアドバンス・ケア・プランニングが大切だと国が正式に打ち出しました。「アドバンス・ケア・プランニング」とは、『もしもの時のために、望む医療やケアについて、前もって考え、繰り返し話し合い、共有する取り組み』のことです。基本的には「本人の意思」が優先されます。「本人の意思」とは、人生の最終段階においてどんな治療を受けたいかとか、あるいは治療は受けたくないとか、何を大切にしているか、など。そういった価値観や人生観を、家族や大切な人、そして病院や介護関係者といった専門家と繰り返し話し合います。もちろん専門家が、できる限り本人の思いを尊重しなければならないのは言うまでもありません。こう聞くと、とても良い制度のように思われるかもしれませんが、患者よりも病気や治療についての知識が豊富な医療関係者が、自分たちのやりたい治療に誘導する可能性もあります。例えば、「もう80代で年だから」と本人が拒否しているのに開胸手術に同意させようとしたり……。だからこそ、自分自身がどうしたいか考えておくのはもちろん、日頃から家族ともそういったことについてしっかり話し合っておくことが大切なのです。

またyukarinさんには、お父様とお母様のお二人のご関係にも目を配っていただけたらと思います。今回のことで、お父様とお母様それぞれに夫婦として思うところがあり、夫婦だけに言えないこともあると思いますから。

そして、同時にyukarinさん自身の老後のことにも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。Yukarinさんは独り身のようですから、自分がどう生きたいかを自分で伝えなければなりません。「きっとこうしたいはず」と推し量ってくれる家族が今後できれば良いですが、家族がいてもいなくても、ご自分の将来のために、お父様の介護をしながら医療や介護の人間関係を拡げ、知識も増やしていってほしいと思うのです。たとえば「自分に何かあったらこの人にお願いしたいな」とか、「行政はとくにこういうシーンで使えるな」とか。そうやって人間関係や知識が積み重なっていけば、ご両親の介護だけでなく、自身の老後に関してもかなり不安が減ると思うのです。

いかがですか?
金子稚子さんの回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)『死後のプロデュース』(PHP新書)『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。

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